第13話 「配信者カップ FINAL Round」

「ごめん…みんな」

「サトウさんのせいじゃないです!私達も…」 「そうだよ!あおちゃんの言う通り!謝んないでよ!」



FIFTH Roundの結果は散々だった。どちらかというと運が悪かった。青アーマーの1つもなく、物資が乏しかった。そして第1収縮の移動中で近くに降りていた敵と鉢合わせ、1番最初にサトウさんがスナイパーで抜かれ、相手とのアーマー差・武器さで勝てるはずもなく部隊壊滅。順位は20位。ポイントはマイナス20ポイント。合計ポイントは大きく減り、122ポイントとなった。不幸中の幸いか分からないがSOLO Round2位のlaughチームも17位と決して良くない順位でFIFTH Roundを終えた。


「ちょっと精神統一してくるっす」

「あいかも行く!」

 

部隊が壊滅してからはやることは観戦ぐらいしかないので、次のラウンド──FINAL Roundに向けて精神統一のためにサトウさんと綾川さんは訓練所で何かするらしい。


「…チャット?」


あおいさんからデェスコのチャットが来ていた。


『少し話ませんか?』


俺が話せるとでも?まぁ、行くけど。


「ど、どうも」

「如月さん…来てくれてありがとうございます」

「ど、どうしたんですか?」

「いや、少し話たくなっただけです」

「そ、そうですか…」


FIFTH Roundが決着するまではまだ時間がある。まぁ、こういうのもいいかもしれない。


「私は、ちゃんとできてるでしょうか」

「はい?」

「私はみんなの為にできてるのでしょうか」 「大丈夫です!できてますよ!」

「私だけみんなよりもランクも低いしキャラコンも出来ません。」

「…あなたの得意なことを活かせてますよ」 「ほんとですか?私としては活かせてないと思ってました」

「いえ、グレネードがあるおかげで助かった所もありました」

「……それでも私は自信を持てません」

「俺からするとこの大舞台で動けているのが凄いと思います」

「……そうでしょうか」

「俺は緊張しまくってちゃんと動けないかもしれですし、ミスりまくると思います」

「………」

「あおいさんなら最後までいけると思います」 「…はい」

「頑張ってください!」

「…はい。ありがとうございます。頑張ってきます」


あおいさんは強い。俺はこの大会にはまだまだ出れないだろう。だからこうやって話すだけだ。そうすることしかできない。まだ大会みたいなのには出た事がない。──いつか俺も出てみたいな。




「FIFTH Round終了!1位は−−−チームだ!」


FIFTH Roundの優勝はaliaさんでもなく、spearさんでもなかった。もちろん俺たちのチームやlaughさんでもないが。


「順位が入れ替わります!」


1位 −−−チーム  145ポイント

2位 −−−チーム  140ポイント

3位 laughチーム  134ポイント

4位 −−−チーム   130ポイント


「中々難しい展開になってきました!」

「次のFINAL Roundはソロマッチと同じくキルポイント無制限です。そこで一発逆転できるかもしれません」


「FINAL Roundの前に少し休憩を取らせていただきます!10分後にまた会いましょう!」


──10分後


「最後、頑張りましょう!」

「はい!」

「うん!」


FINAL Roundが始まる。これが配信者カップ最後のマッチだ。勝っても負けてもこれが最後。頑張ってくれ、みんな。応援してる。




「1分半になったら出るっすよ」

「オッケー!」

「分かりました」



キャラは全員変わらず、あおいさんがジャンキラーで綾川さんがレイサー。サトウさんがハンブラーを使う。 先ほどのマッチとは違い、アーマーもいつも通り揃える事ができ、他の物資もそこそこ集めることができた。


「出来るだけキルポ欲しいんで倒しにいきたいっす」

「敵いたら教えます」

「サポートお願いするっす」


ここから優勝を狙いにいくにはキルポイントも重要だが、順位ポイントも重要だ。1位を取ったら優勝する可能性もなくは無い。


第1収縮開始時、残り部隊数−−−20部隊


「左の森林にいます!」

「検知するっす!」


最初の戦いが始まる。ここで負けたら彼らの配信者カップは終わる。慎重に、でも、大胆にいかなくては優勝はできない。彼らの辞書には「諦め」の文字は無いらしい。全員がまだ優勝を狙っている。


「行きます!」


検知で敵の場所を把握し、全員が敵の方へ向かう。


「レイサーやりました!」

「こっちもやれたよ〜」

「ナイスっす!」



危なげなく勝利。あまりにもスピーディーだった。まぁ、このゲームは他のゲームに比べてスピーディーだが。


「移動しますよー」


今回の安地は右側に寄った。ソロマッチのラストでサトウさんが戦った住宅街や、研究所。海を一望出来る展望台などがある。


「出来るだけ真ん中の方行くっすね」

まだ第1収縮が始まったばかり。最終安地がどうなるかは頑張って予想するしかない。その予想が正しいか分からないが。


「とりあえず待機で。第2安地が決まってから動きます」

「どんな動きするんですか?」

「順位ポイントも狙いつつ、キルポイントもしっかり取っていきたいんっすよねー」

「難しいこと言うね〜」

「まぁ、そんぐらいの心持ちで戦うってことっすよ」


今後の動き方を話している内に、第2安地が決定する。


「研究所の方っすね」

「移動しますか?」

「はい。移動していきましょうか」


敵と遭遇することなく無事に安地内に入れる事ができた。が、入ってすぐにある大きな岩で止まる。


「一旦ここで待つっす」

「安地に入ってきた所を襲うんですか?」

「そうっすね」

「りょうか〜い。見とくね」


数秒後、狙い通りに敵が現れる。


「すぐやるっすよ!」

「オッケー!」


あっちは警戒はしていたのだろうが、高所のこちらが圧倒的に有利だったのですぐにワンダウンをとることに成功する。


「よーし!戻るっすよ」

「はーい」


2回目の戦闘も全員倒すことができた。これでキルポイント6。このままいけば上位に届くかもしれない。


第2収縮終了時、残り部隊数−−−16部隊


「あれ?」

「どうしたんですか?」

「なんかボクの予想と違う安地っすね」

「マジ?」

「マジっす」


なんかサトウさんの予想とは安地が違ったらしい。多分そこまで動きは変わらないと思うけどね。


「まぁ、移動しますか」

「次どこ行くんですか?」

「とりあえず、展望台近くの集落っすかね」


第3収縮が始まる前、すでに彼らは目的地である展望台近くの集落に到着していた。


「ここで待機で。次の動き考えます」

「…ん?銃声聞こえたよー」


かなり遠くから銃声が聞こえた。流石に漁夫には行かないが。ラストマッチは今までのマッチよりも部隊が減るのが早いような気がする。キルムーブをするチームが増えている可能性がある。急な襲撃にはさらに警戒しなければならない。


「多分安地は展望台側に寄ると思うので近くの集落回って敵倒していきたいっすね」

「分かりました」

「じゃ、行こ!」


彼らは優勝を狙うためにキルムーブという選択をした。その選択が正しいとか正しくないとか言う権利は俺達には存在しない。全て終わってから言うのは簡単だからね。


第3収縮開始時、残り部隊数−−−14部隊


side:spear


「集落の方、移動しまーす」


メンバーからの


「はーい」


という声を聞き、移動を開始する。今回のマッチで上位を取らなければ俺達のこの大会が終わってしまう。大会が始まるまで一緒に努力して、このメンバーで優勝すると決意したんだ。


「近くにいる!」


集落に着き、少ししたら足音が聞こえたので警戒するようにメンバーに指示する。指示した時にはハンブラーの検知が飛んできたので、相手は戦う意思があると判断する。


「戦います!」


検知までしてきたなら絶対に戦うだろうし、戦闘準備。


「…は?」


動こうとした瞬間、1人のメンバーの体力が一気に吹っ飛んだ。


──マズい!そう感じた時には遅かった。


「右!」


同時に迫る3つの足音。1人にエイムを合わせるが、飛び出してきたレイサーの動きについていけない。少し掠っただけでレイサーの体力は全く減らせていないままリロードに入る。


「すいません!」

チームメンバーからの謝罪。ふと、メンバーの体力を見てみると、既に全部なくなっていた。生き残っているのは自分spearだけ。


──あぁ、俺達は負けんだ。



残り部隊数−−−13部隊


「ふぅ。ナイスグレっす」

「ありがとうございます」

「今倒した人、spearさんじゃん!」

「マジっすか?なら、強敵は1チーム減ったすね」


集落に寄った時、足音と検知によって場所を割り出したサトウさんはあおいさんに直グレを指示した。それがぴったりとハマり、1人を瀕死まで追いやる事ができたのでそのまま勢いで1部隊壊滅させる事ができた。



「ここにはもういないっすね」

「移動しますか?」

「そりゃもちろん」


第3収縮が終了し、安全地帯は少なくなり、残りの部隊数も減ってきた。これからはどれだけいつも通りに立ち回る事ができるか、それに運も絡んでくる。


「行くっすよー」


最初の予想とは違ったが、なんとかまだ安地内ではある。彼らはキルムーブを選択しているから移動する時間が長い。いつ、倒されてもおかしくないのがキルムーブだ。…第4収縮が始まる。


第4収縮開始時、残り部隊数−−−11部隊



「aliaさんとlaughさんはまだ生き残ってるっすね」

「えーやだな〜」

「そんな事言ってもどうしようもないっすけどね」


まだ強敵であるaliaさんのチームとlaughさんのチームは生き残っている。どこにいるかは分からないが動いていればいずれ出会うだろう。優勝するためには必ず倒さなければならない。


「全員ウルト溜まってるんで次の戦いは強気にいくっす」

「りょうか〜い」


今更だが、彼らの持っている武器はサトウさんがサブマシンガンとショットガン。綾川さんがアサルトライフルとショットガン。あおいさんがサブマシンガンどスナイパーライフルである。


「……ん?」

「どうかしましたか?」

「いや、なんか音がしたような気が…」

「気のせいじゃない〜?」

「検知撃つっすわ」


サトウさんは検知を放つ。すると──


「いるっす!」

「えー!嘘!」


1人だけ隠れていた。ほぼ動いてなかっただろうに。サトウさんの耳が良すぎたばっかりに…


「なんか可哀想でしたね」

「うん。確かに今のはちょっと可哀想だったね」


サトウさんが隠れていた1人を倒し、部隊数が11から10に変化する。おそらく今の敵は味方が倒され、1人で戦いに行くこともできなかったので順位ポイントだけでも持ち帰ろうとしていたのだろう。少し動いてしまったのが敗因というなんとも言えない終わりになってしまった。……マジで可哀想。


「残り部隊10です。頑張るっすよ!」

「はい!」

「うん!」


第4収縮終了時、残り部隊数−−−10部隊



「ここの家中に入るっすよ」

「ギッチギチですね」


第4収縮ともなると安全地帯が狭くなる。その狭い安全地帯の中にまだ10部隊──どこかのチームが欠けているので人数で言うと、28人。9部隊は完璧に揃っていて1部隊が1人だけ生き残っている。第4収縮の安全地帯の狭さは第5収縮や最終収縮に比べたらマシだがマップの大部分を占めている。あおいさんがギッチギチというのもおかしくない。


「どうします?」

「とりあえずここからは動きたいっすけどね…」


様々な所で戦闘が起き始めている。キルログが今までよりも流れてくる。


「…ッ!グレ!」

「危な!」


彼らがいる家中に窓からグレネードが投げ込まれる。なんとか避けようとしたが完全には避けきれず爆風のダメージがサトウさんと綾川さんに入る。


「来てるっす!」


サトウさんが回復する前に、検知を放つ。グレネードが投げられたのだから当たり前だが1部隊が近くに来ていた。


「上にいます!」


相手は既にスキルを使い、家の屋根に張り付いていた。 上にいられると彼らはどうしようもない。


「どうしましょうかね…」

「直グレします?」

「外に出たらきつくないっすか?」


あおいさんの直グレで屋根にいる敵を下に降ろす事が出来たら最高だが、外に出たら必ず撃ち降ろされる。グレを投げるためにダウンしてしまったら意味がない。


「いや、それが1番いいんじゃない?」

「守ってください2人とも」

「…そうっすね。あおいさん頼みます」


あおいさんとサトウさんが扉を開け、外に出る。そして同時に裏口から綾川さんが出ていく。


「こっち見ろー!」


屋根にいる敵の注意を引くためにスモークを使う。しっかり妨害することに成功。


「頼むよー!」


狙い通り綾川さんの方に注意が向く。


「任されました!」


あおいさんが持っているグレネードは2つ。どちらもしっかり当てればダウンさせることができるはずだ。─── 2つのグレネードが敵部隊を襲う。綾川さんの方に注意を向けていたその部隊はグレネードが全員に直撃する。


「下落ちてきた!倒すね!」

「全員黒アーマーです!大体割れてます!」


グレネードが直撃したことによって爆風で敵部隊の3人が全員屋根から落ちてくる。バラバラに落ちてきたので全員が孤立状態になっている。


「1人やった!そっち1人行ったよ!サトケン!」

「分かったっす!……やったっす!」

「ナイス!」


孤立していた2人をサトウさんと綾川さんが倒す。後はあおいさんの近くにいる奴だけだ。


「あおちゃん!後そいつだけ!」

「分かりました!」


相手はグレネードの爆風でダメージを喰らっている。体力的には有利。多分勝てるだろう。


「…やりました!」

「ナイスっす!」


あおいさんがしっかり倒して1部隊を壊滅させる。これで──


「ちょ、来てる来てる!」

「家中入って!」

「痛すぎ!回復するからドア抑えといて!」 「分かりました!」


漁夫の敵が現れ、綾川さんの体力が削り取られる。なんとか全ては削られなかったので家中に戻り回復を優先する。扉の前にいれば扉は開けられる事はないので近くにいたあおいさんが扉前を抑えて開かないようにする。


「やばいです!ウルト!」

「あおちゃんこっち来て!」


あおいさんが抑えていた扉に相手のジャンキラーウルトが放たれ、扉が破壊される。破壊された瞬間、どっと相手チームがなだれ込んでくる。


「ウルト使います!」


あおいさんもジャンキラーウルトを使う。しかし、しっかりとは相手に当たらず、爆風で少しダメージを与える程度になった。だが相手を少しだけでも怯ませる事ができたなら──


「1人やりました!」

「ナイスっす!もう1人どこかに──」

「ッ…!やられた!裏口いる!」


とてつもないスピードでこっちにレイサーが向かってきていた。サブマシンガンを構えた時にはスモークが炊かれ視界が悪くなる。

「…ウルト…」


サトウさんは何かを感じ取ったのかハンブラーのアルティメットを使う。これによって相手は一時的にスキル・アルティメットが使えなくなる。


「クソっ……!」


相手のレイサーはサトウさんにウルトの爆弾をくっつけようとしていたのだろう。だが、サトウさんがウルトを使ったことにより、その選択肢が消え失せる。スモーク内で視界が悪い中、サトウさんはサブマシンガンを使いダメージを与える。が、倒すことはできなかった。

「マジか……!」


相手はスモークの中でも正確にサトウさんに向けてサブマシンガンの銃弾を放ち、サトウさんの全体力を削り取る。 残っているのはあおいさんだけ──


「ッ…!無理です!」


アルティメットも使いきり、得意のグレネードも先ほどの戦闘で使いきってしまったあおいさんにはどうする事もできなかった。


第4収縮終了時、残り部隊数−−−4部隊



「すいません…負けちゃいました」

「いや、ほんとにごめん!私が先にやられちゃった」

「2人とも、頑張ってくれましたよ」


FINAL Round、綾川チーム順位−−−5位

キルポイント、合計−−−13ポイント

順位ポイント−−−10ポイント

合計、プラス23ポイント

総合ポイント−−−145ポイント





最終収縮開始時、残り部隊数−−−2部隊


「さぁ、ラスト2部隊!残っているのはlaughとalia!」

「まだ、どちらもフルで残っています。最後までどうなるか分かりません」

狭い安全地帯の中、両方のチームが遮蔽を使い距離を詰める。じわじわと場面が動き始めた。


「おっと!laughチーム1人ダウン!」

「これでlaughチームはキツいですよ…」


遮蔽に隠れていたがグレネードに直撃してしまい、安置外に吹き飛ばされてしまい、ダウン。これで2vs3になる。


「冷静にlaughが1人ダウンさせました!」 「2vs2ですね。どうなるのでしょうか」


laughさんは味方が倒されても動揺せず、aliaチームの1人をダウンさせる。状況は目まぐるしく変わり、2vs2。


「残り数秒で安全地帯が完全になくなります!」 「どちらもヒートバリアを持っていますが…」 「おおっと!laugh動いた!」

「うぉっ!ウルトが完全に決まりましたよ!」 laughさんはレイサーウルトを完璧に当てる。だが、当てた瞬間laughさんのチームメンバーがaliaさんのウルトで倒され、1vs1!


「ラスト、タイマンだ!1vs1!!laugh対alia!!」

「これが最後の戦いです!」


どちらもウルトが無く、純粋な実力勝負。


「うぉぉ!どちらも素晴らしいエイムだ!」 「どちらも体力は少なくなっています!この勝負どうなるのでしょうか!」


laughさんaliaさんどちらも、スモークの中でも弾を当て続け体力が残り少なくなる。どっちが勝つか、誰も分からない。


「決まったァァ!FINAL Roundチャンピオンはaliaチーム だ!」


「すごい戦いでしたね!本当に最後まで分からない素晴らしい勝負でした!」


FINAL Roundの優勝はaliaチーム。2位はlaughチームとなった。


数分後──

「それでは総合優勝を発表します!!」

「最後綾川チームの追い上げなどもあり、どのような順位になってるか分かりません」


「発表します!配信者カップ総合優勝は──!」




1位 laughチーム  155ポイント

2位 aliaチーム  149ポイント

3位 −−−チーム  146ポイント

4位 綾川チーム  145ポイント


「laughチームです!!優勝おめでとうございます!」

「おめでとうございます!」





「優勝はlaughさんかぁ……勝ちたかったなぁ」 「悔しいっすね」

「はい。悔しいです…」


優勝インタビューを聞きながら、彼らは戦いを振り返る。


「最後に負けたのはaliaさんだったんだよなぁ〜」

「倒したかったです…」

「倒せてたら優勝できたかもね〜。うわ〜悔しい!」


インタビューは3位までなので彼らにインタビューをされる事はない。このまま配信を終わるのか、2次会をするのかは俺は知らない。 ……彼らは絶対に勝ちたかっただろう。確かに最後のマッチを勝てていたら優勝できたかもしれない。彼らはこの大舞台で素晴らしい戦いをしていたと思うし、本当に惜しかったと思う。


「これにて配信者カップを終了します!みなさんありがとうございました!!」

「見てくれてありがとうございました!また、次回の配信者カップで会いましょう!」





「あいか達も配信終わろっか」

「はい。みなさんありがとうございました」 「最後までありがとうございました。また今度遊びましょう」

「うん!サトケンもあおちゃんもありがとね!」

「じゃ、配信切ってくるっす」

「私も切りますね」

「うん!みんなも配信見てくれてありがとう!」


コメント:みんな凄かった!

コメント:ナイスな戦いだった! 

コメント:配信してくれてありがとう!

コメント:2次会待ってます!

コメント:いいチームだった!



−−−この配信は終了しました。


「みなさんお疲れ様でした」

「じゃーね!サトケン!また遊ぼ!」

「おけっす。また時間が合えば遊びましょう!」 「あいかも落ちるね!また遊ぼう!あおちゃん!」

「はい。また遊びましょう」

「じゃーね!」


サトウさんと綾川さんがデェスコから抜け、サーバーには俺とあおいさんだけが残る。


「如月さんもありがとうございました」

「いや、俺は何もしてないですよ」

「そんな事はないです。アドバイスくれてありがとうございました。あれで自信がついたんです」 「そうですか…それなら良かったです」

「はい。また今度、遊びましょう」

「へ?」

「時間が合えば一緒に遊びましょう」

「え、あ、はい。分かりました」

「ふふっ。また連絡しますね。如月さんお疲れ様でした」

「はい。あおいさんもお疲れ様でした」


同時にサーバーを抜ける。…配信者カップは終わってしまった。俺は何もできてないどころか出場すらしていない。──次の配信者カップがある時には出場してみたい。


「ん?通知?」


デェスコから通知が来た。あおいさんが何か伝え忘れていたのかなと思いながらデェスコを開く。



水無瀬イツキ『話したい事があるんで今度会えませんか?場所は──』


「……え?」



なんで……?マジでなんで……?

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