ナビ

@ku-ro-usagi

ショートショート

あのさ

青木○原の樹海に行くと

ナビが必ずやおかしくなるよね

自動ブレーキシステムも

『人がいます』

で頻繁に作動するし

ナビは大抵固まるか

もしくは道ないのに

『間もなく左です』

『左です左です左です左です左です曲がってください曲がってください曲がってください』

のエンドレスとかね

そもそもナビゲーターの音声も変でさ

『イ、イ、イッショ、ワタ、ワタシ連れツツツツツ……』

『クル……クルシ……タスケ……タス』

『ピーーーーーー!!』(警告音最大音量)

とかさ

もうまともに機能しないんだよ

ラジオ?電波?混線しやすいのかなぁとか思ったり

後はやたら車体重くなったりするし

特に後部座席ね

体感だと大人2人くらい増えたかなって位重い

私の愛車、軽だからさ、重さ露骨に食らうんだよ

でも私ね

こういうの全部さ

ゼロ磁場の関係かなとか思ってたんだ

うん、本気で


そしたらどうやら違うみたいで

彼氏とドライブしたらさ

助手席でめっちゃパニック起こされて

「降ろせ!やっぱ無理!待て頼む早く抜けてくれ!」

とか1人で大騒ぎしてた

樹海抜けてから

「普通は、あんな事はそうそう起きない」

とぐったりしながら呟かれた

え、そうなの?


それらをね

友人に話したら

「んーよくあるかは疑問だけど、とりあえずそいつはダサい」

とまず彼氏のダメ出しされた

否定はしないけれども

そしたら友人も

「あのさ

ネットの怖い話とかでよく見ない?

ナビで墓場に誘導される話

怖い話ではお約束だよね~って思ってたんだよ」

うん

見る見る

あれ好き

ってはしゃいだら

友人も楽しそうに笑って

「私もね

中古屋で買ったまだ新しいナビがさ

アウトレットを目的地にすれば廃村に到着

観光地の展望台広場にセットしたら山奥の崖っぷち

目的地を自宅にしたのに

連れていかれたのが大昔に潰れた朽ちに朽ちたラブホの前でさ

『目的地周辺です』

ってナビを終了された時は

もうその場でナビ叩き潰してやろうと思ったくらい腹立ったわ」

それは確かに怖いより腹立つ

でも

「思っただけでしなかったんだ?」

「しなかった」

案外自制心あるね

「あるよ

だってつい最近

結婚渋られてギクシャクした彼氏に

『あ、このナビをプレゼントとして渡そ!』

って思い付いて

ちゃんと渡してから別れたからね!」

って

いや

待って

そんなドヤ顔されても困る

「ふふん」

じゃないんだよ

何呪いのアイテム押し付けてんの


私は

「結局人間が一番怖い」

ってオチの話は大好きだけど

身近な友人が一番怖いってオチはちょっとでなくとても嫌だよ

うん

嫌だよ

怖いよ君

あ、解った

だから結婚渋られたんじゃない?

はい嘘です、冗談です、ごめんなさい


しかし

こいつと出会ったのが私も含め運の尽き

どうか友人の元彼が無事で生きてますように

南無南無




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ナビ @ku-ro-usagi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ