内見から始まる恋の物語
サクライアキラ
前編
本当の幸せは恋愛、最後は結婚だと考えていた俺にとっては、これまでの28年間の人生で幸せを感じることは一度もなかった。
そんなある日、ふと気づいた幸せ観を変えてみることにした。そうすると、世界は大きく変わって見えた。
俺は新卒で外資系企業のコンサルとして5年働き、給料も仕事も充実しており、男友達ならそれなりにいる。この際、恋愛以外の幸せを全て掴んで、人生を謳歌することに決めた。
最初に考えたのは家を充実させることだった。長らく会社の近くのワンルームマンションで暮らしていたが、この際タワマンみたいなところに住めばさらに人生を謳歌できるのではないかと安易ながら考えた。調べてみると、都心のテレビ局が多くあるエリアの40階建てのマンションの39階が偶然にも売りに出ていた。
そして、今日不動産屋とともにこのタワマンの内見に来ている。
「あの、聞いていらっしゃいますか?」
40代くらいの女性の不動産屋は、今日の内見のことについて、色々話していたらしい。聞いていなかったが、おおよそ大したことも言っていないだろうと推測できたので、あいまいに頷いておく。
不動産屋の案内に従い、エントランスに入る。当然ながらオートロックになっている。そこで、不動産屋は3901のインターフォンを鳴らすと、オートロックは解除された。空室はインターフォンさえ鳴らせば、開くシステムなのだろうか。そうだとすると、決して防犯上優れてはないと思ったが、別にオートロックにこだわっているわけでもないので、あまり考えずに進む。
入った先には、ソファとローテーブルがたくさん置かれており、ホテルのラウンジのような様相をしている。不動産屋の情報によると、ここで打合せをできてしまうことも魅力の一つらしく、今どきのタワマンにはどこでも大体あるらしい。
タワマンにかなりの確率でいるらしいコンシェルジュに挨拶をし、エレベーターに乗る。エレベーターもオートロックになっており、同様に3901のインターフォンを鳴らしてやっと扉が開く。
そして、39階にたどり着くと、一番奥の部屋に今回の内覧先の3901の部屋があった。
「それでは準備よろしいですか?」
内覧ごときに準備も何も必要ないと思ったが、一応頷いておく。すると、不動産屋はインターフォンを鳴らした。いくらなんでも、そこでインターフォンはおかしいだろう。普通に鍵を開けて入ればいいのに。それとも、不動産屋のマナー的なもので、今後お客様の家になるからとりあえず人様の家と思って接しなさいみたいなものがあるのか。仮にそうだとしたら、そんなマナーは今すぐやめた方が良い。こんなことされると、中に幽霊でもいるんじゃないかと不安になる。
「はーい」
そんなことを考えていると、中から声が聞こえた。
すぐに、不動産屋に助けを求めようと口を開きかけたときには、既に扉は開いていた。
「どうも、こんにちは」
同世代くらいに見える若い女の子が中から出てきた。
「えっと……。え?」
全く意味が分からなかった。内覧でなぜ女の子が出てくる?もしかして、女の子付きの物件とか言うやつか。格差社会が進みすぎて、こんな中世の貴族社会みたいな、倫理観のかけらもない世の中になってしまったのか。
「こちら高原さんです、本日内覧よろしくお願いします」
不動産屋は俺を何食わぬ顔で紹介し、その女の子に頭を下げた。俺は全く理解が進まない中、不動産屋とその女の子に案内されるがまま、中に入る。
「え?高原さん、私が住んでるって知らなかったんですか?それはびっくりしますよね」
「はい」
「私は説明しましたけど」
「全く聞いてませんでした、すみません」
リビングに入って早々、部屋の図面の説明をしてくれるということで、そこまではまあわかったが、なぜかこたつを三人で囲んでいる。カップルとそのどちらかの母親のスリーショットにしか見えないような三人だ。もしくは、結婚相談所の人とその登録者の男女だろう。
「すみません、ここの家主の間宮こころです」
「えっと、家主ということは、持ち家ということですか?」
「まあ……、はい」
「それは……、すごいですね」
「まあ、そんなにすごくはないですけど……」
「どうして売ろうと思われたんですか?」
「この部屋一人だと寂しいんですよ。私そもそもそんなに荷物多い方じゃないし、景色だって見てても……。まあ快適といえば快適ですけど……」
これは本心ととらえて良いのだろうか。事前に調べていた時点でわかっていたことだが、間取りは2LDKで、各部屋のサイズはタワマンだからと言って特段広いわけでもないが、普通のマンションなどと変わらないくらいの広さはある。俺としては決して広すぎて困るという心の段階は既に超えて達観しているので、何とも思わないが、普通に考えれば一人で住むには少し孤独を感じるのかもしれない。
「一部屋なんて完全に余らせてて……、あっ、見ます?」
家主がリビングの隣の部屋をアピールしてくるので、そこは「お願いします」としか返せない。
家主が扉を開くと、そこには何もない部屋で、名前も知らない、決してかわいいとも言えない竜のぬいぐるみが一匹真ん中に置かれていた。
「この部屋置くものがなくて仕方なく、守り神の竜を置いてるんです」
反応のしようがなく、「へぇー」としか言えなかった。もしかすると、少し寂しすぎて病んでいるのかもしれない。昔の中二病こじらせていた時期であれば、「俺がその孤独埋めてやろうか」と言っていたところだったが、やめておいた。中二の時、実際にほんの少し仲良くなった、厳密には仲良くなったと思っていた女子に同じことを言ったら、翌日からはクラスのメンバー全員から中二病と呼ばれるようになったことを思い出して、少し顔を覆いたくなる。
「今は無機質な部屋ですが、高原様がお住まいになるときはもちろんお好きなように使っていただいて構いませんよ」
不動産屋が何とも気まずい空気になりそうなところに声を掛けてくれた。よく考えれば、もし俺が家主になるなら当然お好きなように使うわけで意味なんて一ミリもない発言だったが、場はおさまったのでよしとした。
「もし、この竜必要だったら置いて行くので、言ってくださいね」
「はい……」
入って10分、ここの家主は変わった人だなと思い始めていた。
そこから、もう一つの部屋も見せてもらった。こちらは、さっきと違って女子女子しい部屋だった。一応仕事用なのか、デスクはあり、その周りにはよくわからないが、おそらく女子であればかわいいと言うような小さい、かわいくデフォルメされたキャラのぬいぐるみが置いてあったり、ステッカーが貼ってあったりする。ただ、ベッドは普通に俺の部屋とそれほど変わらないような、シンプルなものだった。
「何か、これじゃあんまり参考にならないですよね」
「いえいえ、広さとかわかるんで、大丈夫ですよ」
「良かったら、ベッドの上で寝てみますか?」
「寝てみません」
反射的に答えてしまった。
向こうも冗談なのだろうから、もっとユーモアのある返しをすれば良かった。これだからモテないのかもしれない。とはいえ、こういうとき、「じゃあ」なんて言ってしまえば、すぐにセクハラとか言われてしまうんだろうとも思うから、難しい。結局はこういう話を振らないでほしいとも思った。
「ですよね、冗談です」
家主は少し笑っていたが、反応が悪かったのが気に入らなかったのか、少し拗ねた感じだった。少しかわいいとも思ってしまったが、それは9割方、むしろ10割方セクハラに当たってしまうと思ったので、言わないでおいた。
「高原様、こちらから見る景色は絶景ですよ」
不動産屋がそう言って、窓の近くに呼び寄せる。窓は安全上の都合か開かないようになっていたが、窓はしっかり磨かれており、39階から見える景色は壮大だった。展望台から見える景色と同等レベルと言っても過言ではなかった。もちろん、39階より高い建物もあるにはあるが、それでも都内を見渡せるというのはかなりポイントが高い。東京という世界有数の大都市を壮観できるというのはとても魅力的だった。
「南向きのお部屋ということもあって、とても良いんですよ。ここだと目覚めも良いよですよね」
「まあ、はい。さっぱり起きれます」
さっぱりってなんだろうとは思ったが、すっきりという意味だろうと解釈した。人のことを言えるような人間でもないが、やはり少し変わった人だなと思った。
トイレや浴室もほんの少し見させてもらったが、現役バリバリで女の子が住んでいるところのものを見せてもらうのはかなり気が引けたので、あまり見なかった。
「他に気になるところ等はありますか?」
全ての部屋を一通りは見終わった俺に不動産屋は声を掛けた。
「大丈夫です、大体気になるところは見れたので」
「そうですか、わかりました。間宮さんからは何かありますか?」
「そうですね、良かったら買ってください、って感じです」
アイドルがCDを売るかのような軽さで家主は言った。いくらなんでもタワマンをそんな軽さでは買えない。
「まあ高原さんももちろん一世一代の決断とは思いますので、そこはしっかり考えていただいて、その上でこちらの物件もご検討いただけると幸いでございます」
不動産屋はフォローをした。ただ、こういう言い方をする人の方が、実際心の中では「今すぐ買え」とでも思ってそうだから、人間はわからない。とりあえず、あいまいに頷いておいた。
3901の部屋を出て、1階のエントランスにあったラウンジで不動産屋と二人で話す。
「こちらの物件、いかがでしたか?」
「まあ割と良かったですね」
「そうですか」
「でも、悩ましいですね」
実際はかなり好感触だった。一人暮らしをするにしては十分に広いし、景色も最高。出社は多くないといえども、出社するときのアクセスもかなりポイントが高い。それに家主がきれいに使っているので、全体的に新築と変わらないきれいさがあった。それでいて中古の価格なので、新築と比べるとコスパは良い。そもそもこだわりが強いわけでもないため、このまま決定して良かった。
ただ、あまりここですぐに買いますって言うと、なんとなくがっついている気がしてしまう。がっついているからってどうってことはないのだろうし、不動産屋にとってはうれしいだけなのだろうが、なんとなく欲望の権化という存在に思われるのが癪だった。ということもあって、その場では「また考えて連絡する」と答えておいた。
不動産屋からはその場で、別の低層マンションや一軒家の内覧を勧められたが、全て断り、この日は解散となった。
翌日の夕方、仕事が一段落したときに、「昨日の物件について、購入するということで進めてください」という連絡を不動産屋に入れておいた。まあそう簡単に他に取られてしまうということもないだろうが、今日偶然新婚の同僚と話しているときに、もっと広いマンションに引っ越そうと考えているという話を聞き、もしかするとあの物件が他の人に取られてしまうんじゃないかと突然不安になった。
夜、仕事が終わり、家に帰る途中の電車で「承知しました、手続きを進めさせていただきます。またお電話します」というメッセージが届いていた。どうやら他の人に取られるということはないようだ。今後の流れとしては、ローンの仮審査をして通れば契約を結んで購入ということになるが、不動産屋の見立て的には余裕だろうと言っていた。
それから1週間経った金曜日の午前中、電話があった。仕事中ではあったが、急な用事かもしれないと思い、出てみると不動産屋だった。
「高原さん、この度ローンの仮審査が通りました。おめでとうございます」
不動産屋の見立て通り、仮審査は余裕で通ったらしい。それで、契約を結ぶ日程を早々に決めて、電話を切ろうとしたときに向こうから渋々という形で切り出してきた。
「すみません、実は売主の方からの提案で、せっかく家を売るならということでパーティーをしたいという要望がありまして」
売主というのはあの変な家主のことだ。パーティーを開きたいとはどういうことだろうか。
「そちらに高原様にも出ていただきたいということでして……」
パーティーに誘われるなんてことがまずなかったので、少し喜びたい気持ちもあるが、一度しか会ったことがない、しかも不動産の内見に行っただけの仲で誘うのは謎だった。
「わざわざ僕が呼ばれるというのはどういうことでしょうか?」
「売主様は、マンションを出て行くことを記念したホームパーティーを計画されていて、次にお住みになる高原様も良ければご参加いただきたいということでして……」
「なるほど」
あの家主は、そんなパーティーを開くようなタイプにも見えなかったが、意外にタワマンに思い入れがあったのかもしれない。それに出て行く前に見せびらかしたいという思いもあるのだろう。
「おそらく参加されないと思ったのですが、一応お声がけだけはしておこうと思いまして」
普通に考えれば、今の家主が次の家主と交流するということ自体稀なことだろうし、パーティーを開くから来てくれと言われ、行くような人は相当レアだろう。とはいえ、参加しないと決めつけられているのも少し悲しい。もしかすると、これまで合コンとかに誘われなかったのも、そういう会に参加しない人間だと決めつけられていたからかもしれない。
「ちなみに、いつやるんですか?」
「え?ご興味ありますか。こちらかなり前からお声がけはされておりましたが、ローンの仮審査が通るまではお伝えしない方が良いと思っておりまして……」
完全に向こうは言い訳モードに入ってきている。これは日付が近いのだろうか。
「実は、今日なんです」
「今日?」
今日は予想外だった。ローンの仮審査が出たのが今日だったので、今日言うのは仕方なかったのかもしれないが、それなら向こうで断ってくれたらいいのにとも思ってしまう。もちろん、勝手に断られたら、それはそれで勝手に断られたことについて俺は根に持つかもしれないが。
今日やると言われて、行くと暇人みたいになってしまう。が、実際今日は仕事が早めに終わりそうで、特にその後の予定もないので行けてはしまう。それに気になることもある。出て行く直前にホームパーティーを開くとなれば、もはや出て行くからと汚したりすることに躊躇がなくなるかもしれない。そうなればかなり大きな問題だ。
「一応保留と言うか、行けたら行くみたいな形でお伝えいただくことは可能ですか?」
自分でもダサいとも思うが、「仕事が偶然早く終わったので来ました」と言うことに決めた。
開始時間は18時半と聞いたが、仕事がそこまで早く終わるのもおかしいかと思い、近所のカフェで時間をつぶして、19時前くらいに行った。
オートロックを二回ちゃんと開けてもらい、3901の部屋のインターフォンを鳴らした。
すぐに扉が開き、そこには家主がいた。玄関の靴がどのくらいあるのかと見ると、家主のものと思われる靴しかなく、スリッパは5足以上用意されているが、減っている様子はなかった。
「来てくれてありがとうございます」
「あの……、もしかして、他に誰もいない感じですか?」
「……、せっかく来たんですから、まあとりあえず入ってください」
「さすがに、それは……」
少しリビングが見える。
リビングには飾りつけがされてあった。100均でできるレベルだろうが、一人でやるにはかなり労力がかなりかかりそうなものだ。文字の飾りつけもあり、「みんな今までありがとう」、みたいなメッセージも書いてある。
「そうですよね、帰りますよね。すみません、引き留めて」
悲しそうな表情をした家主を見ると、さすがに帰るわけにもいかなかった。
「少しだけなら」
20代というより、むしろ10代のような瑞々しい明るい笑顔に変わった家主は喜んで向かい入れてくれた。
こたつに二人でかけている。二人では明らかに食べきれない量の宅配ピザやお菓子がテーブルに置いてある。
「そういえば、不動産屋さんは来ないんですね」
声を掛けた不動産屋は必ず来ると思っていた。
「ああ、松岡さんは仕事が忙しく来れないってことでした、残念です」
不動産屋が松岡ということをまず初めて知った。そもそも仕事上の付き合いなだけで来るって方が珍しいのかもしれない。俺に至っては、仕事上の付き合いではないので、一応プライベートという位置づけなんだろうが、内見したというだけの人間という意味では、明らかに今回のパーティーに呼ばれた人の中で最も関わりが薄いとは自覚している。にもかかわらず、ここに誰もいないとはどういうことだろうか。
「あの他の方はまだ来ないんでしょうか?」
「……、うん、そうだね」
気のない返事が返ってきた。何か事情があるのだろうが、これを聞いて良いのか、それはわからない。
「とりあえず、ピザ食べてよ」
勧められるがままにピザを1ピース頂く。
「ついでに、話聞いてくれたりする?」
いつの間にか敬語がなくなっていることに気付いた。別に失礼とも感じないくらいの自然な感じだった。むしろ少し心を開いてくれているなら悪くないと思った。
「どうぞ、せっかく来たんで聞きます」
「じゃあ話すけど、私のこと知らない?」
どこかで会ったことがあるのだろうか。確かに小学校とか一緒だったとしても、早々に中学受験で私立に入り、そこから小学校時代のメンバーとは一人も連絡を取っていないので、わからないかもしれない。
「もしかして、小学校一緒とか?」
「え?どこ小学校?沖縄の人?」
「東京ですけど」
「じゃあ違うじゃん」
「ですよね」
「そうじゃなくて、ほら……」
小学校が一緒じゃなければ、他に女子との接点なんてあっただろうか。あとは幼稚園くらいしかないだろうが、さすがに沖縄と東京で幼稚園時代に会ったってことはないだろう。
「見たことないですね」
「そっか、そういう人久々に会ったから。実は私インフルエンサーみたいなことやってて」
「へえー、あんまりSNSとか見ないんで、わかんないですね」
「そうなんだ、でもこれとかさ」
家主は、スマホでCMをいくつか見せてくる。大手化粧品のCMやシャンプーのCMで、そこに家主が出ている。インフルエンサーなんて言い方をしているが、実際はモデルみたいな側面が強いのだろう。とにかく芸能人ということなんだと理解した。
「すごいですね。すみません、知らなくて」
「いや、全然いいんだけど」
いや、待てよ。もし家主が芸能人だとすると、今日のパーティーってもしかして芸能人や社長たちが集まるパーティー的な何かだったのだろうか。
「これから社長とか芸能人とかアイドルとか色々来るんですか?」
「……、いや、多分来ないね。呼んだけど」
やっぱりそういうパーティーだったらしい。普通に仕事帰りでスーツで来たのは間違いだったかもしれない。
「知らないかもしれないけど、私がアンバサダーっていうか、宣伝してた仮想通貨が炎上しちゃってさ」
「もしかしてですけど、こころコインってやつですか?」
「そうそう、知ってるじゃん」
思い出した。
一時期仮想通貨が流行ったときに、こころという芸能人が始めたこころコインというのができたが、実態がないもので運営会社社長が逮捕されたというニュースがあった。
「もしかして、そのコインの」
「そう私間宮こころって名前で、その名前を取ってこころコインって。こころコインがやらかしてから、一気に仕事も友達もいなくなってさ」
「ああ、なるほど」
アンバサダーは運営に関わってはいないということはニュースでやっていたが、それでも自身の名前がついているということでイメージは低下したとは聞いていた。まさか、それが家主だったとは。それで今日集まらなかったんだとやっと気づいた。
「貯金もある今のうちに実家帰って、あとはゆっくり過ごそうかなって」
「それで家売ることにしたんですね」
「そう、それで最後にお別れの意味も込めてパーティー開こうかなって思ったんだけど、このありさまだよねー。本当笑っちゃう」
家主は、口では軽口をたたいているが、実際は笑ってもないし、悲しそうな表情が読み取れた。
「誰も来てくれないかもなって思ってたからさ。今日来てくれて良かったよ」
「そうですか……」
「ていうか、こんな話聞いて帰ったりしないんだね。一緒にいるとイメージ悪くなるかもよ」
「別に家主さんが悪い訳じゃないっぽいんで。それにイメージ気にしてないんで」
「そっか、そう言ってくれるとありがたいけど」
家主は、冷蔵庫からシャンパンを持って来る。
「せっかくだから、パーティー楽しんで」
それから、2時間特に大して会話が盛り上がることもなく、そして誰か来ることなく、ただ二人だけの時間だけが過ぎていった。
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