爆乳褐色痴女エルフ
メッサジェントからは快い返事が来た。デコトラ制作の為に予算を組んでくれるとか。それ領民から徴収した税金だろ?そんな事に使っていいのだろうか。
もちろん、手紙の返事に沸いたのは工房のドワーフ達だ。それはもうお祭り騒ぎ。人の金で作るトラックは格別なのであろう。
そしてその割を食うのは勿論僕である。資材の買い出しに東奔西走。日が上ると駆り出されて、日が沈むまで運転している。
遂には隣町で日が沈み、車中泊まで経験した。正直宿のベッドより寝心地は良く、うるさいドワーフが周りで騒いでないので熟睡できた。
そんなどこの何に使うか分からない謎の資材を毎日の様に運んでいると一つの問題が浮上した。
「うーむ、絵が描けん」
ゴドウィンはよく分からない理由で腕を組んで悩んでいる。どうやら車体に描く絵がどうしても描けない様だ。
トラック雑誌に載っていたデコトラには歌舞伎役者や虎、龍に鯉と色んな絵が描かれていた。素人ながらも見事な絵であり、これもデコトラの魅力なんだと感じた。ただこれは結婚パレードに使うデコトラなので絵もそれ用にアレンジすべきだろう。
「ドワーフって器用だから絵も描けるんじゃないんですか?」
「ワシらはこう言う芸術みたいなもんは専門外じゃ」
「知らなかった」
工房の作業では細かな部品を簡単に作っているから何でもかんでも出来ると思ってた。そう言えばドワーフの里ってあんまり絵とか芸術品って見ないなと今更ながら気付いた。
「誰か絵を描ける知り合いとかは?」
「いるにはいるがそいつは変わりもんでな。こだわりも強く、引き受けるかは分からんのじゃ」
ゴドウィンの反応を見るに何だか乗り気ではない。あれだけ好き勝手にやってるゴドウィンが悩んでいるのを見ると、かなりの変わり者なのだろう。
「聞くだけ聞いてみたらいいじゃないですか」
「それもそうじゃの。ヒカル、アスカと一緒に領都に行ってくれ。アカンサスって言うエルフがいる」
「エルフ!」
「なんじゃ?エルフがどうかしたか?」
やばい、街では何度か見かけた事があるが恐れ多く声をかけれなかった。そんなエルフとお近づきになれるのか。
「いや、ほら珍しいから?」
僕はしどろもどろ言い訳した。
「まあな、森の中に引き篭もっていて滅多に姿は見せんがの。アカンサスは変わり者で街に住んどる。街に買い出しに来るエルフばいるが、あの街にはあいつしかエルフが住んどらんから直ぐに見つかるじゃろ」
まさか、このタイミングでエルフに会えるとは僥倖。異世界らしさが見慣れてきた僕には素晴らしい刺激だ。
「ところで何でアスカさんも?」
「アカスサスは無類の女好きでの。しかもガッチリとしたタイプが好きらしい。エルフは皆細身で好みの女がいないらしく森を出たそうだ」
「え、突然の性癖暴露?」
「ドワーフの女もガッチリしてるから五年程この里に滞在してたんじゃよ。まあ、よくよく考えてみるとドワーフはタイプじゃなかったららしいがの」
「五年過ごして出した結論がそれ?大丈夫なんですか?そのエルフ」
「変わりもんじゃが腕は確かだ」
しかしこの話の流れはアスカさんが生贄になるって事では?ここは僕が変態エルフからアスカさんを守らないといけない。
ここにきてまさかの異世界要素が変態エルフとの交渉とはこれ如何に。
そうしてアスカさんと共に領都にやって来た。元領主のゲースク・ズヤーロが捕まったが街は大きな混乱もなく穏やかである。
こうしてアスカさんと街に来るのは久しぶりで初めて異世界に来た事を思い出す。何だかんだこちらの生活にも慣れるんだなと人間の適応能力に驚かされる。
ゴドウィンの適当な指示により街で変態エルフを探しに来たがすんなり居場所が分かった。街ではかなり有名で誰もが所在地を知っていた。
トロトロと軽トラを走らせてアカンサスが住んでいると思われる家の前に着いた。中心地からだいぶ外れにある一軒家でそれなりの大きなある家は所々壊れていて、手入れをしていないのが嫌でも目につく。
「すいませーん!アカンサスさんはご在宅でしょうかー?」
アスカさんが玄関前で大声を出して呼びかけると、中からドタバタズッドンと物音を立てながら誰か近付いて来るのが聞こえた。
「女の声!!」
最低な発言が家の中から響いてくる。もう帰りたい。
勢いよく玄関が開かれるとそこには褐色の肌に長い白い髪のエルフが飛び出して来た。
そして何より目を引いたのが最低限の場所を隠す薄い布に隠れる事ができない位の爆乳である。
「アカンサスさんですか?」
アスカさんの質問にエルフは答えた。
「その通り!何の御用で?素敵なお嬢さん」
爆乳を揺らしながらアカンサスはカッコをつけた。本当に来てよかった。ありがとうゴドウィン、ありがとう異世界。
嗚呼、素晴らしきかな爆乳褐色痴女エルフ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます