次の宿り先をご案内します。

どこに宿りますか？

　こーんにーちはー！

　……あれっ？聞こえてない？こぉーーんにぃぃいーーちゎ！？……なんだ、ちゃんと聞こえてるんじゃないですか〜！

　……えっ？今いちばんウケる挨拶は、白スーツ猫耳スキンヘッド大声がデフォってアマテラスさんが……。違うんですか？

　じゃあアレだ！キュンです！（ウインク☆）

　……これもダメ？古い？ちゃんと目の中に☆を入れた猫耳アイドル女子でやりましたよ？

　えぇ〜？おかしいなぁ。やっぱり御神酒一気飲み宴会とかした後のぶっちゃけ豆知識は駄目かぁ〜。

　神の時間感覚、アレだもんなぁ。ネタの仕入先、ちょっと考えないとなぁ〜…。

　あ、すいませんね。少しでも和んで頂こうかと思いまして…。

　貴方は、いま流行りの“ニホン暴走トラック異界渡り系”の事故で、ここにおいでになりました。

　そのタイプの方々にはいつも大変お世話になっております。

　……どうなさいました？

　ええ、残念ながらアマテラスさん管轄世界での生涯を終えられたようです。

　あっ、貴方様が庇ったあの黒猫は無事ですのでご安心ください。

　そうですよね、まだまだ心残りがお有りでしょう。そんな貴方様に！私が次の宿り先物件をご案内致します！！

　申し遅れました！ワタクシ、いわゆる住宅（転生先）の案内人、※Ñ↔%^^*;:~　です！

　あっ…そうですね、N《ナー》とでもお呼び頂ければ幸いです。

　そ〜れ〜で〜は〜、早速！ご案内致しま〜っす！

　ハイッ！目の前のスクリーンをご覧くださいッ！上から、神竜、フェンリル、神猫、魔虫、草、ニンゲン（ヒャッハー・もう遅い・TSアクヤクレイジョウ・オレツエー・等々）…と、それぞれぇ〜チート付でっ！ご用意させて頂きましたっ！

　よく判らない？それでは具体的に〜見てみまっShow！！

　そんな訳で〜！お次はこ・ち・ら・の水鏡をっ、ご覧下さ〜いッ！

　はいっ！薄暗〜い屋根裏でベッドに寝ていて、今にも天に召されそうな少年ですねっ！

　ご想像〜の通り、“高位貴族の冷遇子息、転生チートで成り上がり！”の物件ですっ！こちらは大〜変人気の物件でして、正直今回ご用意した中ではイ・チ・オ・シとなっておりま……えっ？

　紹介の仕方がうるさい？

　いや〜、商品案内は高めの声を張り上げて張り切ってご紹介するものだと…手数料？というものはないので、他の形で何かサービスを……これも何か間違ってました？

　あっ、俺なんかやっちゃいました？ってこれも使い方間違い？？？うーん、難しいなぁニホン系……。

　あ、そうですか、では普通にやらせていただきますね。

　あっ、この少年物件ですか？ええ、他にもご希望の方はいらっしゃるようですから、お断り頂いても後味悪い事にはなりませんよ！他の物件も、お気遣いは不要です。ご自分のお望みの者をお選び下さいね〜。

　…はい？

　ああ、ご希望は、普通の平凡な環境の者、と。普通？平凡？とは、何でしょうねぇ……？

　そうですね、お客様は、黒猫を庇った徳ポイントとやらがありましてね。それを、物件の内覧料でお使いになる事ができます。

　つまり、比較的平和な街の次男坊の物件を、半日から1日程度、内覧タイムとしてお試し頂く事ができますが、そうなさいますか？

　はいはい。では、案内を付けますね。

　あの時の黒猫が、恩返し！リアル猫の恩返し！とうるさ…うっとおし…張り切っておりますので、ご帯同下さい。

　その猫の目を通して私もそちらを把握できますので、不具合や疑問点、終了のお申し出などにお使い頂ければ幸いです。

　はい、それでは、いってらっしゃいませ〜！

　……はぁ〜。

　とりあえず、お詫びになっただろうか？

　パステトから預かった、あの問題児な仔猫が車に突っ込んだ時、あーもう駄目かーと思ったけど……。まさかあの仔が見える方が偶然居合わすとは。なんという悪運…。

　しかも、あの手の付けられない悪童猫をあのようにてなづけるだなんて！！あの方はやっぱり、凄い。

　我が猫地蔵に挨拶を欠かさないあのお方は、本当ならアマテラスと相談して、それなりの階位をご用意してはいたのだ。

　しかし、まさか年度改定の因果律調整で、大往生コースを弾かれるだなんて！！今でも腸が煮えくり返る。

　新規物件（転生先）の案内は、我々猫コミュニティの仕事。

　あの時、迷いびと案内猫コミュニティ全員が仕事放棄して、目にもの見せてやったのはいい思い出だ。

　ああもう腹が立つ。あの方の功績を分からにゃい神など、早く消えたらいいのにゃ。

　……いけない、亜空間が壊れる。あの方を見守る為には、まだこちら側に居なくては。

　くっ！黒猫のやつめ、あの方に馴れ馴れしすぎじゃないのか！？くそっ、羨ましい……。私が死んだ事に気づかず、しばらくあの方のそばに居た時も、あんな風に撫でたり遊んで下さっていたな……。

　おっ？黒猫の二股しっぽにお気づきになられた！……そう言えば、私は短い鍵しっぽだから、小さく二股に分かれててもお気づきでなかったなぁ。生まれた時からお側に居たのに……。

　ま、まぁそこが、あの方の良い所。どんな猫でも愛して下さるあの方こそ、猫神派閥のトップに立つのに相応しい。

　ぜひ次の生涯（物件）でご満足頂き、迷いなくあちら側にご一緒したいものだなぁ。

　その為にも、サポート頑張ろ。

　うっかりミスしたら、この役目を狙ってる猫神達に引きずり降ろされちまう。まぁそうしたら、またあの方に飼っていただけるチャンスでもあるからなっ。

　よしよし、ガンバロー！！