第37話 空の旅

 「憂鬱だ…」


 俺は今、ワイバーンに乗って死地(聖国スピカ)に向かっている。


 ※ワイバーンは亜竜と言われる存在であり、龍とは似て非なるものだ。ワイバーンを龍として扱うと龍に激怒され、殺されてもおかしくないほどそこのラインは厳しい。ワイバーンは魔大国カストルでは移動するのに使われている。(馬みたいな扱い。)


 「そんな顔してないでシャキッとしなさいよ。」


 レインは俺の顔色を見てげきを入れる。


 「そんなこと言ったって…」

 

 それでも全く気持ちが晴れない。


 いくらレインとダーラがいるとは言え、敵国のど真ん中に行くのだ。何があっても不思議じゃない。


 「それにしても立派なワイバーンだな。」


 気を紛らわせるためにワイバーンを見る。なんか明らかに他のワイバーンと比べた風格が違う。


 俺が前見たやつは全身が灰色で温厚そうな顔つきで飼い慣らされている感じがあったがこのワイバーンは全身が真っ黒ですごく野生味溢れた顔をしている。


 それに何と言っても大きいのだ。通常の3倍は軽くあるんではなかろうか?


 一瞬、これ龍ではと言おうとしてしまったのは秘密だ。

(言いかけて青ざめた。)


 「このワイバーンは戦闘用で魔王城にいた中でも特に能力の高い個体ですからね。

魔王様が、聖国に圧をかけられるように準備してくださいました。」


 ダーラがこのワイバーンについて説明する。


 魔王様は一体どうしたいんだろうか?


 戦争でも始めるんですか?


 「聖国に着いた途端に攻撃されるとかないよね…(青い顔)」


 嫌な予感が頭をよぎる。


 頼む、2人とも否定してくれ‼️


 「されるかもしれませんね。」とダーラ


 「されても私たちならどうってことないでしょ。」とレイン


 ノォーー⁉️


 待って、俺死んじゃう。


 お前たちみたいな化け物と一緒にしないでくれませんか⁉️


 「帰りたい…(切実)」


 無情にもワイバーンは止まらない。

(涙目)

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《聖国スピカ》


 「勇者召喚の儀式はいつ始めるんだ?」


 王は魔大国の使者が既に向かってきていることに危機感を感じながら教皇に聞く。


 「勇者召喚にはもう少しだけ時間がかかります。

しかし勇者を呼んでしまえばこちらのものです。

ご安心してください。」


 教皇は王を安心させるように言う。


 「それならいいが…」


 王は呼び出す勇者に期待をするのであった。

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《城の離れにある塔》


 普段は静かな塔が今日は少し騒がしかった。


 「おい、ここから出ろ。」


 フローリア教の信者であろうものがきて聖女を部屋から連れ出す。


 「私をここから出すなんて、何するつもり?」


 アリスは疑問に思いながら聞くとその信者は狂気的な笑みを浮かべて言う。


 「喜べ、お前みたいな出来損ないが我らの役に立てるぞ。」


 ゾワァ、


 アリスは嫌な予感が全身をよぎった。


 


 


 

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