つかれない関係

夜海野 零蘭(やみの れいら)

2人の関係

「みどり、おはよう」


朝の出勤途中、私は通り道にあるアパートの住人の岸田聖也(きしだ せいや)と会った。

聖也は休日なのか、朝から一人でランニングをしていた。


「おはよう、今日もランニング?」


「会社の健康診断で引っかかってしまってな。」


「そうなの。頑張ってね。私ちょっと急いでるからまた後でね」


私は彼のアパートの前を通り過ぎ、仕事先に向かった。


私の仕事はホテル清掃員・2年目。30代なかばのアルバイトだ。

土日は関係なく出社している。


「西宮さん、今日はこの部屋よろしくね」


いつも清掃リストを渡されて、そのリストの部屋を掃除していく。

体力は使うが、なかなかやり甲斐はある。


夕方に仕事が終わると、私は聖也の部屋へ向かう。


「みどり、おつかれ。今日は特製のチャーシュー焼き飯とお前の好きなプリン作っといたぜ」


「ありがとう!今日も忙しかったからお腹ペコペコ」


聖也は商社のサラリーマン。男一人暮らしだが、家事や料理はしっかりとこなす。

だが、結婚は40過ぎてもしていない。


私が聖也と結婚はしないのかって?


私は彼の恋人でもなく婚約者ではない。

かといって、友達でもない。

今のところ、お互いに恋愛感情はない。


前の職場でたまたま仲が良かっただけの「つかれない関係」だ。

私が先に退職をしたが、仲良しの関係は続いていた。


彼はしっかりものに見えるが、お酒がとても好きだ。

かくいう私は、お酒は苦手だが彼の他愛ない話をずっと聞いていられる。

いろいろな場所へ沢山旅行もした。なぜか行きたい場所の意見はぴったりだった。


出会って3年。

聖也は、今までの人生でもっとも一緒にいて疲れないの男だ。


彼とは肉体関係もあるが、お互いに恋愛感情があるわけではない。

ただセックスをして、快楽を味わうだけの関係だけだ。


お互いにそう思っているし、いろいろなプレイもできるからがそれでいい。

ただ、どちらかの体調がよくない時は無理はしていない。


「みどり、俺と結婚してくれといわれたら……どうする?」


「まだ分からないな」


「俺も」


これからの人生、この不思議な関係がどうなるかは分からない。

ただ、聖也とずっといたいとは思う。


一緒に生きていると楽しいから。


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つかれない関係 夜海野 零蘭(やみの れいら) @yamino_reila1104

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