終章 1

   (城門の前、三蔵法師とその一行を大勢で見送る)


ハムレット  お名残り惜しい、とうとうお別れの日が来てしまいました。

三蔵  いつまでもお言葉に甘えている訳にはいきません。西天を目指して、われわれは進まなければ。

猪八戒  ご馳走をたくさんいただいたので、もう入らないほどいっぱいで。

孫悟空  おとうとよ、お前の腹はいつでも膨れて見えているぞ。

沙悟浄  弁当まで背負って、それも膨れて見えているぞ。

ハムレット  取経の後、お帰りの折には再びこの城にお立ち寄りいただき、確かめていただきたい。必ずや、この国の繁栄をご覧に入れましょう。

三蔵  確かめるまでもない、あなたは倒れかけていたこの国の災いを払拭し、見事に立ち直らせたではありませんか。

ハムレット それも貴僧とそのお弟子さんたち、皆さまのご助力のおかげです。

オフィーリア  命までお助けいただき、感謝いたしますわ。

沙悟浄  末永く、お達者で。

ホレイショ―  皆さん、よくぞこの国の一大事を救っていただきました。

三蔵  さようなら、皆さんお元気で。

ハムレット さようなら、さようなら! この国の未来と、旅の安全を祈るように晴れ晴れとした青い空ですぞ。


   (三蔵法師とその一行、去ってゆく)


ハムレット  しっかり者のオフィーリアも一緒に、西天への旅のお供をしてはどうかな。

オフィーリア  まあ、お揶揄いになって。

ハムレット  急いで追いつきたいというのであれば、大砲に詰めて飛ばしてやろう。今ならまだまだ追いつくぞ。

オフィーリア そんなことを仰るとお腹の赤ちゃんが驚いて、産まれてしまいますわ。

ハムレット  何と!

ポローニアス  それは本当か?

レアティーズ  いつの間に?


   (オフィーリア、高らかに笑う)


ホレイショ―  これは見事にかつがれましたな。

ハムレット  これで修行などされてしまったら、ますます賢くなって手に負えなくなってしまうぞ。修行させるべきか、止めるべきか、それが問題なのだ。

オフィーリア  まあ、いつもの口癖が。


   (一同、笑う)


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