花の女子高生、駅構内で失禁する。

梵ぽんず

忘れられない黒歴史

 私は尿意を我慢していた。誰かに腹部を押されてしまえば、Twitterでよく見かける水を吐くフグのように勢い良く尿が放出されてしまうだろう。ここが満員電車じゃなくて本当に良かった。


 私は尿意に耐えていた。数分しか経っていないのに、何故か膀胱がパンパンになり始めていた。外の景色を眺めて気を紛らわし、じわじわと溜まっていく尿意に耐えていた。


 私の膀胱は限界を迎えそうになっていた。電車が軽く左右に揺れただけなのに、私の膀胱はフライングパイレーツに乗っているかの如く、激しく揺さぶられているような感覚がした。


 私の膀胱はピークを迎えていた。途中下車した私は急いでトイレを求めて探し回った。季節は冬に入っているのに汗が噴き出てくる。力を緩めれば確実に漏らしてしまうだろう。腹痛とは違う焦りが私を襲っていた。


 私は失禁寸前だった。駅のトイレは改装工事中。駅の外にあるトイレも改装工事中。立ち飲み屋が使っているトイレも満員で入れない。なんだこれは、本当に運が悪すぎる。私は生まれて初めて、立ちションができる男の人が羨ましいと心底思った。


 私は一歩も動けなかった。人は限界を超えてしまうと、一歩も歩く事ができないと十八歳で初めて経験した。地下通路の端っこで蹲っている私の足元には、大きな水溜りができていた。幸いな事に周りに人はいなかった。


 私は駅のホームで放心していた。花の女子高生が、駅構内で盛大に漏らしてしまった事を恥じていた。電車の中はガラガラに空いていたが、下着が濡れて座れなかった。


 私は電車を降りた。漏らしてしまった駅から一緒に乗った人と目が合い、何故か軽く会釈されて去っていった。もしかして、漏らした所を見られてしまったのだろうか。

 

 私は何事もなかったかのように家に帰った。濡れた靴下と下着を脱ぎ、風呂場へ持ち込んで丁寧に洗う。脱衣所を覗き込んできた母親には、水溜りの近くで転けたから靴下を洗っている最中なのだと嘘をついた。

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花の女子高生、駅構内で失禁する。 梵ぽんず @r-mugiboshi

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