ウィッチ・ガールズB

水無月ハル

【第一話 誰がこうだって思ったよ、魔法少女】

~プロローグ~

 大きな爆撃音が静かな王室に鳴り響く。

 地上からの騒がしい声は途絶えることなく、その中に混ざる悲鳴が心を苦しませる。

 輝く金の王冠を身に着けた、美しい毛並みの王は玉座に座り、跪く二匹の青年へ荘厳に告げる。

 三毛の青年が側近から銀のロトゥルスを受け取り、頭上に掲げ誓いの言葉を述べ、黒の青年もそれに続ける。

 王の督責の声に青年達は立ち上がり、使命を成し遂げんとする強い眼差しを王家の紋章に向け、速足に城を後にした。

 次々に散っていく仲間を横目に、二匹は人の少ない裏門へと向かうが、頭上から魔族の攻撃が降り注いだ。爆風に身を揺すられながらも、ロトゥルスをしっかりと両手に携え、二匹は爆撃の中を縫うように進む。植物で傘を作り、剣で攻撃を薙ぎ払いながら必死に裏門を目指すが……そこに待ち構えていたのは、血に塗れた同胞と、邪気を放つ大量の魔族だった。

 別の道を探そうと黒の青年は言うが、多くの命を抱える使命を背負った身として一刻でも早く人間界に行くべきだという三毛の青年の言葉に、二人は覚悟を決め前に進もうと構えた瞬間……後方からの強力な支援により道が開けた。

 光輝く白い毛並みをした青年は闇魔法を展開し、次々と魔族をねじ伏せていく。

青年の掛け声に二匹は走り出し、裏門から人間界へと急降下する。祖国のために、世界の均衡のために、彼らは魔法少女を探しに旅立ったのだ。

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