鬼も転生したころに
患者様
隷になるかよ
「生きたいか?人間、我の
がやがやと
ここで終わり。
「はぁ...死ぬときさえ静かにさせてくれないか。」
地面に座りながらそうこぼした。
「それは無理だな。なんだかんだでここまで付き添ったからな。なぁアリスよ」
「そうだな。だがそれも今日で終わりだ。」
「そんなこと悲しいこと言うな」
精霊のくせして大口開けて笑うこいつは生まれてからずっと視界に映る
幻のような精霊だ。めんどくさいことに俺以外には見えない。...
「いつもお前がふざけるから俺は周りから幻覚症状が見えている野郎だと言われたよな。」
「ああそうだな。」
「疲れてるんじゃないかとも心配されたな。」
「本当なのにな。」
「でも...お前が居たから自分が手を汚してしまっても心は生きていられた。」
「だからさ、感謝してる。」
「...なんか言ってくれよ。恥ずかしくなる」
伏せた顔を上げるとピクピクと翅を震わせながら大粒の涙をこぼす精霊がいた。
「おいおい。最初も笑顔で始めたんだ終わりも笑顔で締めようぜ」
「だって。おばえが、アリズがそんなごといま”いうがら。」
「そんなキャラじゃないだろ。キャラ崩壊してんぞ。」
笑う俺をよそに話を続ける。
「なぁ本当に死ぬのか?私の隷になれば鬼の呪いもその傷も治せるんだぞ」
「それでもだ。俺は鬼のまま死にたい。」
「でも...そうか。わかった。」
「わかったか。それじゃ最後くらい笑顔か一人にさせてくれ。」
「ああ。分かったよ」
「だからそのことはもう...って」
目の前にあるのは魔法陣。暗い細道だからこそより輝いて見えるそれは
初めて見る精霊魔法であった。
「...なにすんの。俺もう死ぬ流れなんだけど」
「流れなんぞ我のまえに存在しない。《
魔法陣から青白い光が街路まで飛び出る程強烈な光を一瞬散らした。
理解がとうとう追いつかなくなった。
すると
「貴様は我の眷属にはならないと拒否するのでなこちらから強制的に契約させてもらうことにした。」
「...なにしてくれるんだよ。」
「うるさいうるさーい。アリスが死ぬとこなん見たくないんだよ。」
「その傷もちょうど私が話しかけたとき敵の魔法が来たからそうなったじゃん」
「そうだけど...気づかなかった俺も悪いし。」
「でも、この魔法陣は結局なんなんだ?」
「転生魔法。」
「え?」
「転生の精霊と魂で契約した。血でも可能だけど鬼は血は出さないから。」
「そういうことじゃなくて。俺転生するの?」
「うん。」
「うんじゃねぇよ!」
「転生魔法なら相手からの承諾なしでできるからね。」
「完全に死んじゃえば世界樹に魂が吸収されるし、今ここでする。」
「なんでお前がそんなことできるんだよ。」
「そりゃあ神に仕えるすごーい精霊だから。ま。来世でも見つけるから」
「楽しみにしてね。」
いつもにもまして白銀の髪が妬ましくみえる。
「はぁ。」
ため息を漏らす。
「それであとどれくらい残ってる?」
「んーあと5秒ぐらい。」
「・・・」
にやにやとした精霊に見守らながら意識はそこで消えた。
*
「さて...どうしようかな」
今ので持っていた神力をほぼ持っていかれた。もう動けない。
あーやっぱ人間なんかに名前付けるんじゃなかった。
それに今の魔法で恐らく魔法使いや精霊には見えただろうな。私の居場所が。
はぁつくづく思うけど人間なんかに入れ込むんじゃなかった。
「――でもこの行動には後悔はしてない。」
光が放たれた細道には翅の欠片が落ちていた。
鬼も転生したころに 患者様 @mameciba
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