第14話 次の獲物

 


 ようやくホームから出たホタルは、経験値稼ぎのために獲物を探していく…………





 岩陰に隠れながらだが。






 気配を薄くー

 自分はただの石ころー

 関わるには値しないちっぽけの石ころにー


 《スキルの経験値が貯まり、『気配操作Lv3』にレベルアップ致しました》


 よし。

 さらに気配が希薄になるぞーー


 コソコソと岩陰に隠れながら進んでいく。まだ魔物には出会ってはいないが、ララット以外の魔物が現れたら判断するつもりだ。

 戦うか、逃げるのどちらかだ。ララットなら戦うが、単独ではなかったら逃げの一手と決めている。


 群れからはぐれたララットがいれば、いいんだけどなー

 まぁ、そう簡単に見つかるわけがないか。


 ホームへの道がわからなくならないように、分かれ道は全て一番右のを選んでる。

 魔物が少ないなーと思った時、アイツが出た。


 前の世界では世界一、嫌われ者と有名な黒光りのアレだ。

 主に台所を住処に好む、恐竜がいた時代から生き残ってきたアレだ…………




 ぶぶぅー!?

 Gがデカイ!!

 きもぉぉぉぉぉっ!!




 さらに、その大きさは前の世界とは比べにもならない程にデカかった。大体一メートルはあって、ホタルよりも大きい。

 一応、解析を使ってみたら…………


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 ギガゴキーボン

 Lv1


 HP:8/8

 MP:1/1


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 えっ!? レベルとHP、MPが見える!?

 ララットの時は、名前しか見れなかったのに…………あ、もしかして、自分の種族より弱いから?

 それで、解析出来る範囲で見れたとか?


 その考えが正しければ、自分より強い魔物は名前さえもわからない可能性もある。それは試してみる価値はあると思いつつ、ギガゴキーボンと微妙に現地キャラに似た可愛らしい名前をしたGへ近付いていく。


 え、何をしているかって?

 倒すに決まっているだろ!!

 HPが8しかないなら、やれる可能性もあるし、最低でも8発は必要だと言われても、雷牙や雷砲があれば充分だと思う。

 さて……殺(と)るか


 ギガゴキーボンは単独で行動しており、周りには誰もいないのを確認して、岩陰から飛び出した。


 雷牙!

 痺れやがれーーーー



 バクッ!!



 HPが4減った。……半分も減った!?

 あと一回、噛み付けばHPは無くなーーーーなっ!?


 解析を発動しながら噛み付いていたので、ギガゴキーボンのHPは見えたままで…………


 さっきまでは4だったのに、今は5…………6と回復していくのではないか!?

 雷牙によって麻痺っているが、HPは回復しきっていた。


 くっ!

 Gだけあって、生命力が高いな!?

 3秒に1は回復しているなら、素早く次を攻撃すればいい!!


 麻痺っている間に、二回噛み付くことで、回復される前にHPを0にしたのだった。


 よし!!

 …………むぅ、これだけじゃレベルアップはしないか。まぁ、自分やララットよりも弱い魔物みたいだし、仕方がないか。




 …………で、食べるのか?

 うぅむ、虫をか…………しかも、Gを…………


 身体はロボットだから、病気のことは気にしなくても、前の記憶が嫌悪感を感じてしまう。

 しかし、そのまま捨てるには勿体無い。もし、魔物が現れずに食料を調達出来なくなったら困る。

 雷牙や雷砲を使うには、煉気が必要なのだから。煉気は休めば回復するかわからないし、ララット達を食べた時は煉気が回復したような気がしたから、食べた方がいいに決まっている。




 う、まず脚を食べてみるか。不味かったら捨てよう。うん、そうしよう!!


 ホタルは美味かったら食べる、不味かったら食べないとルールを決めてから、Gの脚を食べてみるーーーー





 え? …………甘い。

 えーーーー!! 甘いとか、どうなってんだ!?


 ギガゴキーボンの脚から飴みたいな甘さが口に広がったのだ。再び、別の場所を千切って食べてみたら変わらずに甘いままだった。


 うん、Gの形をした黒飴だと思えば、問題なしだな!!

 甘い、あま~い


 周りを警戒するの忘れて、甘い生き物を食べていくホタルであった…………









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