3.黒猫と蝙蝠
あれー? なんか、解決してるー?
蝙蝠がさっさと見つけないからなの。
えー、黒猫なにもしてないのに文句ばっかりー。
蝙蝠ひとりじゃ無理って言うからついてきたの。文句も言いたくなるの。
わー、おっしゃる通りだー。
それにしても、何があったのかな、なの。
ねえねえ、黒猫ー。あそこにいる子に聞いてみようよー。
目を回したシジミチョウなの。どうしてこんなところにいるのなの。
ふーん、君があの頑固者の人魚カエルと厄介者の梟を同時になんとかしてくれたんだねー、すごいやー!
あのカエルもどきはそろそろ人魚に戻さなきゃだったの。じゃないと一生カエルから戻れなくなるところだったの。でも本人が戻りたいって強く願わないと戻れない魔法がかかってたの。
ぼくたちが何度説得しても、かたくなに桜になるんだって聞かなかったんだよー。
桜にからかわれて、ご飯が食べられなくなって、あの人魚は餓死寸前だったの。それを魔女様が無理にでもご飯が食べられるようにってカエルに変えたの。いい具合にご飯をもりもり食べて、人魚、もうすっかり元気になったの。でも、人魚に戻りたいって、なかなか願ってくれなかったの。
すごいよー、本当にー。君のおかげであの人魚は元に戻ることが出来たんだー。
すっごい荒療治だったみたいだけど、なの。それでもあなたのおかげで、食べるばかりでテコでも動かなかったあのカエルもどきが重い腰を上げたの。ありがとうなの。
梟はねー、魔女様の名前を使って、悪戯ばかりしていたんだよー。おかげで、魔女様のただでさえあんまりよくなかった評判がー、ますますよくなくなっちゃったんだー。
本当に、いい迷惑だったの。今日という今日こそはとっちめてやるつもりだったの。でも、もう人魚がやっつけてくれたの。
黒猫はー、加減が出来ないからねー。今日は梟のスープになるかなーって思ってたけどー、ご自慢の翼がダメになってー、飛べなくなってー、これでもう十分なお灸だよねー。
そうなの。梟のスープはおあずけなの。でも次は無いの。次に悪戯したら、今度こそスープなの。
そんなわけでねー、君のおかげでいろいろとイイ感じに解決したんだよー。
なにか、お礼でもしたいの。お願いがあれば、言ってみるの。
黒猫はとっても強いからねー、気に入らないやつをやっつけるとかでもいいよー。
蝙蝠はものを見つけるのが上手なの。失くしたもの、欲しかったもの、何でも言ってみるの。
あー、そっかー、魔女様に会いたいのかー。
それは、難しいの。魔女様、あんまり私たち以外に会いたがらないの。
ぼくたちが君を連れて帰るのはー、お願いされても、出来ないかなー。
でも、もしあなたが勝手に魔女様のところへ行くのなら、私たちは止められないの。
ぼくたちはまだお仕事が残ってるからねー。その間にこっそり魔女様のところへ行ってしまっても、わからないからねー。
魔女様は気まぐれだから、会ってくれるかもしれないし、会ってくれないかもしれないの。
それでもいいかなー? そっかー、じゃあ頑張ってー。
応援はしているの。頑張るの、小さなおともだちさん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます