　次人叔父さんを、前の俺も苦手としていた。

　いつも意地の悪い顔をして、ちくちくと直接的な嫌味を言ってくる。

　なんでも知っているかのようなところが、自分を馬鹿にされているようで苦手だったのだ。

　でも今思うと、俺を虐げるわけではなく、からかってはくるが無視はしなかった。

　他の人と比べれば、俺に対する扱いは良かった方だったかもしれない。

「久しぶりの再会なのに、随分と大人しいな。わがままは止めたのか？」

　出会ってすぐに嫌味を言われているけど、俺が改心したりポチのご主人になったのを知らないからだろう。

　一連の流れを知っていれば、きっと興味津々で聞いてきたはずだ。

「そうですね。無駄な行動はやるだけ損だと思いまして」

「へえ、どういう風の吹き回し？」

　興味を引かれたくはなかったけど、無関心なままだと協力してくれない。

　苦渋の決断だが、ほどほどに好かれるぐらいにしよう。

　俺は最近になってよくするようになった、艶やかに見える表情を浮かべた。

「嫌われ者が何をしたところで、誰の心も動かせない。それに気づいただけです。根深いものは、簡単には解決できない。それなら、俺は俺だけを好きでいてくれる人と一緒にいたいんです」

「それがここに来た理由？」

「そうです。家を出ようと思っています」

　さすがに俺の言葉は予想外だったのか、次人が驚いた顔をした。

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