住宅内見アドバイザー

@mia

第1話

【住宅内見アドバイザー   三万円から


    住宅の部屋数、面積により値段は変動します お見積もり無料】



 私は住宅内見アドバイザーをしている。依頼者と一緒に内見してあるアドバイスをする。

 待ち合わせの不動産屋へ行くとまだ依頼者は来ていなかった。物件担当者とともに彼を待ち、五分遅れた彼とともにアパートへ向かう。

 室内に入ると問題なさそうに感じた。第一印象は大事だがそれに引っ張られず、隅々まで依頼者よりもじっくり室内を見ている私に担当者は驚いていた。

 時間をかけて確認した私が依頼者に問題はないと伝えると、彼はその部屋を契約した。

 担当者と別れると私は依頼者に料金を請求するが、態度が変わり料金の支払いを渋り出した。

「ねえ本当にあんた霊が見えるの」「適当なこと言っただけでも俺にはわかんないじゃん」「ちゃんと契約もしてないし」

 私の仕事は内見について行き、その物件に霊がいるかいないかを見ることだ。

 私は見るだけでお祓いはできないが、いるかいないかの確認だけでもしたいという人は多い。除霊もできるような霊能力者は高額だからだ。

 仕事が終わって料金請求の段階になるとごねる依頼者は多い。最終的には支払ってもらえるが。

 この依頼者はごねてごねて料金を払わず逃げるように去っていった。



 一週間後あの依頼者から電話がかかってきた。


「お前嘘ついたろ、あの部屋出るぞ。この数日ろくに眠れやしない」

「番号をお間違いではないですか。私は知りません」

「はあ? 内見行ったろ」

「私はあなたと契約した覚えはありません」

「悪かった。ちゃんと金払うから何とかしてくれよ」

「私には祓えません。除霊師の紹介しかできません」

「それでいい。早く何とかしてくれよ」


 私は料金に迷惑料を加えたもの、除霊師は特別料金を支払ってもらった。

 誤解のないように言っておくが内見の時にあの部屋には何もいなかった。

 料金を払わない段階で私が呼び寄せたのだ。

 私は霊を祓えないが呼び寄せる力はある。

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