妄想アイドル 輝(かがやき)ゆり子誕生祭!!

逢坂 純(おうさかあつし)

昭和妄想アイドル輝(かがやき)ゆり子誕生!!

LGBTQには、寛容であると、僕は思っていたし、周りからもそのように思われているのだと感じていました。しかし、僕がこの話を書こうとするにあたって、僕はジェンダーの問題を心の奥底では、偏見に満ち満ちた目で見ていたことに気づくことになります。昭和51年生まれの僕は、この話を黒歴史として、思い起したのですが、2024年の今は、この僕の話しは、そんなに黒歴史でもないのかもと思ってしまいます。只、自分が女性アイドルに憧れていて、自分もそんな風に輝きたいと思っているだけのことなのかも知れません。けれどももし、誰にもそれを言えないでいると言う方に、特に若い方に、自分にはこんな個性があって、こんなことを楽しんでいる、みたいなことを自己開示できるような世の中になってくれればいいと、この話しを書いてみたいと思います。

僕には二つ年の離れた姉がいます。僕はとてもお姉ちゃん子でした。時代背景から言いますと、僕の幼少時代は、アイドル全盛期でした。聖子ちゃん、中森明菜、キョンキョン……アイドルブームでした。それに加えてアニメです。当時、見ていたアニメは、これも姉の影響で、「魔法少女~~」というような魔法を使うと、アイドルになれちゃう!的な内容のアニメが流行っていたような気がします。

僕はそんなアイドル達をテレビで夢中で見ていました。見ているばかりではなく、自分もそんな輝かしいアイドルになりたくてなりたくて、しょうがなかったのです。

芸名は輝ゆり子と自分で名付けました。作詞作曲自分、振り付けも自分でオリジナル曲も作りました。姉は姉で、僕(輝ゆり子の)マネージャーを自らやると言って楽しんでいました。主な姉のマネージメント活動とは、仏間で歌い踊る僕(輝ゆり子)のダメ出し、輝ゆり子(僕)のファン(イマジナリーフレンド)からの防衛、サインの練習、体調管理(晩御飯で姉にその日のメインのオカズを取られる)、スタイリスト(母から貰った匂い袋入りの宝石箱の管理)、などでした。

僕の作詞作曲した歌のステージにも熱が入ります。声変わり前だったので、高音も出せて、アイドル感は増々上昇してきて、姉も僕も輝ゆり子の芸能活動に夢中でした。輝ゆり子の持ち歌は、全曲作詞作曲自分の完全オリジナルで、それを全力でやっていた僕も僕ですが、全力でマネージャー活動をやっていた姉も姉です。僕は姉と遊ぶ時には、仏間の段の上をステージにして、ショーをしました。勿論、お客は姉一人です。

男友達と秘密基地を作ったような遊びも冒険ごっこもしましたが、元来お姉ちゃん子だった僕は、姉の友達と遊ぶことも多く、姉の友達が家に来ると、ステージに引っ張り出され、姉の営業活動のお陰で輝ゆり子ワンマンリサイタルを開いていました。

ジャイアンも顔負けです。僕の輝ゆり子時代の事は、今でも姉は鮮明に覚えていると言っていたので、姉が記憶喪失にでもならないかなと切実に思っています。

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妄想アイドル 輝(かがやき)ゆり子誕生祭!! 逢坂 純(おうさかあつし) @ousaka0808

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