【KAC20242】黒猫サファイアのお宅訪問

るしあん @猫部

黒猫サファイアはアイドル !?

 KAC20241の続きです。

https://kakuyomu.jp/works/16818093072854194804


【サファイアside】


 ボクや子供達は愛する我が家に向かって歩いている。

 三人で七之助の料理屋を手伝ったのだけど、八重も十八番エースも疲れたのかウトウトしていた。

 無理も無いよね。

 家に電話をして、タマ妖狐ダイフクモチ人狼に迎えに来てもらったんだ。

 二人とも、タマやダイフクモチに背負われて眠ってしまったようだ。


「いい子達よね……」


 タマが優しい顔をしながらつぶいた。

 これが、あの大妖怪 九尾の狐と言っても誰も信じないだろう。


「当たり前でござる ! ご主人様のお子さま達なのだから !」


 相変わらずの忠犬ぶりを発揮する人狼のダイフクモチ

 ちなみに、二人の名付けは七之助だ。

 ボクの名付け親が別の人で良かったとつくづく思うね。


 家に帰ると、さくら猫又がテレビにかじり付いていた。

 一緒に付き合って、タヌキムスメ化け狸が見ていた。


「あ~、おもしろかった ! 次の『今日のワンコスペシャル』は何時かなぁ~」


 猫のクセに犬好きの三毛猫さくら……変な奴。


「見終わったなら、二人を寝かせるのを手伝ってよ !」


 タマに言われて、しぶしぶ手伝う二人。

 そんなんだから、えるんだぞ !

 食っちゃ寝、食っちゃ寝してばかり、少しはボクを見習って欲しいね。


 先ほどまで晩酌をしていた、ぬらりひょんがテレビのチャンネルを変えた。


「次は儂の見たい番組があるんじゃ、良いじゃろう

 年寄りの数少ない楽しみなんじゃ 」


 ヨ、ヨ、ヨ、と嘘泣きするぬらりひょんくそジジイ


 やがて、妖怪チャンネルの番組が始まった。



 ◇◇◇


「ヤッホー みんなのアイドル、サファイアだよ !

 ボクの番組、『黒猫サファイアのお宅訪問』がはじまるよぉー ! 」


 あっ、今日だったんだ……ボクの番組

 コレ、お宅訪問と言っているけど、家に住む妖怪達のなんだよね。


「はい、最初のお宅訪問は、あの有名な異火佐間不動産屋いかさま ふどうさんや鷺矢さぎや社長のお宅です !

 いやいや、立派なお宅ですよね。

 部屋が七つにトイレとお風呂が二つ、庭にはプールまである豪邸だよ、すごいよね !

 部屋の案内は、新妖怪である電子狐でんこちゃんが映像を流してくれます。


 電子狐ちゃんがパソコンの中身を確認したら、出るわ出るわのインチキで悪どく稼いでいるのが判りました。

 さあ、お客様……何方どなたが住みますか ?」


 テレビ画面のボクの質問に、


「はい、はい、アタイが住みます ! 」


 いち早く立候補したのは貧乏神のひんちゃんだった。


「他にはいませんか ? いないのなら、貧乏神さんに決定しますよぉー !」


 立候補が現れずに、貧ちゃんに決まった。


「うむ、若い貧乏神だから、後半年かのう~ 」


 ぬらりひょんの独り言

 何が半年かと云うと破産する期間のことを言っている。



 ◇◇


「次のお宅訪問は、隣県の市長のお宅で~す。

 此方は、セキュリティ対策が高いマンションですが、電子狐には関係ありません !

 市長の悪野太郎氏は、パワハラ、セクハラ、モノハラで沢山の市役所職員から嫌われていまーす !

 しかーし、この市長、第三者委員会から辞職勧告を受けているけど、辞める気は無いようです。

 さあ、お客様……何方どなたが住みますか ?」


 電子狐のが終わると、


「うむ、儂が住もう。 まあ、すぐに引っ越しすることに成りそうじゃがのう 」


 アレは疫病神のヤッさんだ、本名は知らない。

 みんな、疫病神のヤッさん としか呼ばないからだ。


「ヤッさんか……最短記録は三日じゃが、果たして記録更新するかのぅ~」


 意地悪く笑っている、ぬらりひょんくそジジイ



 ◇◇


「最後は……優しく真面目に働いているけど貧乏な赤路美代子あかじ みよこさんのお宅訪問 !

 古いアパート、1DKです 」


 電子狐が部屋の中を映す……必要最低限な家具しかない。


「儂が行こう、儂に任せなさい !」


 福の神である大黒天さまが名乗りでた。

 近所の野良猫たちの情報でも優しい良い娘だと聞いている。


 大黒天さま、彼女をお願いね。


 今日は出番が無かったけど、水回りの掃除が苦手な人の家には、妖怪の垢嘗あかなめが住んだりしている。

 もちろん、ボク達、猫又もね……



 ※作者より


【 黒猫サファイアと三毛猫さくらの日常 ~ 猫魈?猫又! 日常は妖怪、吹き溜まり !! ~】


 https://kakuyomu.jp/works/16817330656371904675


 の続編でもあります。


 よろしければ、読んでくださいね。


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