社畜、冥層へ行く

 俺は攻略したはずのダンジョンに再度潜っていた。そう、目の前にあったダンジョンブレイクを起こしたダンジョンだ。ここは『蠱毒ダンジョン』という名前になった。

 九条ギルドのダンジョン調査のエキスパートが集まる部隊が調べると…元々ここは多くのモンスターが争い、その中で生き残ったのが、あの巨大な蜈蚣だったらしい。


 しかし、ここでもおかしな点は……通常モンスターが層主に成ったということだ。普通、層主は層主としてダンジョンから生まれるのだが…通常モンスターが層主になったという事例は聞いたことがない。おそらくこれもダンジョンの『進化』による影響だろう。


 このことをリスナーたちへ伝える。


《ほえーそうだったんか》

《震えて眠らんといけんわ…》

《あたためたるで(´・ω・)っ🍵》

《ズゾゾゾゾ…おいちい》

《きっしょ》

《こんなに平和なのはお前が居るからだぞ高橋》


「……皆さんのご期待に答えられるよう頑張りますよ。それじゃ冥層への階段探していきましょう」


 ダンジョン内を高速で移動し、蜈蚣の死体が目に入った。いくらダンジョン中を探し回っても、冥層へ降りる階段が見つからないため、あいつの下敷きになってるとしか思えなかった。


 一度、蜈蚣死体をアイテムボックスへ仕舞う。死体が無くなったことで、下敷きになったものが露になった。そこには冥層への階段と思わしき物も。


「ありましたね。冥層への階段」


《:( ;´꒳`;):ヒェッ》

《ちょびっと出ちゃった》

《何で画面から寒気が伝わって来るんだよ!!!》

《やばいやばいやばい》

《高橋、これ行けるか…?》


「当たり前。すぐに安心させてやりますよ」


 俺はそれだけ言って、蜈蚣よりも数倍の魔力が溢れだしている冥層への階段を降りていった。




 *****




 入って早々、俺に向けての明確な殺意を受け取った。


 俺はその場にしゃがみ、攻撃を回避する。目には見えなかったが、後ろの壁が激しい衝突音した。

 振り返ると、ウィステリアで見たサイズの数倍はでかい蜘蛛が佇んでいた。

 蜘蛛は俺を再度捕捉すると、何も考えていないように突っ込んでくる。


 完全に自分の重量に任せた突進だ。しかしスピードも速いため油断は出来ない。何処かで攻撃は重量×速度とも聞いたことがある。これは俺にも経験があるので嘘とは言えない。


 しかし、こういうタイプには……一点を狙うのが最適解と決まっている。


「っとそうだ。蜈蚣神…使ってみるか」


 片手に持っていた蜈蚣神を構え、突進してくる蜘蛛の頭部へ向かって放つ。蜘蛛の額へ当たった蜈蚣神は……そのまま刀身が伸び、蜘蛛の身体を真っ二つに切り裂いた。

 切り裂かれた蜘蛛は左右へ分かれ、地面へ倒れる。


 ……わーお、こうゆう使い方もあるのか。中々にエグイな。効果は虫特攻ってところか?

 効果の確認をした俺は更に奥へ続く湿っぽい洞窟を進んでいく。


 途中途中、蜘蛛が襲いかかってきたが蜈蚣神で一発だった。


《シンプル蜘蛛の切断面がえぐすぎて…》

《閲覧注意付けとけ》

《ガチめに吐いた》

《きめええええええ》

《頼むからモザイク処理かなんかしてくれ》


 ……しかし、リスナーにはただただ恐怖でしかなかったようだった。





 -------------

 えちょまです

 次回は……どうなるんでしょう?

 お楽しみに

 それじゃ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る