喰うか喰われるか!? これぞブレーメン

桔梗 浬

プロローグ

 プロローグ:


 渋谷と横浜を結ぶ人気の路線、東横線。

 その沿線上にある住みたいランキング上位の街「元住吉」は、不思議な事が起きる時間がある。


* * *


 僕は久しぶりに、「元住吉」の駅に降り立っていた。爺ちゃんにハガキをもらったからだ。今時ハガキかよ? って思ったけど「会いたい」ってそこには書いてあった。そんなハガキをもらったら、行かないわけにはいかない。


 久しぶりの街並み。あのお店は今もあるんだろうか?


 「元住吉」には、駅を挟んで「ブレーメン通り」と「オズ通り」が存在する。どちらも賑やかな商店街だ。なんてファンシーな名前なんだろう。



 僕は「ブレーメン通り」に向かうエスカレータに乗り込んだ。とても長いエスカレータがあって、登ってくる人とよく目が合う。

 彼らから、「よそ者が」と思われている気がして落ち着かない。


 地上まで降りると、すぐに商店街だ。

 自転車がすごく多いい。ほとんどの人が自転車を押して歩いているけど、目線は店先に向けられて前を見てない。だから危うくぶつかりそうになる。


 僕は人混みの多さに眩暈を感じながらも、爺ちゃんの家に向かって「ブレーメン通り」をゆっくりと歩く。

 爺ちゃんの家は、「ブレーメン通り」を最後まで行った先にあった。


 駅前では何かのイベントがあるのか、猫耳カチューシャとうちわが配られていた。


 うちわには、「モトスミ・ブレーメン通り商店街振興組合」とデカデカと記載されている。ちょっと恥ずかしい。でも暑い日にはこれはありがたいから、ま…もらっておこう。


 そういえば、何か手土産を持って来ればよかった…。久しぶりすぎて爺ちゃんの好物すら忘れている。あれ? マジでなんだったっけ? そんなことを思いながら、一歩この「ブレーメン通り商店街」に足を踏み入れる。


 頭上では、ブレーメン合唱団の動物たちが僕を出迎えてくれた。

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