第4話 伝書鳩 VS 赤天狗(2023お題:火星の別件逮捕/惰性のエッヘン開放)

三分、豚足。


唱えるが、峠を塞ぎ立つ赤ら顔の天狗に合言葉は通じない。みるまに巨大な小鼻を怒りで膨らませてゆく。


「ダメだ、避けろっ!」


伝書鳩リーダーの声にスケサクも茂る木立へ身を躍らせた。突風はそのとき天狗の鼻から解放されて、食らえば木っ端微塵だろう強さでごううっ、と吹き抜ける。

木立に食らいつきどうにか顔を上げていた。

狙って天狗は残る息で、咳払いもまた放つ。


ゥエッヘン。


「ぐはぁっ」


食らって伝書鳩パーティの一人が地面へ叩きつけられていた。


「惰性のエッヘン解放だけでこれほどの破壊力がっ」


こんな時こそサイキックの力があれば。スケサクは歯ぎしりし、見定め天狗は小鼻を再び膨らませてゆく。


もうダメだ。


誰もが固く目をつむっていた。


「そこまでだ」


降って空を仰ぎ見る。


「タコ天狗、暴行と傷害の現行犯で逮捕する。お前には火星で別件の逮捕状も出されている」


それはもうお弁当どころではない。サイキックの力でひとっ飛び。駆けつけたお奉行様は浮いていた。

(本編のみ 413文字)

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