第2話 私と先輩
魚崎先輩は私より1つ年が上で、私が高校1年生の時に部活内で知り合った。
はっきり言っちゃうと、陰キャラ?っていうのかな?とにかく表には出てこない。アニメとかで言うとモブキャラ?っていうと失礼かもしれないけど。まあ先輩だからこのくらいのことはサラッと流してくれると思う。
そう、基本私の方が先輩より上!私の方が強いのです!
あっ、そうそう、普段の生活。外での私は先輩のことは『先輩』と呼んでいるので。って、そんな事言わなくてもいいか。
とにかく先輩は、見た目も私の友達からすれば『パっとしない』『おろおろしている』『どこがいいの?』『あゆみなんでバレー部の部長振ったのさ。おかしいでしょ』などなどと、はじめのころは散々――いや、ちょっと待って?ちょっと確認――まあ今も――言われていたような――。
それにたまにみんなと会うと言われるね。『さすがに別れた?』『なんであの先輩なの!?』とかね。言われてる。まだまだ言われている(笑)。
あっ、メッセージの方も来ているね。ちゃんと履歴にあったよ。周りの事なんて私気にしないから記憶にすら残ってなかったよー、あははー。
まあ、なんで周りからそんな評価の先輩と私が付き合っているのか?になると。なんと説明すればいいのか。
そりゃ先輩の見た目は――はっきり言ってダサい――いや、そこまで酷くないけど。なんて言えばいいかな?いつも私服は前世は黒猫?とでもいうのか。とにかく黒いのと。やる気がない感じで髪ボサボサだし。いつも隅っこに居るしー。って、隅っこに居るのは関係ない?まあとにかく、物語でいう主人公には絶対ならない人なんだよ。
でもね。そんな先輩と一緒に居ると何故か面白い。楽しい。まったりできる。先輩ああ見えて2人だとめっちゃ優しい。うざいくらい私が甘えても甘やかしてくれるし。私がちょっかい出しても怒らない。
って――私は何を言っているのだろうか?おかしいな。私はそんなバカップルを目指した覚えはないぞ?でも――なんか先輩と居ると、不思議な感じというか。そうだ。先輩が悪い。先輩が私を何かと甘やかせるからおかしくなっちゃったんだ。
ちなみに、初めにちょっかいを出したのは私からである。
部室で黙々と作業――って、ちなみに美術部です。えっ?お前に芸術のセンスがあるように見えない?なんと失礼な。
微塵もないですよ!
いや、私の通っていた学校部活動が強制で――仕方なーーく。目についた部活動へと入ったんですよ。
まあ絵とか嫌いじゃないですし。だから何とかなるかも――そのうち幽霊部員――とかとか思っていたら。先輩を発見。というか。周りに話しやすそうな人が居なかったのと。私が部活動に入ったのが少し遅くて、すでにグループが出来ていたというか。自然と何かを聞くとかそういうのが先輩だったという――まあそんなこんなで詳しいことは割愛するけど、私と先輩は出会ったのですよ。
で、はじめこそ業務連絡?まあ雑談とかないわけだったけど。
あんな先輩――って、言うとさすがに怒られるかもだけど。先輩。めっちゃ絵上手いんだよ。『あんたの頭の中はファンタジーか?えっ?実物でも見てきたの?』と言わんばかりの――それはそれは、空想世界?の絵を描かせれば――っていう先輩なんだよ。
まあ先輩が基本絵を見せるのが恥ずかしいのか。あまり周りに見せないから、知っている人は少ないみたいだけど――。
「――えっと――あゆみ?一緒に暮らさないか?」
あれ?どこからか先輩の声が――って、そうか。忘れてた。
時を戻したはずだったのに、ちょっと浅すぎたかな?
でもまあいいや。
「――同じことを2回も言わなくても聞こえています――って、先輩――熱ありますね。ありますよね。そうですね。先輩今日は早く家に帰りましょう」
こういう時は先輩が狂った。よし看病!という路線に引っ張っていこう。
「いや、そういうことじゃ――」
「いやいやいやいや、こんなはっきり何かを言ってくるのは私の知っている先輩ではありません」
「――そんな事――」
「ありますから!」
「――あゆみ。どうどう」
「私は落ち着いてます先輩がおかしいんです」
「――えっと――その――俺、特におかしくは――」
「そうです。先輩はそんな感じでおろおろ。声がどんどん小さくなっていくのが普通です。って、そもそも先輩がはっきり何かをしようととか言うのは世界が終わるときです」
「……さすがにひどすぎないだろうか?」
「それが私の知っている先輩です」
「……」
私がはっきり言うと先輩は何とも――という表情のまま。でも何故かちょっと楽しそう――って、やはり先輩熱がありますかね?試験期間ではありませんが――先輩何かまた熱中して寝てないんですかね?って、先輩が熱中するのって絵を描くことのような気がしますが――私の相手もちゃんとしてくれますが。でもちょっとすることがなくなると何か描こうとしますからね。
って、とりあえず。先輩を家まで送りましょう。
「先輩。とにかく倒れられても私1人では先輩を運べないので、帰りましょう」
「いや、本当に体調が――ではなくてだな。そのなんというか――」
「いいですから。先輩はい。帰る帰る」
私は先輩の手を引て歩き出します。
先輩の手は――大きくてあたたかい。
特に信じられないくらい手が冷たいということはないですね。
先輩が倒れる可能性は低いですが――まあとにかくおかしいということで、外で変なことになってもなので、よくよく私が居ついている先輩の家へと移動しましょう。
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