第一章

とある日の虎館市立第三中学校

三年三組教室 昼休み

辰巳「何話してんのー」(桐生 辰巳)

葵 「ん?いや一昨日の話よ。」(神成 葵)

辰巳「一昨日?」

葵 「航汰と夏琉が両思いだった話」

辰巳「あー あれね」

説明:先日夏琉(高橋 夏琉)の家に行った際、

好きな人の話になり、そこで全員の

好きな人を発表したら

航汰(狩島 航汰)と夏琉が両思いだった。

葵 「辰巳からしたら後輩みたいな感じ?」

辰巳「はぁ?」

葵 「良句ちゃんという彼女がいるでしょ」

辰巳「良句とは告白して以来1年以上話して無い」

葵 「皆シャイだな」

好きな人に告白してからは絶対に

幸せになるということでは無いという

事を知っている人間からすれば、

自分が出来なかった事をやって欲しい

という気持ちになるのも当然なはずだ。

辰巳「ほんと俺馬鹿だよなぁ」

葵 「でも良句も放送委員じゃん」

そうだ。去年は良句の姉が放送委員だったが

今年は妹の良句が放送委員を継いだ感じだ。

辰巳「あぁ。姉妹揃って三年で放送委員だな。」

葵 「話しかけるチャンスじゃない?」

辰巳「うるせぇ」

辰巳「あ〜… せや! 航汰にあれ言っとかんと」


辰巳「航汰。」

航汰「ん?」

辰巳「お前ちょっと来い」

航汰「え何!?」

辰巳「一つだけ言っておきたいことがある」

航汰「何?」

辰巳「ー絶対に俺みたいにはなるなよー」

航汰「!?」

辰巳「せっかく人を好きになれたんだ。

  幸せにしてやれ。いや、幸せになれよ」

航汰「はいはい」

実際に経験してる人の言うことは

信憑性が高いと思う。だが、やはり

自分の恥ずかしさを殺すというのは

簡単にできることでは無い。

実際、俺はそれを成し遂げることが

出来なかった。だからこそ

自分のようにはなって欲しく無いと

心から思っている。

辰巳「ええか?何があっても夏琉を幸せにしろ。」

航汰「そりゃ頑張る」

辰巳「話さなくなって別れた奴らを見た時

これ以上ないほど胸が苦しくなった。」

辰巳「そうならないで欲しい。」

航汰「…うちには重すぎる話だよ」

~数時間後~

辰巳「なぁんで今日は火曜日なんでしょう」

辰巳「火曜はみんなと遊べません」

葵 「なんででしょうか」

辰巳「塾があるからです」

辰巳「まあたまに公園行くとみんないるけど

塾終わった後に」

葵 「ふうん」

辰巳「じゃあな葵!また明日!」

葵 「ばいばーい!」

~辰巳の塾帰り~

辰巳「公園人いるかな」

夏琉「えぇ〜でもさあー」

辰巳「こんちはー」

保秋「おぉ!辰巳!」(八幡 保秋)

夏琉「あ!桐生きた!」

辰巳「何?なんか話してた?」

保秋「いやーね?夏琉がなんかするそうです。」

辰巳「何すんの?」

夏琉「━━はく。」

辰巳「あ?」

夏琉「告白!」

辰巳「ガチ?」

夏琉「ガチ」

辰巳「告るの?」

保秋「明日」

夏琉「自分でも早すぎだと思う」

夏琉「だってまだ好きになって1ヶ月とかだよ?」

辰巳「早ぇなおい 俺なんか7、8年だぞ」

夏琉「勢いが大事なんだよ勢いが」

辰巳「そうですか」

保秋「信じられる?」

辰巳「初々しいカップルになりそうだとは思う」

保秋「同感」

夏琉「うるさいな」

辰巳「すまん もう流石に時間やから帰るわ」

夏琉「じゃーねー」

保秋「また明日」

辰巳「おう」

~桐生家~

辰巳「あぁくっそ」

辰巳「今日は寝れねぇじゃねえか」

~翌日ー公園~

辰巳「本当にやるのか?」

夏琉「うん」

保秋「やるみたい」

葵 「どしたのー?」

辰巳「え!?葵!?」

葵 「なんか悪い?」

辰巳「よし 一つだけ教えとこう。邪魔はするな」

葵 「どゆこと?」

辰巳「いいから夏琉と航汰の邪魔だけはするなよ」

葵 「あーね 何となく察したわ」

航汰「こんにちは」

辰巳「よっ」

辰巳「まあ座れよ」

航汰「? まあいいか」

辰巳「今だ」ボソッ

夏琉「」ストン

辰巳「ダッシュ!」

そして他3人は物陰へ

夏琉「航汰、」

航汰「?」

夏琉「━━━━━━━━━━」

航汰「━━━━━━━」

夏琉「━━━━━」

航汰「━━━━━━━━」

辰巳「︎︎?(大丈夫だった?)」

夏琉「!(うん!)」

辰巳「っしゃあ!」

葵 「急にどうした?」

辰巳「夏琉の告白が成功した!」

保秋「マジで!?」

辰巳「ほんとよかったな。二人とも。」

~辰巳と航汰のLINE~

辰巳『ちなみにあの後なんかあったの?』

航汰『…』

辰巳『しっかりと"忠告はしてる"からな』

航汰『はいはい』

航汰『まあ辰巳に言われたくないけど』

辰巳『なぁ それ俺のトラウマっつーか

黒歴史っつーかそういうのなんだけど』

航汰『思い出したくない過去?』

辰巳『思い出すだけで胸が苦しくなる。』

辰巳『委員会の集まりの度に心臓爆発するし』

航汰『まじか』

辰巳『でもよお 付き合ってると言えない分

別れたとも言えねえしさ』

航汰『難しいところだね』

辰巳『ま、俺が悪いんやししゃーない』

辰巳『話せるように頑張るよ』

航汰『ファイト〜』

辰巳『んじゃまた明日な』

航汰『応!』

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とある学生たちの恋愛 ZERO_ゼロ @M6_ZERO21

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