反則の夜

AUGA(オーガ)

第1話 初夜

数多くの男を見てきた。

お酒と煙草が卓上に広がってる夜の世界。


私は、美を武器に

まだ夜の世界で生きている。


こんな仕事をしているからか?

結婚も子供も何もかも速かった。


女の身一つで子供を育てていく。

昼の顔と夜の顔、両方使い生きて行くことでしか

生きていけないと思っていた。


ある背筋に汗が流れる

夏の夜…


田舎にある、飲み会にコンパニオンとして向かった私

そこで出会った

一周り年の離れた男(26)


その男が私の人生のなかで忘れることの出来ない男になることは

まだ知るよしもなかった…


ここ2〜3年彼氏というものはいない


特にイケてるわけではない彼と意気投合し

数ヶ月後に飲みに行くことになった。


少し丈の短いスカートに化粧

仕事に行くよりは少し手を抜いためかし


食事に行く。


彼が運転、私は少しお酒を飲みながら

彼の予約してくれた、居酒屋へ入る。


2週間前に誕生日を迎え、アラフォーに更に近づいた私…


まだ彼の事はあまり知らない


お酒も進み、ほろ酔い気分


そんななか、照明が全て消え

サプライズをしてくれた彼

そして、私の欲しかったものは言っていないのに

欲しかった香水とエステチケットを

手慣れたゲームを用いてくれた。


この男、遊び人?


少し疑いもあったが

喜びがまさってしまった。


なぜか惹きつけられるように、彼の腕に寄りかかり

感謝の気持ちを頬にキスで返した。


楽しい気分で少し、次の展開も期待しながら

彼が向かった先は

迎えに来てくれた私の家。


スマートに助手席を開け

頭部を打たないように、気を配る。


そんな彼の腕から

バニラのような甘い香りがする…


お酒の影響もあるが

寂しい気持ちになり、彼の袖を掴んだ。


男には慣れている。

少し意地悪に

誘ったのは私だが

目当ては体だけかと問う…


彼は慣れないような口調で

否定する。


それがまたなぜか興奮した。


本当に相性がいい人というのは唇同士でも

電気が走ったようになるという。


初めて感じた感覚

声が勝手に漏れてしまう…


静かな部屋の中に重なる唇の音と私の声だけ響く

恥ずかしくなってきたが


お酒と雰囲気、相性が全てハマってしまい

今までにない程

何度も何度も欲しがってしまった。


私の甲高い声と湿った音だけが鳴り響く。


何人もの男を見てきた。

定まったパズルのように

こんなにハマった相手とするのは初めてだった。


彼と私の年齢差を考えながら

これから先の関係が続かないかもしれないと思い

今この快楽と幸福を何度も楽しんだ。

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