第8話 広島の怪奇名所の二つ目? (2)

 僕自身も、もう二十年以上も前の話しだから。誰が言ったか忘れたけれど。そいつの言葉を聞き。


「うん」


「だね」


「じゃのぅ」


「マジで怖いわ……」


 その場に居る者達皆で、自身の背筋をブル、ルルと震わせ、怯えた記憶があるよと。


 僕がその時の事を走馬燈が、お盆の夜間にクルクルと恐ろしく回るように思い出せば。


「どうする?」と再度、僕に尋ねてくる女房に対して。僕は自身の背中を凍らせつつ、やはり畏怖……。


 本気でビビリ、怖がりながら。


「魚切ダムは辞めよう。帰り渋滞にかかれば、子供が帰る迄に帰宅ができなくなるから。今日は辞めよう。また今度ね」と。


 僕自身が恐れ慄いている事を女房に悟られないように告げれば。


「じゃ、呉の野呂山も遠いから難しいね」と。


 家の女房が尋ねてきたから。


「うん」と僕は頷いた。



 ◇◇◇







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