姉弟逃避行
「姉さんに、会いたくて」
今年高校生になる無口な弟が、急に私の家に尋ねてきた。私が嫁入りしてから会ってなかったのに、どうして急に……。
「逃げよう」
弟は、無言で私の傷だらけの手を取り、力強く握りしめた。
「夫さん……アイツに殴られる意味なんて、ないよ」
私は、弟の手に全てを委ねた。
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