〈sequence 01 : そして、その地に至る〉
1.ある蛙顔の述懐
二十世紀の後半。国々がこぞってロケットを打ち上げていた、いわゆる宇宙開発戦争が事実上終結した、その直後。二機の惑星探査機が
彼らの任務はふたつ。ひとつめは、地球の隣人たる太陽系内の惑星についての情報を集めること。そしてもうひとつは、地球人の友人たりえるかもしれない、恒星系外の異星人にメッセージを届けること。
地球と地球人の情報を刻み込んだ
それから少々の時が流れて、現代。
「あン時ゃ、すごく気まずくてヨォ」
と、カエル顔のその男は、目をギョロつかせながら、記者の質問に答えた。
「あの手紙はさァ、『いつか宇宙人が読んでくれたらいいナ』ってやつだろォ? ラーメン屋のテレビで全文見ちまったんだよ、俺等ァ。いっそ名乗り出ちまったほうがいいのかとも思ったぜ、あン時ゃヨォ」
それはまあ、そうだろう。
ボイジャー
そして夢やロマンというやつは、宿命的にどうしようもなく、
「言えなかったんだよなァ、あン時はまだ、ご時世的になァ。お探しの者ならここにいます、なんてよォ……」
つまり、そういうことだ。
一般には知られていなかった、秘されていただけだったのだ。
いつかの邂逅を夢見る必要などない。彼らはずっと、そこにいたのだと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます