第7話 川辺の喫茶店、漫画喫茶・可児で野宿〜一万里温泉・藤岡での臨時野宿

 豊岡のおかきやさんで買い物を済ませ、お善哉を食べて再度帰路に就くが、ふと思い出す。川を見下ろす喫茶店でランチにしようと。その喫茶店は豊岡からは北上後南下した場所であり行政区としては京都府京丹波となる。通常ならば旅行先として同じゾーンとは扱われない位置関係だが、こちとら関東から来ている。誰が何と言おうが京都も兵庫も一緒だw こうした決して近くない距離を移動するというのも連休の醍醐味だ。


 そして、目的の喫茶店にランチタイム滑り込みセーフでランチとコーヒーをいただく。


 なお鳥取で風呂入ってもお構い無しにずっと着物姿。だいたいいつもこう。出発時点から着物で出ることはなく、ある程度走ってから着替えて帰ってくる時には着物姿というパターン。やはりドライブの開始時点では日常のモードなので着替えて出発するのはハメ外し過ぎだろうという遠慮があるが丸一日くらい運転するとそういう心理的束縛がいい感じにほどけて来てハジけて着物姿に変身したくなる。


 着物姿でリバーサイドの喫茶店でハンバーグランチを食し食後はコーヒーとタバコ。何やってるんだろうな(笑)


 その後どうやって帰ろうかという経路選択。京丹波まで来ていると自然なのはそのまま9号線で京都市まで南下して東海道で帰るのだが、連休である。国際的観光都市京都である。即座にそれは無いと結論づけ、再度北上してから琵琶湖の北から関ヶ原バイパスを抜けて岐阜市内へ。関ヶ原付近で渋滞していたので漫画喫茶でも寄ろうかと検索掛けて最寄りがよりによって穂積の漫画喫茶。旧友の地元であるが、向こうは既に家族持ちの責任ある立場だ。独り身ではないから当然夜中に何の事前連絡もなく会おうなんて言って会えるほど身軽じゃない。一人で勝手に疎外感を感じつつも、漫画喫茶のマッサージシートブースをとる。鍵付き個室ではなく、ブースだが、仕切りはついていてその仕切りに簡易の鍵もついている。しかし仕切りの上は開放されており、およそ意識を失うほどの熟睡に耐えるセキュリティレベルではない。なんか安心できずに軽く運転疲れが取れるくらいに休んで再出発。仕方ないよね。

 で、少し頑張って可児の道の駅で5月4日の夜を過ごす。と言っても疲労が結構たまってたのですんなり眠れた。一応仮眠だよ仮眠。車中泊じゃないよw。


――5月5日――


 可児で目覚め。もうここへ来た以上は帰路は中山道か甲州街道に決まってる。木曽高速を経て、塩尻に達した後あえて甲州街道ではなく中山道姫街道で帰ることにする。というのも佐久で風呂に入ろうという考えがあったからだ。


 佐久の風呂。かつて数百キロ先にまで案内看板を出していた事で有名なあの温泉だ。いや地球一周分の距離離れたところにまで看板出してたんじゃないか?だって「一万里」だもんw


 可児からずっと運転して夕方、ギリギリで入浴受付に間に合うが、歩行浴の設備が補修中で動いてないとのことだ。特に気にするわけでなく入浴。別に初めてでもなんでもないが、本当に普通の温泉で、特別浴室が大きいわけでもアトラクションバスになってるわけでもない。

 あえていえばブラックライトで紫外線で照らされ、タオルを持ち込むとタオルが光る洞窟風呂は面白風呂ではあるが、まあ別にそれをお目当てにするってわけでもなく刺激が少なく長く入ってられない穏やかな泉質のお風呂だけで充分だと思うよ。


 温泉旅館は遠くにありて思うもの。あえて数百キロ先に看板を出すことが意味する世界観というのがある。その風呂が他の風呂と何か違う強烈な個性があるのかと言えば無い。どこにでもありそうな普通の温泉旅館だ。しかし、それが遠くにあって旅の目的地になるかというとなる。近づくと看板がなくなり遠くには看板がある。看板を見たとき遠くにある普通のその温泉に思いを馳せる。また行ってみようかな……と。


温泉をあとにし、254号バイパスをゆく。南蛇井の近くの丁字路にて帰路の方向の道が大渋滞してるので、丁字路脇の牛丼屋で晩飯。

正直言って無茶苦茶疲れが出てきたので、過労運転を防ぐために仮眠をと思ったが、緊張が取れてないので眠れず。ただ目を瞑ってボーっとして小休止。小一時間くらい休んだが一向に渋滞は解消せず。しゃあないなと渋滞に付き合うことにする。

そうして、17号の道の駅おかべにでも向かうかと思っているとき、藤岡付近で道の駅の案内登場。行ったこともない初めての道の駅だったが、そろそろ過労運転でないと言い張るのも破綻しそうなので素直に休息するために向かう。


――

道の駅藤岡がそういうところだとは聞いたこともないが、疲労により認識の変調を来していたのだろうか? なんか遊園地というかリゾート施設のように私の目に映った。いつでもチェックアウトは出来るが出ることは出来ないあのホテルのような空虚な電飾が不気味な設定を暗示するかのような感覚を覚える。

 しかしそんなことあるめぇと野宿。ぐっすり眠った。朝になってスッキリするとそういう印象は全く感じなかった。


 

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