人類の滅ぼし方〜孤高の男は、どうする?

みっちゃん87

第1章:孤独な守護者

深い森の奥、人里離れた山の中に、カズマはひっそりと暮らしていた。彼の小屋は、外界から隔絶された孤独な避難所だった。カズマは人類を憎み、世界から自らを隔絶させることを選んだ。その理由は、彼がこれまで経験してきた裏切りと失望に満ちた人生にあった。彼は、自分の存在がこの地球上で無価値であると感じていた。


毎日、カズマはマネキンを作ることで時間を潰していた。彼にとって、これらのマネキンは単なる趣味ではなく、自分の孤独を紛らわすための手段であり、彼の唯一の「友人」だった。彼はこれらの無生物に話しかけ、彼らが彼の唯一の理解者であるかのように振る舞っていた。


冬が深まり、山は厳しい寒さに包まれた。ある晩、強い風が小屋を揺さぶり、カズマは火を囲みながら、自分の選択を振り返っていた。彼は人間との接触を避けてきたが、時折、孤独の中で人とのつながりに飢えることもあった。しかし、彼はその感情をすぐに振り払い、人類への憎しみに回帰した。


翌日、カズマは小屋の周りで作業をしていたとき、不意に人の声を耳にした。彼は身を固くし、周囲を警戒した。人々から離れて長い時間が経っていたため、この予期せぬ声に、彼は混乱と恐怖を感じた。


声の主を追って森を駆け巡ると、彼は雪に覆われた地面に倒れている若い女性を見つけた。彼女の名前はユイコ。彼女は遭難して、運悪くこの人里離れた場所に迷い込んでしまったのだった。カズマは一瞬躊躇したが、最終的には彼女を自分の小屋に運び、温かい場所で意識を取り戻させることにした。


この時、カズマは自分の内面で起きている葛藤に気づかされた。彼はユイコを助けることで、自分もまた人間であること、そしてまだ人とのつながりに価値を見出す何かが自分の中に残っていることを認めざるを得なかった。


第1章は、カズマの孤独な生活と、予期せぬ訪問者ユイコとの出会いを通じて、彼の心の中で起こる微妙な変化を描く。ユイコの登場は、カズマの長年築き上げてきた壁に初めて亀裂を入れる出来事となる。

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