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 二人は並んでゆっくりと歩き始めた。どうして並んで歩いているかというと、それは二人がしっかりとお互いの手を握り合っているからだった。(影が持ってきてくれたのでホラーはサンダルを履いている)

 それからしばらくして、「はっくしょん!」と、ホラーがくしゃみをした。

「どうしたの? くしゃみなんて珍しい」と影が言う。

「さっきの場所、すごく寒かった」鼻をすすりながら、ホラーが言った。

「当たり前でしょ? 本来、森の中は立ち入り禁止なんだからさ。散歩の途中にそんな格好で、入っちゃいけない場所なんだよ。あそこは」と、笑いながら影が言う。

「ごめんなさい」とホラーは素直に誤った。そう誤ってからこんなに素直に謝れる自分に、ホラーは少しだけ驚いた。

「うん。いいよ。許してあげる」影が言う。

 ホラーは影が笑ってくれて、嬉しかった。内心、もしかして影が(笑顔の後ろで)怒っているのではないかと思ってどきどきしていたのだ。

「ねえ、影」

「なに?」

 二人は歩き、それから少ししてホラーが影に問いかける。

「タイムマシンってなんだと思う?」

「うーん。空想の概念、かな?」と少し考えてから、影は言った。

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