第9話 愛美

それからほぼ毎日のように一緒にいた。


治の家は海のそばで展望台やホテルが近くにあって民家は少ない。

玄関が広くて大きな家だった。


いつも学校が終わって遊んだりバイトに行って迎えにきてもらってどこか遊びに行くか治の家に言ってお風呂入って寝て学校に送ってもらう。

そう、家にほとんど帰らなくなってた。


携帯も家からや親は着信拒否にしてた。


親には今でも申し訳ないと思っている。

でも本当に帰りたくなくて、理由もなく反発してた。

顔を合わせなければ言い合いになることもないしその方がいいと思ってた。


治の家でお風呂に入って下着は手で洗ってドライヤーで乾かして履く。

服は貸してもらって着替えて寝てた。


一旦付き合う事になって関係ももった。

ただ、治に対して好きとかドキドキしたりはよくわからなくていつでも終わってもいっか。みたいな気持ちで一緒にいた気がする。


治にはネットで知り合った青森の元彼女がいて、その子の話も色々きいた。

青森の元彼女は愛美。

治のことがすごく好きで治が私と付き合ってる間もずっと好きみたいだった。

メンヘラタイプのギャル。

まだ付き合ってるんじゃないの?って何度も思うほど電話がかかってくるし、私にも代わって欲しいって言ってた事もあった。


聞こえてくる声の感じからして代わってもいい事なんて一つもないと思って断った。


電話に出ない事でびびってんの?など色々言われていたけどどうでも良かったし、

なんとなく愛美と別れて違う人と恋愛したかった治の気持ちもわかった。


めんどくさそう。


大量に缶に入っている愛美とのプリクラを見ると治も大事に思っていたんだな。とは思うけどあまりにがんがん愛情を与えられて引いてしまってるんだな。って。

治が引いた事と私の存在がわかってから愛美は本当にしつこかった。


機嫌がいい時は

治に好きだよ〜みたいな連絡したり

ブランドのアクセをお揃いで欲しい!とねだったり。


機嫌が悪い時だったり寂しい時は

泣きながら電話したり私と別れるように言ったり、私の悪口を言っていた。


悪口と言っても会ったこともない相手なので妄想で言ってた。


治が怒って電話を切っても鬼電してきていた。


治も隠れて電話したりはせずに私の前で電話してたし青森の子なので浮気は疑わなくなった。


でも愛美がいなかったら好きって思ったかもしれない。

好きとか思う暇もなかった。


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