34 空想世界の考察

 空想世界の考察


 世界とは頭の中にある。

 頭の中とはつまり、世界(再構築)、そのものである。

 幽霊は自分の頭の中にいる。(だから他人には見えない)


 ……早く、そこから逃げて。


 穏やかな日。静まり返った放課後の教室の中。そこにいるのは二人の女の子。色は赤。夕焼けの色。二人は開けっ放しにした窓のそばに並んで立って、いつものように会話をする。気持ちの良い風が教室の中に吹き込んでいる。カーテンは揺れている。女の子たちはお互いの顔を見つめ合う。

 空を見たいとは思わないの?

 夢を見るってどういうこと?

 君の夢っていったいなんなの?

 私の夢は宇宙船を作ることだよ。自分で設計した宇宙性を作って、それに乗って宇宙をずっと旅行するんだ。

 君の夢はなに?

 私の夢は、友達を見つけることだよ。

 友達?

 うん。友達を見つけて、そのことずっと、一緒にいることだよ。

 君は私の目を見つめる。

 友達ならもう見つかってるよ。私、あなたの友達でしょ? そう言って君は笑う。

 うん。そうだね。と、成長した私は思う。

 そこで私の気分はとても悪くなった。

 気持ちが悪くて、私は吐き気を覚えて、口に手を当てて体をくの字に曲げた。

 大丈夫? 君が言う。

 ……全然、大丈夫じゃないよ。私は心の中で遥にそう返事をした。

 瞬間、君は消えて、私のいる世界は真っ暗な闇になった。

 暗い、海の底のような闇の中で私はうずくまって思考する。

 ねえ。

 君はどうして私に嘘をつくの?

 お願い。

 お願いだから、

 私に嘘をつかないで。

 私の思考は混乱する。

 これは現実ではない。

 これは夢だ。

 悪い、夢。

 だからもう、悪い夢は終わらせて、とても気持ちのよい、目の覚めるような夢を見ようと私は思った。いつものように君を思い、その君に邪魔をされ、私の夢は空の中で宙ぶらりんになって、誰もいないのに、風に揺れるブランコのように、ゆらゆらと揺れて、曖昧なまま、朝を迎えることになるのだろうな、と私は思っていた。

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