第24話

「ところで、どこに向かっているの!?」

「とりあえず、人間がいるところだ」

「わん!」


ポン助は、器用に木を避けている。

はっきり言って、めちゃくちゃ怖い。

びゅんびゅん、飛ばして走っているが、乗っているこちらとしては、いつ、振り落とされてしまうか、分かったものではない。

一応、アスランが魔法で、私の体をポン助から離れないように、固定してくれたものの、怖いものは、怖い。

話していないと、気がおかしくなってしまいそうだ。


「人がいるところって?」

「お前は、まだ商売をしたいだろう?」

「で、出来れば…。ほかに私に出来ることなんて、何もないし」

「だったら、冒険者ギルドとやらの本部がある国だな」

「えっ!?」

「どうした。珍しくないだろう。むしろ、妥当なところだ」

「い、いや、だって、私、住んでいた国のギルドに断られたんだけど」

「そりゃあ、運が悪かったな。だって、お前教会の許可証もらってるんだろ?」

「う、うん…」

「ふつうは、それが免許代わりになる。そこのギルドもなんだって、わけのわからないやつを優先したんだか」

「そ、それは、私のお守りが売れ物にならないからって…」

「だからって、どこのもんか知らないやつのを売るなんてな…ほかのギルドが聞いたら、驚くぜ。なんたって、自分の身に関わることだからな」


ギルドは、信頼関係、信用問題、第一だ。

だから、信頼が落ちた私のお守りを売るよりは、評判のお守りを売ったほうが、ギルド的には良かったのだろう。

それが免許も資格もない、どこのものか分からない人間が作ったお守りでも。

お守りは、冒険者によく売れる。

デザインも聞くところによると豊富らしいし、旅のお土産には、ちょうどよかったのだろう。

だから、ギルドが、安全よりも利益をとったのだ。

まさか、呪いのアイテムだなんて、知りもせずに。


「今頃、どうしてるかなぁ」

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