14、クールプリンセス分からせ
「ふぅーっ、えがった、堪能したっ!」
「そ、そうか……」
「うぅっ、もうお嫁に行けません……」
「良いじゃない、その時はパパに貰ってもらえば」
「「え!?」」
「ちょっ、そんな目で見ないでくれないか……?」
「破廉恥です!」
フンッ! と顔を背ける姫織は、あの後金多とリリィに付いて金多の家までやって来ていた。
あの――、
ジィっ、
『ヤらないか?』
――リリィ、余計な知識を得まくりだろう……。
そう思う金多の前で、リリィはキワドイ衣装のロリサキュバスボディを露わにしたかと思えば、
『あははははははっ、止めっ、あははははははぁっ!』
『ふふふっ、あれだけ感度が良いんだからくすぐりもすっごく効くわよねぇ、ふふっ、なんてあられもない声なのかしらぁ?』
ほぅら、ほぅらぁ!
『あはっ、止めっ、あははははははははははははははぁっ!』
それは一言で言って、確かにお嫁に行けなくなるような顔であって。
『ほら、見てごらんパパのあのドン引きした顔。――ウン、あんた、涙も鼻水も涎も垂らしてすっごい顔になってるわよぉ、キャハハぁっ♪』
『いやぁああああっ、見ないでぇあっははははははははぁっ!』
『ほらほらぁ、もうあたしとパパの仲を引き裂こうとか配信止めろとか言わないで、自分がむっつりだってことを認めれば止めてあげるわよぉ、ほら、パパ、写真撮って、写真ぅ!』
『いや、流石にそれは……』
『パパが写真撮ってくれないんだったらこいつ剥いちゃって犯しちゃっても良いわよねぇ、それくらいのことをしようとしてきたんだからぁ!』
『写真、撮らせていただきますっ!』
『ほーら、あっちに向かって今の無様な顔であへーってダブルピースしなさいよ、ほらぁ!』
『やっ、やぁあっはははははっ!』
『やらないんだったらハメ撮りに変えるわよぉ?』
『あっはは、あへーっ』
『ふふっ、善いアヘ貌ね。ほらほらぁ、パパもしっかり撮ってぇはいチーズ』
あへーっ♪
カシャア、カシャア
『あっはははははっ! もっ、もうお嫁に行けな……あっ、あっははっ、ちょっ、待っははははは!?』
『ンぅ?』
『らめぇっ、もっ、漏れっ、あははぁっ!』
『あ』
『あ』
カシャアっ、カシャアっ
『うぅっ、うぅうううっ……』
『えっと、ごめん、ね?』
『うぁあああああんっ!』
流石に酷かったが、リリィはそれで『これくらいで許してあげるわ。ムフーッ』と満足そうで、金多は漏らしてしまった彼女を労りながら買ってきたローブで躰を隠してやったりしながら、家に連れて来、シャワーを浴びさせ、ジャージを貸してやったのであった。
クールプリンセスのジャージ姿。
出るところに出せば数万円の値で取引はされるだろう。
「ま、満更でもなさそうだしぃ」
「そんなのではありませんっ! ……うぅっ、こんな破廉恥モンスターにぃ……」
「えっと……、災難だったな?」
「テイマーの貴方が言わないでくださいっ! 後撮った写真は破棄してくださいっ!」
「それは駄目よー、だって、抑止力って必要じゃあない?」
「くっ、破廉恥な」
「ねぇ、それちょっと気に入ってない?」と金多がジト目を送るが、彼女は間違いなく先ほどの配信を意識していた。
そう、先ほどの配信だ。それは帰路で逢った探索者協会職員から教えられた。どうやら通報されていたようだ。そしてその配信は、リリィがサキュバス衣装を曝して再びアカウントがBANされていた。――金多の方こそ漏らしそうになった。
そんな、あぁんまりだぁあッ!
ショックのあまりムンクの叫びのようになった金多の横で、クールプリンセスこと氷川姫織はクールを忘れて急いで検索をしていた。自分の醜態がどこまで曝されていたのか、リリィがサキュバス衣装を曝したところで垢BANされていたのであれば自分のあのお嫁に行けなくなるくすぐられアヘ顔だってお漏らし画像だって流出はしていない筈。
だが、
【悲報】クールプリンセスさんクールプリンセスと呼ばれることを嫌がっていた
【朗報】クールプリンセスさんメスガキサキュバスに分からせられる
クールプリンセス×メスガキサキュバスどちらが前で後ろか
エッッッッッッ、百合の花咲く
まさしく破廉恥な、二人の絡みイラストが職人の手にあげられていて愕然とした。
そして世間――少なくともSNS上では、クールプリンセスはメスガキサキュバスに“分からせ”られ、手籠めにされたことになっていたのであった。
それも含めての
「もう、お嫁に行けません……」
であるのであった。
「だけどどうしてそんなに破廉恥が嫌いなのぉ?」
「そっ、それは破廉恥なことはいけないことだからです!」
「ふぅーんー……」
と言うリリィの目はまるで空洞のようで。
金多は、あっ、ヤベっ、と思うのだ。
「だけどさぁ、破廉恥なことって言ってるけど、あんただってママとパパがエッチなことをしたから生まれてきたワケでしょう? それも否定するのぉ?」
「そっ、それは愛の営みだから良いのです! 男性の歪んだ欲望を満たすような、或いは煽るような、それによって増長した男性が女性を食い物にするのが破廉恥ないけないことなのです!」
喋っているうちに調子が出て来たのか、姫織は早口になってまくし立てる。が、
「ふぅーんー……、確かに、お互いが気持ち良くなれていないと駄目よね」
「そうでしょうそうでしょう。――ン?」
「――ニヒ♪」
怪訝そうな顔をした姫織に、リリィはニンマリと微笑むと、
「あたし分かっちゃったかも♪ むっつりちゃんが破廉恥を許せないのは、自分が気持ち良くなれていないからなのよ! むっつりで十分に気持ち良くなれていないから、慾望に素直で気持ち良くなれていない人が羨ましいんだわ!」
「なぁっ!? 貴女は何を言ってるのですか! 違います! 私はただ社会的に客観的に見て破廉恥は許されないことであって、それによって不幸になる人が――」
「うんうん、分かるよ、分かるよぉ、むっつりちゃん、自分が気持ち良くないから不幸なんだよねぇ?」
「だから違いますってぇっ!」
「本当に? 本当に違うのぉ? あんなに感度が良いいやらしい躰をしているのに、むっつりじゃあ満足できないんじゃあないのかしらぁ?」
「ちっ、ちが……」
ぐぐぐ、と可愛らしくも妙に圧のある顔をリリィは近づけて追い詰める。
――リリィさん怖ぇえ……。
その様子を金多はハラハラしながら見ているのである。
端的に言って役に立たぬ。
「ふふっ、違うって、どう違うのぉ? むっつりちゃんがむっつりで、感じやすいいやらしい女だってことは事実よねぇ?」
「ど、どちらも違いますぅっ!」
「えぇっ? 本当にぃ? 一人でその実は隠れ巨乳なおっぱいを揉みしだいたりぃ、先っぽや、あそこをクリクリぐちゅぐちゅしちゃったりしてないのぉ?」
「……………………」
「あら? だんまりぃ? ふふっ、隠したって無駄よぉ? だって、あたしはサキュバス。ロリっ子の見た目でもぉ、破廉恥に関してはあんたに負けないんだからぁ……ふふっ♪」
そう言ってむっつりちゃんの顎を掬い上げるリリィさん。
「うぅうっ」とこれ以上ない説得力を突きつけられた姫織は瞳を揺らすでしかない。
――リリィさんもう止めたげてよぉ!
金多はそう叫ぶが、むろん心の中でである。あとメスガキが生真面目委員長系の女の子を、「あなた、実はエッチよね?」と責めているこの状況に、手に汗握っているのは言うまでもないのである。
「ふっ、強情ね」
とリリィが指を離せば姫織はホッとするようだったが、
「じゃあ、あんたの本性を曝け出させてあげるわ。そこで指を咥えて見ていなさい。あたしは別のものを咥えるか・ら🖤」
「えっ? ちょっ、リリィさん? どうしてこっちに来るんだ? 止めよう? 俺を巻き込むのは。ほら、輪っかを作ってレロレロ舌を動かすのとか、破廉恥は良くないと思うんだ、俺、うん。あっ、ちょっ、アーーーーーッ!」
「問答無用なんだからぁ🖤」
「えっ、あっ、そっ、そんな、あんな大きく……わっ、わぁっ、そんなっ!」
姫織は、むっつりちゃんの名に違わず、頬を染めながら指の間からガン見する系の女子だった。
「ちょっ、リリィっ、待っ、おぉおッ!?」
「待たないんだからぁ! ほら、パパはこことか、こことか、こうされるのも好きよねぇ? ほら、ほらぁ!」
「りゃめぇえええっ!」
「うわっ、わわっ、あっ、あんな風に……しゅごいぃ……」
「ふふっ、じゃあお次はぁ、あのむっつりちゃんに良く見えるようにぃ🖤」
「まっ、待った、話し合おうじゃないかリリィ」
「もう、パパったら往生際が悪いんだからぁ。ダ・メ🖤」
「うぉおおおおーーーーーーっ」
「わわわわわわーーーーーっ!」
その夜はたいそうお楽しみであったのだと言った。
その後姫織が参加したのかどうかは、まだ三人だけしか知らないのである……。
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