第7話

 家についてすぐに祐美にLINEを送った。

 

 「お疲れ様、一曲目からずっと泣いちゃって記憶曖昧だけどカッコよかったし感動したよ」


 そう送ったのと一緒に今日撮った写真を送る。

これ以上ないくらいの笑顔でギターを持つ祐美の姿が、写真を撮った私にも誇らしかった。


 「今日は来てくれてありがとう!泣いてる顔前からばっちり見えてたよ(笑)

 写真もありがとうね!一生大切な写真にするしこの写真見てこれからも頑張るね」


 祐美からのLINEを見て、今日撮った写真は私が今まで撮った写真の中でも特にお気に入りの一枚になった。


 嬉しい気持ちのままに過去の写真を見返す。


 私がカメラを持つようになったのは高校2年生の時で、父が買ってくれたものだった。ずっと欲しかったカメラだったから嬉しくて、どこに行くにも持ち歩いていた。


 それからたくさんの写真を撮った。花や海といった景色も撮ったけど、特に友達の写真を撮ることが多かった。大学生になった時には自分でも気付いていた。


 私は人の写真を撮るのが好きで、写真を喜んでもらえることが幸せなんだな。


 そう思うようになってからは、知らない人のことを撮る機会もつくるようになって、もちろん勝手に撮るわけじゃなくて、撮らせて欲しいとこちらからお願いをして撮らせてもらった。


 写真を見返していると海辺に並ぶ知らない家族の写真で指が止まる。

 私が一番好きな写真。


 友人たちと海に行った際に撮ったもので、海ではしゃぐ友達たちの写真に紛れるようにその一枚はフォルダに入っていた。


 いつも通り私はみんなの写真を撮っていた。

その横でただ浜辺に立って海を眺める女性の姿が気になりその女性をよく見る。するとての中にはまだ2.3歳ほどの子供が抱かれていた。


 何をしてるんだろう、友人と会話を弾ませながらも女性が気になり私は目を離せないでいた。


 とにかくじっと海を見つめていて、その表情は不安げでありながらも、どこか期待しているようなそんな表情で、ただじっと海を見つめていた。


 


 


 

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