星と糸電話

七瀬モカᕱ⑅ᕱ

 ︎︎

 夜中に鳴る着信音で飛び起きる。眠い目をこすりながら通話ボタンを押すと、やけに明るい声が聞こえてくる。幼なじみのさきからだった。


『あっ、ごめん寝てた?』


「当たり前でしょーよ...今夜中よ?」


『ごめんなさい...』


「んで何、内容によったら切るよ?眠いし」


 さきから、夜中に電話がかかってくるのはよくあることで...前回かかって来たときは眠過ぎて断ってしまったけれど。


『んーっとね、流れ星見に行こ!』


「.....眠い、きる」


『待って待って待って?!』


 本当は少し興味があるけれど、さきの反応が面白くてちょっとだけ遊んで見たくなった。それに前回断ってしまったから、今回は行ってもいいかな。なんて。


「嘘だって。んで、いつ行くの?」


『え?!一緒に行ってくれるの?!優しい〜!!あかねちゃん大好き〜!!』


「はいはい、そういうのは本当に好きな人に言いなね」


 別に出かける予定なんか立てなくても、こうして電話で話すだけで私は十分楽しい。大人になってから、ため息をつくことが多くなった。でもこうして話しているときは、なんであんなにため息をついていたのか忘れてしまうほど楽しい。小さい頃に戻ったように、なんでもできるような気さえしてくる。


『んじゃあ、一週間後ね!あっ、あの糸電話使う??』


『いやなんで?!いらないでしょ。一週間後まで風邪ひかないでよ??』


『はぁい、そっちもね!!じゃあね!!』


 ぷつり。と音がして、電話がきれる。最後の方は声が怒っていたから、きっと拗ねて電話を切ったんだと思う。少しやりすぎたかもしれない。


「新しいやつ作るか.....」


 本当に使うのかは置いておいて、新しい糸電話を作っておこう。さきの持っているものはきっと、小さい頃のものだから。それもいいけど、せっかくなら新しいもので新しい思い出を作りたい。


「晴れるといいな、一週間後」


 部屋の窓を開けて、ベランダに出る。今日は曇り空で星は見えないけれど、約束の日にはきっと...今まで見た中で一番の星空が見えるはず。

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星と糸電話 七瀬モカᕱ⑅ᕱ @CloveR072

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