第11話 この時間が永遠に続けばいいのに
【登場人物紹介】
これまでのあらすじを踏まえた人物紹介です。
真鍋星矢(せいや)…社会人二年目。優柔不断。春花とはストーカー対策として恋人のフリをしている。さらに今回の社員旅行中に彼氏持ちの後輩、愛未と添い寝をしてしまった。それでも本心が見えない愛未に振り回されている。
多田愛未(まなみ)…社会人一年目。あざと系女子。遠距離恋愛中の彼氏がいるが、星矢と添い寝をした。しかし、本人はまだ今の彼氏が好きらしく星矢を振り回している。
中野春花(はるか)…社会人一年目。最近彼氏と別れたらしい。ストーカーの被害に合っていてそれを回避するため、星矢とは恋人のフリをしている。前回の話で星矢から相談したいと言われ、海に誘われる。
春日部博(ひろし)…星矢の相談相手。周りからの信頼も厚く、恋愛相談に乗るが少しズレてるため、アドバイスがあてにならない事も多い。愛されキャラ的存在。
内間君恵(きみえ)…星矢の上司。何故か星矢に厳しい。プライベートはあまり人に明かさないため、謎に包まれている。
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海の近くの柵に座って星矢と春花はコンビニで買ったアイスを食べながら星を眺めた。星矢は昨日あったことを全て春花に話した。春花は予想以上の出来事に動揺していた。
「ごめんなさい、出来事が衝撃的すぎて何言ったらいいのか」
「本当にそう!俺もよく分かってない。え、彼氏いるのに添い寝するのって女子の中で普通だったりするの?」
「そういうので男子女子括るのは良くないと思いますけど。大抵の人はしません。少なくとも私は」
「だよね。いなかったら?」
「いなくてもその人と付き合いたいとかそういう感情なかったらしませんよ。私は手すら繋ぎません。あ、いつもの恋人のフリのやつは、その、ストーカー対策だから仕方ないというか、、」
「もちろんわかってるよ。」
「ただ、愛未って悪い子じゃないと思うんですよね。もちろん距離近いですし思わせぶり過ぎる時はありますけど。昨日の出来事は天然の域を超えてます。つまり彼氏いるけど真鍋さんの事を好きになってしまったか完全に弄んでるかのどっちかです」
「なるほど」
その時、星矢の頭には昨日、愛未が彼氏の事が好きと言っていたことが頭に浮かんだ。
「遊ばれてるのかなぁ?」
「結論出すのは早いと思いますけどね。様子見として距離置くのはアリだと思います。そもそも真鍋さんはどうなんですか?愛未がもし真鍋さんの事好きだったら付き合いたいなと思いますか?」
正直わからなかった。それに好きと答えるのも違う気がした。仮にも目の前にいるのは恋人のフリしてる存在なわけだし。でも春花に気は無さそうだしそれは関係ないのかな?
「わかんないんだよね。」
「結局そこが大事だと思います。まあゆっくり考えるのもアリですよ。それまでは気晴らしに趣味とかに没頭してみたらどうですか?」
春花の言ってることが正しすぎて本当に心が落ち着いた。愛未と話しているとモヤモヤしてばかりだったが、春花と話していると安心感があった。
………凄い後輩を持ったな………
そんな時、誰かが海に近づいてくる気配がした。
「やばい。隠れましょ。もし誰かに見られて勘違いされても困りますし」
春花はそう言って星矢の手を引っ張り、物陰に隠れた。
「え、あれ、春日部さんと内間さんですよ?」
「え!まじ!?」
ボヤけてよく見えない。そう見えなくはないがハッキリは分からなかった。
「え、あの二人って付き合ってるんですか!?」
「え、まさか〜。博からそんな話聞いたことないけど」
「まあ今の私たちのような相談とかの可能性もありますし、何とも言えないですね」
そんな会話をしながら星矢と春花は二人で物陰に隠れながらじっとしていた。
しばらくすると春花はいきなり
「はぁ。彼氏ほしいなぁ。」
と呟いた。
「俺も彼女ほしいよ」
星矢はそう返した。これも本心だった。
「え、今、流れ星ながれてました!」
「え、ほんと?」
「はい。もしかしたら私たちが今、言ったこと叶うかもですね」
距離が近いため、二人は手が少し触れ合う。恋人のフリで手を繋いでいる時以外で初めて春花と手と手が接触した。
なんとなく、エモくなってきた。社会人でありながら学生のような気持ちが思い出された。この瞬間、星矢は春花に対して特別な感情を持っている事を確信した。それは恋人のフリしてる情からなのか、本当に恋をしてしまったのか、そこまでは分からなかった。
もしかしたら愛未の事を考えなくて済むように本能的に春花に心が移っただけなのかもしれない。
ただ、
………この時間が永遠に続けばいいのに。………
そう思った。
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ここまで読んでくださり、ありがとうございます!感想や主人公が誰と結ばれるのか等、予想を応援コメントとかに書いてくれるととても嬉しいです。
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