人間関係

夜猫子

ルールは破るためにあるのだと

誰かが言ってたな

規則に縛られないことこそが自由なのだと

守られるよりも挑戦でリスクを取れと

ああ 確かに

そうかもしれないよな

それが人間なんだろうな


なあ

それなら

約束はなんのためにあるんだ?

約束も

破るためにあるのか?


俺はいつだって

君のために誠実であろうとしたんだ

だからこそ

君にも誠実さを求めていたんだ

それは

間違っていたのかな


俺は君が好きだ

俺は君を尊敬しているし

信頼しているんだ

俺は君に

心を許してるんだよ

君も そうだと

信じているんだ


忙しいのか

ああ 理解しているよ

君と俺の時間は違う

分かっているさ

だから我慢した

忙しい

理由はそれだけらしい


なあ

約束の日が

もう目の前だ


なあ

約束を持ち掛けたのは確かに俺だったけど

それを了承してくれたのは君だったよな


なあ

忙しいのは分かった 知ってる

でもな どう忙しいのか

それを教えてはくれないのか?


なあ

教えてくれ

君にとって 俺はなんだ?

言わなくても分かってくれると

それは君の信頼か? 甘えか?

それとも 俺では 話せないのか?


なあ

教えてくれよ

そうしたら

俺は納得して

君にとって良い方法を考えたりするんだ

いくらでも待つんだ


なあ

教えてくれよ

俺はあとどのくらい

待てばいいんだ

我慢すればいいんだ

裏切られればいいんだ

許せばいいんだ


忙しい

それだけの理由で

ヘラヘラ笑ってんなよ

それだけの理由で

謝ってくんなよ

俺が訊きたいのは

どうして約束を守ってくれないのか

それだけだ

ただ それだけなんだよ


約束を守れないなら

守れそうにないのなら

どうか

頼むから

誠実に そう言ってくれ

事情を説明できないなら

そう言ってくれよ 野暮なことはしないから


俺が君にお願いしたいことは

ただ一つ

たった一つ

誠実に

それが人間関係ってやつだろ


それとも

誠実になんぞ

できないことことそが

人間なのだと理解しなければならないのか


もしも

俺を見下しているのなら

無下にしているのなら

ぞんざいにしてるのなら

嫌ってるのなら

そう言ってくれ

もっと態度で示せよ

ぜんぶ俺の我儘を理由にして

いつでも関係を断ってやるから


それすらもない

君と俺の関係

そうして結局

俺は君を許してしまうんだ

俺がまだ君を

信じたいからなのか

あるいは




でもやっぱり

何もかもがどうでもよくなって

この関係を断ちたくなる


だからどうか

まだ俺に

信じさせてほしい

俺が好きな 君であると

尊敬できる 君であると

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人間関係 夜猫子 @yoruninetai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ