内見のプロ！

内見あるある

　今日は我が家の内見。

　不意に降って湧いた予定だけど、前のお家はずいぶんボロボロだったから、当然と言えば当然ね。

　でも、こう見えて、いえ、当然そう見える様にわたくし、お家にはうるさいのよ。

　案内されるがままに新築の家の中へ入ってみる。

　新しい家特有の匂いが鼻につく。

　あまり良い匂いではないわね。減点１。

　床はふわふわの絨毯が敷き詰められているけれど、歩きづらいし、広間も同じ素材。ここで寝転がったら暖かいかもしれないけれど、絨毯がごわごわして口に入りそう。減点２。

　壁はピンクで統一されているけれど、ダメダメ。わたくしが可愛いのは見て分かるんだから、可愛さを被せてもダメなの。わたくしの優雅さが出るようにシックな感じがいいわ。減点３。

　壁の強度も、触り心地も好きじゃないわ。減点４。

　それから屋根。三角屋根は可愛いけれど、景色はいまいち。減点５。

　こんな家、いまいち、いえ、いまにね！

　わたくしは不機嫌な様子を隠すこともなく、その家を後にする。

　まったく、こんな家を紹介して、どんな神経をしているのかしら。お説教してやらなきゃ！！

　……あら？

　新築の家の隣にはいつの間にかモダンな家が建っている。

　なかなか、良い家じゃない。こっちも見るわ。

　止めても無駄よ。わたくしが見ると言ったら見るの！

　どことなく自然を思わせる匂いが香しい。

　この匂いだけでも合格ね。

　床が固いのは減点対象だけど、あとで下僕に絨毯を運ばせればいいわね。

　壁は濃い茶色でシックな雰囲気。わたくしの可愛いと混じれば綺麗で可愛い最強空間になるわ！　合格！

　壁の触り心地も良いわね。この爪が引っ掛かる感じが好きなのよ。合格！

　屋根は真っ平だけど、上からの景色は最高ね。わたくし、見下ろすのが大好きなの！　合格！

　わたくし、こちらの家にするわ！！

　下僕！！　用意しなさい！！

　わたくしは、一言声をあげると。

「ええっ！　ヒメちゃん。せっかくキャットハウス買ったのに、そっちの段ボールがいいのっ！？」