百花社長の脱獄計画

あくしす

ep.1 令嬢主催会議

-今夜もあまりにも貧相ですわね…


夕食に添えられたデミグラスソースを舐めながらモモカはため息を一息つく。


「養殖の洋食へ替えていただけませんこと?私の舌に合いませんの。ゲテモノですもの」


「どう見たらハッシュドビーフとポテトが和食に見えんだよ!駄洒落もつまんねえんだよ!最後も韻踏むな!イライラする」


刑務官は曇った窓を覗き込みながらモモカに吠えた。これで何度目だろう。

受刑者もやめてほしそうに目でモモカに訴える。


受刑者が集まる大部屋では密やかに会議が行われていた。

「モモカさんって強いよねぇ」

「社長令嬢だってのになにしたらここへ来るのかな?」


「窃盗集団にいたの」

モモカに聞こえていたらしい。

見かけによらずモモカは月500万稼ぐ窃盗集団のボスだった。


「お前らさ、ずっと此処に居て楽しいんですの?たとえば"脱獄"とか…ふふ、無理よねあなたたちじゃ、ね」


そっと拳銃を集団の輪の中に置くモモカ。

集団はゾッとした。

老中は急いでその恐ろしい武器を隠した。


「どういうことなんだ?モモカ?!」


「げんのすけさんは撃つの上手いよねぇ」


老中の名はげんのすけ。


「お嬢ちゃん、どういうことだい?」


「風邪を引いた刑務官いたでしょ?

あれ、風邪なんかじゃないのよ。

来れなくなったのよ。

拳銃を無くしてしまったのがバレるのが怖くてね…」


拳銃には弾も既に充填してあり、げんのすけは息を呑んだ。


続く

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