シャボン玉は飛んで、弾ける
夙
プロローグ
俺、
けれど、俺はには一つだけ悩みがある。
「彼女が欲しい!!」
なんといってもこれだ。これに尽きる。高校生になったら彼女なんてすぐつくれると思っていたが現実問題そんな甘いものではなかった。
そもそも、女子友達は多くいるが特別好意がある人は居ない。俺自身に問題があるのかも知れないが健全な男子高校生の俺は悪く言えば欲求不満である。決してそういうことがしたくて彼女が欲しいわけではないことは最初に断っておかなければならないだろう。
そうとはいっても実は一年生の終業式に仲の良かった友達に告白されている。内心嬉しかったが俺はそういう目で見ていなかったため断ってしまった。あの告白が高校生活最初で最後の告白になるのかもしれない。
そう思う馳せながら数学の授業中に窓から見える校庭を見ていた。まだ熱気が上がりきっていない五月、外にはまだ桜が少しだけ舞っていた。
「ねえ、ねえ、月影くん。先生に呼ばれてるよ?」
小声でか細い声が隣から聞こえてきた。俺は首を180度回し右隣りをみるとショートボブで眼鏡をかけたクラスの女子は指を前の方に向けていた。俺はすぐに首を90度戻すと黒板の前に立つ先生と目が合った。
「月影!ぼさっとしてないで早く答えろ」
そう発する先生の指さし棒の先はなんだかぐちゃぐちゃした式を指していた。この問題の答えを言えばいいのだろうが当然俺はなにも話を聞いていなかったためすぐ答えが出るはずがない。
「えーっと……」
何とか答えを出そうと急いで考えるが焦っているためか頭が回らない。解答に困っていると隣の女子が机をコンコンとならした。俺は音がした方を横目でみると真っ白なノートの端に何やら答えらしきものが書いてあった。
「54x+11です」
俺は急ぎ口で書いてあった文字を読み上げた。それを聞いた先生も満足げに頷いて答えを黒板に書き始めた。合っていたみたいだ。
「藤原さんありがと、助かったよ」
ほっと息をついた俺は、ぼっそっと隣の藤原さんにお礼を言った。
「助けになったのならよかったよ」
藤原さんはうっすら笑顔を浮かべ小声で返事をした。
藤原さんとは二年で同じクラスになりつい先日の席替えで隣になったばかりでほとんど話したことがなかった。
藤原さんの第一印象は真面目な優等生だ。授業中は背中が板のようにぴんとしている。ぼーっとしたりや寝たりしていたところは一度も見たことがない。
藤原さんは俺とはタイプが反対のため俺の方から積極的に関わったりはしていない。そのためだだのクラスメートという間柄だ。
だが俺は今藤原さんのことが気になって仕方がない。
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