第21曲 テレチカ:TRUEライヴvol.9「TRUE stage」

 アニソン・シンガー、「TRUE(トゥルー)」さんは、この二月末にアーティスト・デビュー十周年を迎えた。そして、その〈十周年〉イヤーの記念企画として、今夏と今秋に、横浜と大阪にて、それぞれ、異なるタイプのライヴが二日かけて催される事になっている。

 その一つは、「ビルボード」にて、お酒を楽しみながら着座でステージをゆったりと楽しむもので、こちらは「TRUE side」と呼ばれている。

 もう一つが、ライヴ・ハウスにて、オール・スタンディングで催される、バチバチで激しいライヴで、こちらの方は「FALSE side」と呼ばれている。

 かくの如く、〈静と動〉といった相反する性質のライヴは、横浜も大阪も二日に渡って行われ、書き手は、七月九日の静のライヴ、十日の動のライヴ、その両方に参加したのであった。


 さて、開催日の前日に、ビルボードのチケットを発券し、ネットにて横浜の「ビルボード」のサイトを見てみたところ、なんと最前列を引き当ててしまったのである。


 書き手のテンションが爆上がりしたのは言うまでもないであろう。


 それにつけても、ビルボードの最前である。

 書き手は、いつなんどき、おつるさんに視線を向けられても大丈夫なように、可能な限りの、めいいっぱいのオシャレをして、ライヴ開催日の当日、横浜に向かったのであった。


 着座してみたところ、最前列の机は一卓四席で、テーブルの左右に二席ずつという配置であった。

 さらに、机は、ステージにピタリくっつくようになっていたのだ。


 予想以上の近さである。


 だが、難点が一つだけあった。

 普通に椅子に腰掛けた状態では、書き手に割り振られた席だと、ステージの中央に背を向けるような姿勢になってしまうのだ。


 さて、いかにすべきか。


 なるほど確かに、ビルボードという品格ある会場とはいえども、書き手の主目的は、TRUEさんの歌唱なのだ。

 会場の雰囲気に気圧されて、上品に座ったまま、演者に背を向けた格好でライヴに参加しては、それこそ本末転倒であろう。


 はたして、ライヴが始まり、TRUEさんが登場するや、書き手は、可能な限り上半身を捻って、ステージに前半身を向けた。だが数曲後には、結局、書き手は、椅子に跨るような恰好で、演者に正対していたのである。


 さて、着座でのビルボードでのステージは、たしかに〈静〉や〈陽〉をコンセプトとしたステージとはいえども、バラード中心で、BPMゆっくりめの曲構成では決してなかった。

 驚きだったのは、イントロが流れても何の曲か即座に分からない程、原曲に大きくアレンジが加えられていた点で、こう言ってよければ、知っている曲なのに、全て初めて聴くような新鮮さがあったのだ。


 そして、書き手にとってのさらなる驚愕は、時折、TRUEさんが、しっかりと観客の目を見て歌唱してくれた点で、最前の書き手も、幾度となく視線が送られた。

 最前の卓とステージの距離は、いわばゼロ距離である。これほどまでの近さで視線を送られても無問題なように、頑張ってオシャレしてきたのに、書き手ときたら、あまりもの至近距離に照れ過ぎて、実は、反射的に、TRUEさんから目を逸らせてしまったのは、この日の「TRUE stage」の真実である。


              *


 このビルボード横浜でのライヴの翌日に参加した、対となる「FALSE side」は、横浜だけではなく、秋の大阪にも参加予定なので、これに関しては、秋に稿を改めて語る事にしたい。


〈参加ライヴ〉

 「TRUE side 2ndステージ」

  日時:二〇二四年七月九日(火)二十一時~

  場所:神奈川・横浜・Billboard Live YOKOHAMA

  チケット代総額;一〇四九〇円


〈参考資料〉

〈WEB〉

 「TRUE 10th Anniversary Live Tour Sound! vol.9 〜TRUE × FALSE〜」(二〇二四年三月二日付)、『TRUE Official Website』、二〇二四年七月十一閲覧。

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