第2章: 闇の中のささやき
陽斗の世界が一層深く暗くなる中で、彼は自分の感情と対峙する勇気を見つけ始めます。闇は深く、圧倒的ですが、彼の心の中には、まだ何かが残っていることを、陽斗自身が感じ取り始めていました。それは、自分の状態を何とかしたいという、かすかながらも確かな願望です。ただ、その一歩をどう踏み出せばいいのか、彼にはわかりません。
この章では、陽斗が自分の心の声に耳を傾け始める様子を描きます。夜な夜な眠れずにいるとき、彼はよく自分の部屋の窓から外を眺めます。星空の下、静かな夜の世界は、彼にとって唯一平和を感じる瞬間です。そんなある夜、彼は自分の心の中にあるささやきに耳を傾けます。「変わりたい」と。
突然の衝動に駆られ、陽斗はインターネットで自分の症状について調べ始めます。うつ病についての記事を読み、フォーラムで他の人たちの経験を読むうちに、彼は自分一人ではないことを悟ります。他にも苦しんでいる人がいること、そして彼らがどのようにしてその苦しみと戦っているのかを知ることが、陽斗にとって少しの慰めとなります。
この過程で、陽斗は特に共感を覚えるブログを見つけます。それは、うつ病と診断された後、自分自身と向き合い、少しずつ回復していく過程を綴ったものでした。ブログの作者が語る言葉は、陽斗の心に深く響きます。特に、「助けを求めることは弱さではない。それは勇気だ」というメッセージが彼の心に突き刺さりました。
数日間の葛藤の後、陽斗はついに行動を起こす決意を固めます。彼は自分の感じていること、考えていることを誰かに話す必要があると感じていました。しかし、それが誰であるべきか、彼にはまだわかりません。家族に話すことを考えますが、彼らが理解してくれるかどうか不安です。友人たちも同様です。そこで、彼は匿名で相談できるメンタルヘルスのホットラインに連絡することを決めます。
電話をかける手が震えます。ダイヤル音が鳴り、ついに誰かが応答します。「こんにちは、どうしましたか?」という優しい声が耳に入ります。陽斗は深呼吸をし、自分の話を始めます。彼の言葉は最初はつまずきますが、徐々に彼の心の中にあるものが溢れ出してきます。
この電話が終わる頃には、陽斗の心は少し軽くなっていました。解決策が見つかったわけではありませんが、彼は自分の苦しみを初めて誰かと共有したのです。それは彼にとって大きな一歩でした。窓の外にはまだ星が輝いており、彼はそれを見つめながら、もしかしたら道は開けるかもしれないという希望を、心のどこかで感じ始めていました。
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