放課後ダンジョンクラブ! ~突然放課後に現れるダンジョンに入ったら、ステータスが表示されたのでとりあえず攻略してみる~ 【DEVIL SUMMONER SERIES】
臆病虚弱
第1章 1〜30話
第1話 放課後のパソコン部
……………
「あー、つまんねえなぁ……ネットニュースは暗いのばっかだし。新作のゲームもイマイチだしよーっ」
そう言ったパソコンに向かう男子生徒、『
そんな彼に対し、呆れた様な表情で、隣の席に座るもう一人の男子生徒『
「いつものことだろ? 大体、お前が求めているような神ゲーなんて、早々でねえよ。気になるなら、デカイ会社のサイトでも見てろ。せっかくのパソコン部なんだからよ」
眼鏡をあげながら、彼は隣の重吾にそう言い放つ。声色は心底呆れた様な感じだ。だが、重吾はそんな様子を気にせずに、グルグルと椅子で回りながら、話を続ける。
「おれはさぁ、こう、リアルな……3DアクションRPGを求めてるわけよ。現状そう言うのはどこにもないんだよ……ラノベの世界にはあるのになァ……最近は現実にダンジョンが出来たら、みたいなのがあるんだぜ?」
健はそれを聞き、ため息をつきながら、重吾に言う。
「学校がそうなったらいいのにな……ってか? 流石に僕でもそんなのは御免だね。危険だろうし、僕らみたいな一介の生徒が活躍できるわけないだろ、運動も下手だし」
重吾は回るのをやめて健に残念そうな表情を見せながら言う。
「オイオイ、夢がないなぁ……そう言うのは都合よくなってる方が面白いだろ?」
健はまたも呆れたように言う。
「リアリティが無くなるんだよ。
健は鼻で笑いながら、ノートパソコンの作業に戻る、彼は3DダンジョンRPGのフリーゲームを作っているようだ。
重吾はため息をつきながら椅子に深く座り込み、ずり下がっていく。
―――――
そんな中、パソコン室の扉が開かれ、彼らパソコン部の顧問である国語教師・
その隣には同じくパソコン部の部員で小麦色の肌に短髪、制服のシャツの腕をまくった快活な様子の女子生徒・
そして、制服を上着までしっかり着込んだ三つ編みが特徴的な、重吾の妹・
國山先生はパソコン室にいる二人を見遣って、訊く。
「あら、金田君は……?」
重吾が答える。
「ああ、
靖穂が少々驚いたように訊く。
「修君って……兄貴いつの間に金田先輩と仲良くなってたの?」
「そりゃ、同じ部活なんだし話くらいはするよ。皆、修君にビビりすぎだよ。全然いい奴だぜ?」
重吾は笑いながら言う。
それに健は一言呟く。
「そりゃ、ビビるだろ、留年した年上の同級生なんて」
稲葉さんがそれを聞いてか、話題を逸らすように國山先生に話を伺う。
「なんで今日は人手が欲しいんですか? いつもなら先生、金田君の欠席は特に聞かないでしょ?」
「ああ、今日は皆で準備室の荷物をこっちのパソコン室に出してもらいたかったの」
「それじゃ、大丈夫ですよ。あたしが居るんだし」
そう言って稲葉さんは笑う。重吾は立ち上がり、彼女たちに近づいて言う。
「そりゃそうだ、おれや健や靖穂みたいな部屋に引きこもるモヤシと違って、南は元運動部のエースなんだから……だから大丈夫っすよ」
靖穂が嫌そうな顔をして言う。
「先生……モヤシも動かなきゃダメですか?」
「ダーメ。さ、皆、準備室に行って、ほら、三本くんも」
「はいはい……」
パソコン部員たちはぞろぞろと、パソコン室の教卓の奥、準備室の扉へと歩いてゆく。國山先生が、その扉の鍵を開け、扉を開く。
そこには、レンガ造りの迷宮が広がっていた。
生徒らと教師は目の前の光景に戸惑い、困惑し、息を詰まらせ、目を瞬く。
ようやっと、靖穂が声を出す。
「これは……一体……なに?」
その声のあと、重吾が、扉の先へ一歩踏み出す。
國山先生が制止して声を出す。
「重吾君、ちょっと」
「大丈夫ですよ。ほら、戻れなくなることはない」
「そう言ったって……危ないかもしれないでしょ、とにかく他の人に……」
國山先生はこの事態に困惑しつつも何とか対処しようとするが、重吾はお構いなしに扉の向こうのレンガ造りの場所を見回し、右へと向かおうとする。
それを追う様に靖穂が扉へ入っていく。健がそれを引き留めようと靖穂と重吾に話しながら扉へ入っていく。
「ちょ、靖穂さん! 重吾、待てよ、おい!」
稲葉さんがあわあわと心配しながらも他の部員に向けて呼びながら、扉へ入っていく。
「ま、待ってよ皆!」
國山先生も慌てて扉へと入る。
「み、皆! 待ちなさい!」
扉の先の迷宮は薄暗く、灯りは壁に掛けられた松明以外にない。國山先生は扉を入って右側を向く。そこには立ち尽くす部の面々が居た。
「皆、早くもど……!?」
その目線の先、重吾ら生徒の目の前には頭に二本の山羊の角を生やした男が立っていた。
(続く)
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