NASAがTRPGを公開したのは、この世界が『プレイ』されている状態だって気付いたから? アハハッ、そんなまさかぁ。

源なゆた

第1話 NASAがTRPGを公開したのは、この世界が『プレイ』されている状態だって気付いたから? アハハッ、そんなまさかぁ。

「好きだけどさぁ、そういう与太話」

 少女は、笑いながら分類ラベリングした。

「せめてSFって言ってくれんか」

 少年も、笑いながら抗議した。

「でも、もし仮にだよ、本当にそうなんだとして、大々的に発表しちゃったら、その……『プレイヤー』っていうのかな、その、人(?)達にも、気付かれちゃうじゃん?」

 器用なことに、眉をハの字にしてお道化どけながら疑義を呈した少女に対し、

「もし真面目な『プレイヤー』だったなら、そうだろうなぁ……でも、そうとは限らんだろ?」

少年は片頬を上げ、顔を僅かに正面からずらし……絵に描いたようなしたり顔をしてみせた。昨今の言い方なら、という奴だ。

「あんたみたいに?」

「お前みたいにだよ」

 二人は指差し合い、弾けたように笑った。放課後の教室。夕日に照らされた向かい側の校舎から、吹奏楽部の演奏音が微かに聞こえる。

 ひとしきり笑って、どちらからともなくキスをして、立ち上がった。

「さ、そろそろ帰ろっか」

「おう。……では、お送り致しますよ、お姫様」

 少年が茶目っ気を出せば、

「うむ、苦しゅうない」

少女は重々しく答える。

「なんか殿様っぽくね?」

「じゃああんたは側室Cね」

「ああ、お上、どうかお慈悲を~っていうかCってなんだよCって! せめてBだろ!」

「それそんな変わんないでしょ~」

「いやいや変わるって! その序列の差で生き死にが変わる世界なんだって! ドラマで観た!」

「必死過ぎ! っていうかソースがドラマって」

 コロコロと笑う少女。ケラケラと笑う少年。実に平和な日常だ。青春そのものと言っても良いだろう。


 しかしこの二人、実は互いにとは知らぬ、『』である。

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