第五章 8
(大広間に衛兵が二名入ってくる)
衛兵1 ご報告いたします。ガートルード妃と老婆が、裏門から逃亡したとの知らせがございました。
衛兵2 その際に「しくじった」「やっちまった」「お前のせいだ」などと、罵り合っていたとの報告もございました。
ハムレット 実に浅ましく、忌々しく、疎ましく、同情の余地のない、縁を切りたい、おぞましい何かに手足が生えているだけのもの。吹く風にただなびくだけの、城内に居場所を失った風見鶏、風の向くまま気の向くまま、どこへなりと行くがよい。
(次の衛兵二名が来る)
衛兵3 ご報告いたします。ガートルード妃と怪しげな老婆は、森の奥へと向かわれた道の途中で、民家の玄関前の牛の糞に足を滑らせて転倒し、全身を何ヶ所か骨折したとのこと。
衛兵4 そこへ、たまたま落ちてきた石臼の下敷きとなり、スズメバチの大群に全身を九百ヶ所ほど刺され、生きたまま数千匹の子蟹の餌食となって絶命されたとのことです。
三蔵 いったいどれほどの悪事を働けば、運命がそのような死に方を用意するのだろう?
孫悟空 どれほど悪事を働いた猿でさえも、これほど酷い最期にはなりゃしませんや。せいぜい面白おかしく、あちらの国やこちらの国で尾ひれをつけて言いふらしてやろう。どうかどうか、何百年も先の、東の果てまで伝わりますように。
(一同、笑う)
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