二〇二四年・夏クール

第19曲 アニソンに対する印象評価の客観化(1):テンポ

 季節が初夏から盛夏へと移り変わるこの時期、春クールのアニメ作品の多くは六月中に最終回を迎え、夏クールに入った七月初旬には、新たなアニメ作品が始まらんとする。

 

 今(七月三日現在)は、七月の第一週目に入ったばかりで、未だ第一話の放映さえされていない作品の方が多い。それゆえに、クールの出だしであるタイミングに、『アニメイトタイムズ』の記事を参照しながら、このクールに放映開始となる新作アニメのチェックとカウンティングを試みる事にした。

 なお、ここでは、今夏から開始となるものの、配信だけのアニメ作品は数えてはいないし、また、春クール以前から放映が継続されている作品も数には入れてはいない。

 したがって、現在放映中のアニメの本数に関する正確な数になってはいないのだが、とまれかくまれ、記事を参照した限りにおける、七月開始の〈TV〉アニメ作品は、少なくとも〈五十五〉を数え、つまり、単純計算、今期のアニソンの数は〈一一〇〉となる。


 さて、前のクール、二〇二四年春クールの際には、テーマ曲の放映の様態、という点からアニソンを概観してみた。

 例えば、第一話が〈特殊オープニング〉、すなわち、第一話においては通常のオープニング・テーマは流れず、エンディングに通常のオープニングが流れる、そのようなタイプのアニメ作品を見てみたりした。


 そして、期が変わった七月、書き手は、これまで採ってこなかった、何らかの新たな観点からも、今期のアニメ作品のテーマ曲を見てゆきたい、と考え出した次第なのだ。


 実は、書き手は、放映中のアニメのアニソンを聞きながら、まったくの主観に基づいて、それぞれの第一印象を、例えば、普通は〈C〉、もう一度聞きたい場合は〈B〉、CDを買いたい場合は〈A〉、他人に推したい場合には〈S〉、そして、これはちょっと……という場合は〈D〉、といったように、独断と偏見に戻づいた非公開のメモを残してきたのだが、こうした主観的な印象は何に起因しているのか、何らかの客観的な判断基準はないものか、と考えるようになったのだ。


 曲の構成は多岐に渡っているので、たった一つの要素に印象の原因を求める事はできないのは確かなのだが、それでもやはり、曲の速度、いわゆる〈テンポ〉が、書き手にとっての好き嫌いの理由の一つになっているように思われる。


 速度を意味する、我々が今現在当たり前のように使っている〈テンポ(tempo)〉という語は、そもそもはイタリア語である。

 曲のテンポは、左右に動く振り子が一定間隔でリズムを刻む道具である〈メトロノーム〉の数値によって示される。例えば、「M.M.=60」と書かれていた場合、それは〈テンポ60〉、すなわち、一分間に六〇拍という事である。

 〈M.M.〉とは〈Mälzels Metronom〉の略記号で、これはドイツ語である。また、曲のテンポを表わすのに、英語である〈BPM〉をよく見かけもする。

 BPMとは〈Beats Per Minute〉の略記号で、これは、文字通り、分ごとの拍数の事を意味し、〈60BPM〉のように表記する。

 

 つまり、ドイツ語の〈M.M.〉にせよ、英語の〈BPM〉にせよ、これによって、一分間における拍の数が示される分けで、ちなみに、四分音符で〈♩ =60〉のように書かれる場合もある。


 かくの如く、幾つかの表記方法はあるのだが、今後、何らかの曲について見てみる場合、その曲の〈テンポ〉もチェックしたい、と書き手は考えている次第なのだ。


〈参考資料〉

 「2024夏アニメまとめ一覧|7月放送開始 来期新作アニメ・再放送アニメ情報」、『アニメイトタイムズ』、二〇二四年七月三日。

 『実用・音楽用語事典』、 東京:ドレミ楽譜出版社、二〇一三年、三六〇頁。

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