三日目 昼の密談 火狩視点



 三日目 昼の密談 火狩視点



 時刻は十二時半。


 頭は締め付けられるようにズキズキと痛み、意図せず歯がガタガタと音を鳴らすほどの寒気と、我慢できないような強烈な吐き気に襲われた。


 視界が霞み、世界がグルグルと回り出す。


 満身創痍の身体を何とか起こしたウチは、ヨロヨロと転びそうになりながらトイレに行った。そして、空っぽのはずの胃の中身を吐いた。


 出てきたのは薄い胃液だけだった。




 洗面台でバシャバシャと雑に顔を洗い、必要最低限の身支度を済ませた頃には十三時になっていた。


 キュルルル。


 食欲は無いけれど、身体は空腹を訴えている。


「食堂に、行こうかな」


 ルームサービスで部屋にご飯を運んでもらう。そんな簡単なことも思い付かなかった私は、エレベーターに乗り込んで食堂へと向かった。




「おはよう。自分は食べ終わったのでコレで」


「え、あ、うん」


 食堂の入口で月野とすれ違った。彼は至って元気そうだった。ウチは挨拶を返すことすら出来なかった。


 あんなことがあったのに、よくもまぁそんな元気でいられるな。


 フラフラと自分の席に向かうと、金原はまだ食事の途中だった。


「おはよう、火狩さん。大丈夫?」


 心配そうな顔で見てきた金原の顔も、少しやつれていた。ウチと同じであまり眠れなかったのだろう。


「んん、おはよう。あんまり大丈夫じゃないかも」


「そっか。まぁ」


 金原はそこまで言ってから、何かに気が付いたように口を閉ざした。


「ウチ、あんまり眠れなくて。頭がズキズキ痛いし、絶不調かも」


 金原は心配そうな顔で「本当に? 大丈夫? 無理しない方が良いよ。メイドに言えば頭痛薬ぐらいは貰えるんじゃないかな」と言った。


 彼のせいではないのだが、話をしているだけで鼓膜はボオオと鳴り響き、視界はグワングワンと揺れていた。


「あ、うん」


「朝食、というかもうーーか。ーーーが良いとーうよ。月ーーんは蕎麦を食べてたし、うどーーーいなのとか」


 金原が何か話しているのは分かるのだが、耳鳴りのせいで何を言っているのかイマイチ聞き取れない。


「聞き取れなかった」と正直に言うことに躊躇したウチは「うん」とか「そう」とか曖昧な返事ばかりをしてしまった。


 彼には悪い事をした。


 ウチが彼の優しさを傷つけている事に気が付いた頃には、金原は牛丼をかきこんで「お大事に」と言って席を立ってしまった。


「金原さんも、ね」


 それがウチに出来る精一杯の返事だった。




 玉子雑炊をいつもの倍ぐらいの時間をかけて完食をした。

 ここまで体力が落ちたのはインフルエンザと”あの日”が重なった時以来な気がする。


 食べ終わってエネルギーを補給出来たからなのか、多少の怠さは残っていたものの、起きた直後と比べるとだいぶマシになっていた。


 そうはいっても、映画を見たり遊技場で遊ぶような元気があるわけではなかったので、ウチはトボトボと自室へと戻った。




 自室のベッドに腰を下ろしたタイミングで、突如部屋の中に電子音が鳴り響いた。


「え、あ、何の音?」


 部屋の中を見渡すと、ベッドの横に置かれたワイヤレスの受話器の画面がピカピカと光っていた。


「あ、電話か!」


 ウチは慌てて受話器を取った。


「も、もしもし」


『あ、ごめんなさい。もしかして寝てた? 急用ってわけじゃないから、都合が悪いなら掛け直すけど』


 電話の相手は日谷だった。


「いや、大丈夫だよ。今お昼ご飯食べてきたところ」


 数秒の間。


 説明が足りないのかと思い、補足しようとしたタイミングで日谷の声が聞こえ始めた。


『そう。誰かと会った?』


「えっと、月野さんと金原さんの二人かな。月野さんは本当にすれ違っただけ。金原さんとは少し話したけど、ご飯食べるまで体調悪くてあんまり話は出来てないかな」


『体調が悪い? 大丈夫なの? 無理しないで休んでた方が良いわ』


 日谷の声色が心配そうな声に変わった。


「えっと、今は大丈夫だから」


 ウチは、伝わるわけがないのに空いた手でジェスチャーをした。


 再び数秒の間。


 何か考えているのだろうか?


『そう。じゃあ話を続けさせて貰うけれど、部屋に誰も来ていないわよね?』


「う、うん。一人だよ」


『鍵はちゃんと掛けた?』


 どうだろう。


 そう言われると心配になる。


「ちょっと見てくる」


 ウチは受話器を持ったまま扉の前へと向かい、ドアノブをガチャガチャと捻って、確かに鍵が閉まっていることを確認した。


「ちゃんと鍵も掛かってるよ」


『なら良かった。でもねぇ、火狩さん。気を付けないと。殺人鬼がこの建物にいるんだから』


 さ、殺人鬼。


 ウチはその言葉に思わず身体を震わせた。


「そ、そっか。うん。そうだよね」


『結論から言わせてもらうと、私が火狩さんに電話をしたのは、犯人が絞れたからよ』


「え!? 本当にッ!?」


 ウチは思わず大きな声を出してしまった。


『いきなり大きな声を出さないで。電話だから耳に響く』


「あ、ごめんごめん」


 慌てて謝罪すると、受話器の向こうで溜め息をついた音が聞こえた。


「でも、犯人が絞れたって本当に?」


『本当よ』


「じゃあすぐに皆に知らせないと」


『待って』


 予想外の制止に、思考回路がフリーズした。


「な、何で?」


『絞れたけれど、確定したわけじゃないから。私は今、言い逃れ出来ない証拠を探している最中なの。まだ証拠は見つかってないけれど、今の時点で火狩さんにだけでも伝えようと思って。同じ女性として、気を付けないといけないからね』


「え、えっと。うん、そう、だね」


 ウチはベッドに倒れ込んだ。


 良かった。日谷さんが犯人を見付けたんだ。


『怪しいのは月野と水嶋の二人』


「そのどっちかが犯人ってこと?」


『その可能性が高い。というよりも、私の推理では水嶋が実行犯で月野は指示役。要するに共犯だと思ってる』


「し、指示役?」


『私がこの結論に至った経緯を説明するわ。そうすれば火狩さんでも理解出来るはずだから』


「お、お願いします」




『事件の流れは分かるでしょう? 八時半過ぎに大浴場に行ったら土井さんが殺されていた』


「う、うん」


 ウチはあの光景とニオイを思い出し、さっき食べたばかりの玉子雑炊が喉元まで上がってきたのを必死に呑み込んだ。


『水嶋は夕食の後、避妊具を持参して大浴場の女湯の脱衣所に消火器を持って隠れていた』


「え、待って? 消火器?」


 今まで一度も話題に上がらなかった消火器の登場に思わず口を挟んでしまった。


『大浴場の受付横に消火器が設置されていたのは覚えている?』


 そうだっけ? 覚えていない。


「ごめん、覚えていない」


 一瞬、日谷の溜め息が聞こえたのは気のせいだろうか?


『そう。まぁ、とにかく。大浴場の受付横に消化器があるのだけれど、持ってその場を去ろうとしてもメイドは何も言わなかったから、事件当時も同じだと言える』


「え? それって、日谷さんが実際に確かめたの?」


『えぇ。利用可能時間になる朝五時に大浴場に行ったわ。土井さんの遺体は既に片付けられていたけれど、もう一度現場を一人で調査したの。その時に消火器に気がついて、試したってわけ』


 あんなことがあった次の日に現場にもう一度行った?


 いくら事件を調べるためだとしても、ウチにはそんなことは出来ない。


 あの惨劇を思い出してしまうから。


『話を戻すけれど良い? 脱衣所に隠れていた水嶋は、一人でやってきた土井さんを背後から消火器で殴って殺した。そして、持参した避妊具で彼女を犯した』


 想像しただけで一気に口の中に胃酸が込み上げてきたため急いでトイレに駆け込み、何とかベッドや床に汚物を撒き散らさずに済んだ。


『何か変な音が聞こえたけど大丈夫?』


「う、うん。ごめん。続けて」


 どうやらウチが吐いたとは気が付いていないようだ。わざわざ伝える必要も無いと思い、誤魔化すことにした。


『消火器が凶器だと考えたのにはちゃんと証拠がある』


「しょ、証拠!? 本当に!?」


 電話の向こうからフフンと得意げな声が聞こえたような気がした。


『消火器が少し凹んでいたの。凹んだ面を隠すように置いてあったわ。ちょっと落としたぐらいじゃ凹むわけがないから、土井さんを殴った時に凹んだと思う。血が付いていれば証拠として十分なのだけれど、洗い流したのか血は付いてなかったわね』


「え、え!?」


 昨日も消火器を調べたような?

 裏面まで見なかったということだろうか?


 いや、月野と日谷の後ろを歩いて、二人の様子を後ろから眺めていただけのウチにはハッキリとした記憶は無い。


『これで凶器については判明したも同然。犯行後、消火器を持って男湯に移動した水嶋は、身体と消火器に付いた血を洗った。そして、全員が女湯の脱衣所に集まり終わってから、消火器を元の場所に戻し、何事も無かったかのように合流。

 避妊具は何処かに棄てたんでしょう。誰かと鉢合わせるリスクを減らすのなら、男湯の何処か。いや、トイレに流したのかもね。そうすればたとえメイドであっても見つける事は出来ないから』


「ま、待って」


『何かしら?』


 私が口を挟んだことに、日谷は少し機嫌が悪そうな声で応えた。


「水嶋さんが犯人という体で話が進んでいるけど、証拠があったの?」


『犯行現場を捉えた映像があるわけじゃないわ。でも、現場に避妊具の包装袋が残されていた。土井さんが注文したとは考えられないから、避妊具は犯人が注文したはず。そうでしょう?』


「う、うん」


 少しばかり話の展開が急な気もするけれど、日谷がそう言うのならそうなのだろう。


『水嶋以外の全員の注文履歴には避妊具は無かった。つまり、水嶋が限りなくクロと言える。そこに何か問題でも?』


「い、いや。無いよ。特には」


『そう。なら良いけど。ただ、水嶋の単独犯だと説明出来ないことがある』


「せ、説明出来ないこと?」


 何だろう? 検討もつかない。


『土井さんが大浴場に早く行った理由。殺した後に”やる事”やって逃げるのだとしたら、私達と鉢合わせ無いように、少なくとも八時には土井さんが大浴場にいる必要がある』


「うぅん。確かに、いつまでも返事が無かったから二人で大浴場に行こうって話になったもんね」


『いくら何でも、遅刻しないためとはいえ三十分も前から土井さんが一人で大浴場に行くとは思えない。行くのだとしたら、私か火狩さんに一言伝えるはず』


「うぅん。そうだね。土井さんならそうすると思う」


 土井がウチにだけ伝えるということは考えにくい。伝えるのだとしたら日谷だけか、日谷とウチの両方だろう。


『でも、土井さんはそうしなかった』


「それが、単独犯じゃない理由に繋がるの?」


『私はそう思う。水嶋が声を掛けたとして土井さんが素直に応じると思う? 私は思わない。そう考えると別の誰かということになる。もちろん、木村や金原さんの可能性もあるけれど、私は月野だと思ってる。きっと、土井さんの部屋の扉をノックした月野がこう言ったの』


『「火狩さんと日谷さんが大浴場に行くのを見たけど行かないの?」ってね。そう言えば、土井さんはきっと自分の荷物を持って大浴場に急ぐに決まってる。それこそ、時間の確認を忘れるぐらいにね』


 うぅん。あり得ない話じゃない。


「えぇっと。色々気になることがあるんだけど、日谷さんはどうして月野さんだと思うの?」


『不自然に水嶋を庇っていたから。だから協力関係にあると思ったの』


「不自然に庇った?」


 初日から言い合ってばかりの二人がそんな会話をしていただろうか。


 電話の向こうから再び溜め息の音が聞こえた。


『覚えてないの? 水嶋が注文履歴を見せなかった時に、月野は「後回しにしろ」と言って水に流したことを』


「ああ、そういえばそんなことがあったね」


『「注文履歴が見せられないことが収穫」だとか言って、結局水嶋は注文履歴を見せないまま終わった。何かおかしいと思わない? 月野は犯人探し賛成派で、木村の注文履歴は無理やり公開させた。水嶋だけ庇うようなことをするなんて、いくら何でも怪しい』


「うぅん。確かに」


 変だなとは思っていた。


 月野のことだから、履歴を見るまで粘るか、上手いこと話を誘導すると思っていたのに、何度も催促するようなことはしていなかった。


 その疑問は、二人はグルだったと考えれば納得がいく。


「でも、動機は何なの?」


『それは犯行そのものの動機? それとも、土井さんを狙った動機?』


「え、えっと、どっちも、かな」


 また、溜め息が聞こえた気がする。


『犯行そのものは分かっているでしょう? 性欲に駆られた獣(ケダモノ)の考えだなんて理解したくもない。土井さんを狙った理由は、大人しくて力が弱そうだったからでしょ。実に卑怯で野蛮な奴等』


「う、うん」


 こんな事を考えるのは最低だけれど、土井はウチみたいにがさつじゃなかったし、日谷のように気が強かったわけでもない。


 力ずくでどうにかなると思われたのだろうか。


『私が言い逃れ出来ない証拠を見つける前に火狩さんに連絡した理由は分かってる? 最初に狙われたのは土井さんだったけれど、次は私や火狩さんが狙われるかもしれないってこと』


「え、つ、次!?」


『”超えてはいけない一線は、一度超えるともうそこには一線は無くなる”の。性欲に駆られた獣に理性という名の人としての最低限の素質はもう無いわ。メイド達は干渉する気がないようだし、私の予想では次もあるわ』


「つ、次!? ど、どどど、どうすれば良いの!?」


 パニックになってしまい、注意されたにも関わらず再び大きな声で叫んでしまった。


『落ち着いて火狩さん。私の言う通りにすれば最終日まで何とか逃げ切れると思うわ』


「ほ、本当に?」


『だからしっかりと理解しなさい』


「う、うん」


『一つ目、必ず扉には鍵を掛けなさい。自室の扉はもちろんのこと、トイレの鍵もね。扉を破壊しようとすれば禁止事項に該当してメイドが止めるはずだから』


 それは当たり前だろう。と最初は思ったけれど、普段は鍵を掛けたかなんて一々意識していないウチには重要な指摘かもしれない。


「う、うん」


『二つ目、極力外出は控えなさい。理想は夕食の時だけ部屋を出るのが望ましいけれど』


 日谷は一呼吸分、間を開けた。


『ただ、実際問題として、何日も部屋に籠もりっきりじゃ気が滅入るに決まってるわ。だから、何処か別の階に行きたいと思ったら私に電話で連絡して。部屋の外では常に二人で行動するようにすれば、少しは襲いにくくなるものだから』


 土井は一人の時に襲われた。


 ということは、二人の時なら安全なはず、だよね?


 でも、こんな何も無い部屋で八日目までいるのは気が重くなる。かといって、四の五の言ってられないのも事実。


 どうしてこんなことになったのだろう。


「う、うん」


『三つ目、誰が部屋を訪ねても扉を開けないで』


「だ、誰が来ても?」


 どういう意味だろう?


『えぇ。月野や水嶋は当たり前だけど、金原さんであってもね。彼が共犯とは考えにくいけれど、男は全員犯人の可能性があると思って』


 金原が犯人とは思えない。

 バンドマンという印象とはかけ離れた優しい人だから。

 それでも、日谷からすればシロである証拠にはならないということなのだろうか?


「う、うん」


『そうそう。きっと無意識に除外しているだろうから言っておくけど、”メイドや私であっても扉を開けないで”ね』


 え? 聞き間違いだろうか?


「メイドや日谷さんでも?」


『そうよ。メイドは「犯人には協力しない」「全員に平等に接する」と言っているけれど、命を預けられる程の信憑性は無いわ』


「メイドの時に扉を開けないのは分かったけど、日谷さんの時も開けちゃダメなの?」


『えぇ。ここの扉にはチェーンロックも覗き窓も無いから、扉の向こうの相手が誰なのかは鍵を開けないと確認出来ないでしょ? もしかしたらメイドや犯人、その協力者が声真似をして騙そうとするかもしれない』


「こ、声真似って」


 ウチが少しばかり笑うと、日谷は至って真剣な声色で『百パーセント当てられる自信があるの? 扉でくぐもった声になるかもしれないのに。間違えたら死ぬかもしれないのよ』と返された。


「うぅ、ごめんなさい」


『メイドがアレコレ理由をつけて「扉を開けろ」と言ってきたら、火狩さんは私に電話して』


「日谷さんに?」


『えぇ。私が火狩さんの部屋の前を確認するから。私の部屋の位置なら、扉を少しだけ開ければ見えるもの。それで、開ける必要があるか無いか伝えるわ』


「もしも日谷さんの所にメイドが来たらどうするの? ウチが確認するの?」


『その必要は無いわ。私は絶対に開けないもの』


 そこまで言い切られると、本当にそうなのだろうと思ってしまう。


「あ、そうだ。本物の日谷さんかどうか確認するための合言葉を決めておけば良いんじゃない?」


 我ながら妙案だ。

 そうすれば声真似する人を排除出来る。


『そうすれば男共は見破れるけど、メイドがこの電話を盗聴していた場合は見破れなくなる』


「と、盗聴!?」


『九割九分九厘盗聴されてると思った方が良いわ。盗聴しない理由が無いもの』


「きゅ、きゅーわり、く、くぶくり?」


 彼女の溜め息が聞こえた気がする。


『確実に盗聴されてるでしょうねって言ったの』


「あ、そうなんだ。難しい言葉知ってるね」


 数秒の間。


 呆れてしまったのか何か考え事をしていたのかは分からない。


『まぁいいわ。それよりも、だいぶ長話になったわね。とりあえず伝えたい事は伝えたけれど、何か質問はある?』


 鍵を掛けろ。

 部屋から出るな。

 誰か来ても扉を開けるな。


 この三つなら、さすがのウチでも理解出来る。


「うーん、特に無いかな」


『あらそう。じゃあ、十七時五十分頃にまた電話するから。それまでは部屋にいなさいよ。一人で食堂に向かう途中に襲われましたじゃ話にならないから』


「う、うん。分かった。電話待ってるね。ありがとう」


『えぇ。お互い、気を付けないとね』


 プツッ、ツー、ツー、ツー。


 電話が切れた。


「はぁ、何でこんな事になっちゃったんだろう」


 ウチは受話器を元の位置に戻し、目覚まし時計を十七時半にセットして、目を閉じた。




 しばらくの間は日谷に言われたことをグルグルと考えていたが、次第に意識は薄まっていった。


 薄まっていく意識の中で「犯人はウチ達三人が一緒に大浴場に行く予定だったことを知っていただろうか」と過ぎったが、そういう難しいことは日谷に任せれば良いやと思い、すぐに頭の中から消え去った。

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