四章 医者宿の夜

 門扉を閉めようとしていたのは、中年の男だった。ひょろりとしていて、ひげもじゃで、ぼさぼさの白髪しらがじりのかみをしていた。しかしその顔つきには、知性が感じられる。

「待って、待ってください! お願い!」

 けてくるアンたちの馬車を認めると、扉を半開きにした状態で、男は待ってくれた。

 門前まで来るとアンは馬車を止め、ぎよしやだいを降りた。

 焦ってはいたが、ちゃんと頭を下げることは忘れなかった。

「こんなに暗くなってから、ごめんなさい。ここに住んでいらっしゃる、お医者様ですか?」

 くと、男はうなずいた。

「そうだよ」

「わたしたち、今夜この先の宿しゆくさいまろうと思っていた、旅の者なんです。けれどこうカラスのしゆうげきにあって、時間をとられてしまって。とても宿砦まで、たどり着けないんです。お願いです、今夜一晩泊めてください」

 医者宿と呼ばれていても、結局、医者個人の家だ。医者がいやだと言えば、旅人は泊まることが出来ない。

 できるだけちゃんと、相手に自分たちのことを理解してもらえるように努めた。

 医者は、うすやみをすかすようにしてアンの馬車に目を向ける。

「確かに。荒野カラスに襲撃されたようだね。馬車のがいへき、たくさんつつかれたあとがある。よく無事にげおおせたね」

「彼がいてくれたので。戦士妖精なんです」

 アンは、御者台に座るシャルをふり返った。

 医者もつられてシャルの方を見て、ほうっと声をあげた。

「綺麗な妖精だ。これほどの妖精、なかなかお目にかかれないねぇ。これ戦士妖精? あいがん妖精じゃなくて?」

 医者はふらふらっと御者台に歩み寄ると、シャルを見あげた。しばらくシャルに見とれているようにぽうっとして、動かなくなる。

 辺りがすっかり暗くなっていたし、おおかみとおえが聞こえた。

 アンはしびれを切らしそうになったが、ぐっとこらえていた。しかし。

「妖精がめずらしいか? もじゃもじゃ」

 シャルが、うんざりしたように言ってしまった。

 アンはそうはくになり、悲鳴をあげそうになる。

 ──ひゃぁぁあ──!! シャルぅぅ──! なんてことをっっ──!!

 どっと冷やあせが吹き出す。

 確かに。この医者の髪の毛も髭も、この上なく、もじゃもじゃだ。正しく、もじゃもじゃだ。

 しかしおこらせたら、とんでもないことになる。

 医者は夢から覚めたように、目をしばたたいた。そして照れたように笑うと、アンに向きなおった。

「や、失礼失礼。こんな場所に住んでいると、綺麗なものは珍しくてね。それにしても、大変な目にあったようだ。どうぞ、泊まっていきなさい。お代は一人、六十バイン。それでよければ、二台とも馬車を塀の中にいれていいよ」

「あ、ありがとうございます!」

 アンは冷や汗をき拭き、ほっとして、深く頭を下げた。

 塀の中に馬車を入れると、そこにはすでにもう一台、先客の馬車が入れられていた。

 先客の馬車は、りが上等なのが一目でわかった。古びてはいたが、じゆうこうな造りだ。

 その馬車と自分の馬車を並べたジョナスは、アンのそばに来ると、小さな声で訊いた。

「見てよ、アン。この馬車、格式が高いよね。先客は身分のある人なのかな? そうだったら、きんちようする」

「おぎよう良くしないといけないかもね。特にシャルには、口をつつしんでもらいたいけど……」

 家の戸口に向かいながら、アンは、となりを歩くシャルを厳しい顔で見あげた。

「シャル。さっきは、心臓が止まるかと思ったわよ。もじゃもじゃなんて言って」

 するとぴょんぴょんと、アンについて来ていたミスリルが、非難の声をあげる。

「そうだそうだ。あいつは、『もじゃもじゃ』よりも、『ひょろひょろ』と呼ぶべきだ!」

「そうよそうよ。『もじゃもじゃ』より『ひょろひょろ』!……って、ちが──う!!」

 アンは二人のようせいに向かってった。

「『もじゃもじゃ』も『ひょろひょろ』も、良くないってばっ! 怒らせたら、どうするの。たたき出されるわよ!」

 するとシャルが、平然と言う。

「あんなことで、怒るような人間じゃない。見ればわかる。妖精市場で、散々いろんな人間に悪態をついたから、自信がある」

「そんな変な自信、いらないから! とにかくお願い。悪態つくのはやめて」

「長年のくせだから、やめる自信はない」

 きっぱり言われると、もう仕方ないとアンはかたを落とした。

 シャルが何かを言ってだれかを怒らせたら、アンが全力で頭をさげて、謝るしかなさそうだ。

 扉を開き、家の中にみこんだ。

 扉を入ると、しきりのない広い部屋になっていた。

 一方のかべぎわに薬だなと、りよう用らしき木製のベッドが置かれていた。逆の壁際には、素材もデザインもばらばらのテーブルセットが三つ置かれている。しんりよう室と食堂をねているようだ。

 先客の姿は見えなかった。割り当てられた部屋で、休んでいるのかもしれない。

 医者はアンたちを、奥にある扉に導いた。

 扉の向こうは、扉と垂直になったろうだった。廊下の一方のはしには、台所らしき部屋。もう一方は、浴室らしき部屋だ。

 廊下の左右には扉が三つずつ並んでいて、それらが客室に当てられている部屋らしい。

 アンとジョナスは、一部屋ずつを割り当てられた。

 アンの割り当てられた部屋には、ベッドが二つ。小さな窓に、清潔なカーテンがかけられていた。簡素ではあったが、心地ごこちが良さそうだった。

「荷物を置いて少し休んだら、食堂においで。簡単なスープなら、出してあげられるから」

 医者はそう告げると、食堂へ帰って行った。

 もとより、置くほどの荷物も持ち合わせていない。それよりもアンのおなかは、ぐうぐう鳴っていた。ジョナスも同様らしく、アンの部屋にやってきて空腹をうつたえた。

 アンたちはいくらもしないうちに、のこのこと食堂に顔を出した。

 食堂では、医者がテーブルの一つにおおなべを置き、とうの皿にスープをよそっていた。

 医者がスープを準備しているのとは別のテーブルに、二人の青年が座っている。

 ジョナスが、アンにささやく。

「あれが、先客だよね。それほど、たいした身なりじゃないけど」

 二人の青年は向かい合わせで、カード遊びをしている。

 一人は背の高い、がっちりとしたたいの青年。おさまりの悪そうな茶色の髪を、ぞんざいに整えている。身につけているシャツもズボンもうわも、ではないが、仕立ては良さそうだ。しかし、仕立ての良い衣服にも包みかくせない野性味のようなものが、茶のひとみにちらちらと見える。

 もう一人は、変わったふうぼうの青年だった。引きしまった筋肉質の体に、かつしよくはだ。真っ白な髪の毛。灰色がかった瞳。しなやかな、ねこ科のもうじゆうを思わせる。おそらく大陸にある王国からやってきたのだろう。かわせいのズボンとベストを身につけており、かたわらに、ゆるやかなえがけんを置いている。

 おしのびの身分ある人物。そしてその護衛。そんなところだろうと、アンは推測した。

「おや、来たね。こちらにおいでよ、スープが準備できた」

 医者がアンたちに気がつき、声をかけた。

 その声に二人の青年が、アンたちが顔をのぞかせているとびらに視線を向ける。

「こちらに座りなさい。味はどうか知らないが、量はあるよ。たくさん食べていいから」

「ありがとうございます」

 アンはあい良く返事すると、みんなで食堂に入った。

 医者が大鍋を置いたテーブルに、アンとジョナスが座った。そこでアンは、シャルとミスリル、それにキャシーが、テーブルからはなれようとしているのに気がついた。

「どうしたの、三人とも。はやく座らないと」

 アンが呼び止めた。すると、医者と先客の青年たちが、おどろいたようにアンを見た。

「え? なに」

 その視線にたじろいだアンに、ジョナスが囁く。

「アン。妖精と食事をいつしよにするなんて、つうしないだろう!?」

「わたしは、するけど」

「普通は、しないんだよ! ここは医者宿とはいえ、宿屋だろう? おおやけの場でそんなこと言ったら、常識知らずだと思われるよ」

 その言葉に、自分がいわゆる『常識』から外れたことをしたのだと理解した。

 しかし同時に、腹が立ってきた。そこまで妖精たちをおとしめて、いったい何が楽しいのか。

「そんな常識なら、知らなくていい。わたしは知らない。だから、シャルたちと食事したい」

 アンは医者の顔を見た。

「わたしたち、旅の間一緒に食事してきました。一緒に食事したいんです。もしなら、わたしも食事しませんから」

「そうだねぇ。わたしは気にしないほうなんだが、ほら、君。今は別のお客も……」

 歯切れの悪い医者の声をかき消すように、とつじよ、大きな笑い声がひびいた。

「かまわないさ!! 俺も気にしないぜ!」

 それは先客の一人、茶のかみをした青年だった。笑いながら、大きなてのひらをアンに向かってふってみせた。

「よお。おじようちゃん。あんた、名前は」

「アンです。アン・ハルフォード」

「俺は、ヒューだ。えんりよはいらないぜ、アン。妖精たちを席に呼んでやれよ」

「ありがとう」

 くだけた態度と陽気ながおに、その場のふんがなごむ。

 どうしたものかとまどっていた様子の妖精たちを、アンは自分のテーブルに招いた。

 アンたちがスープを食べ始めると、ヒューと名乗った青年は、遊んでいたカードを手元にまとめてしまった。そしてとなりのテーブルから身を乗り出して、アンに話しかけてきた。

「おまえら、どこから来たんだ。こんなかいどうを通って、どこへなにしに行こうってんだ」

「彼、ジョナスはノックスベリー村。わたしは、生まれてから定住したことがないから、どこから来たとは言えないけど。わたしたち、ルイストンへ行くの」

 そこでジョナスが、ちょっとるように胸を張った。

「僕たちはルイストンでかいさいされる、砂糖品評会に参加するつもりなんだよ。僕も彼女も、砂糖菓子職人なんだ」

「へぇ! おまえたち、砂糖菓子職人か。けど、普通の砂糖菓子職人にしては、ぜいたくしているな。労働妖精二人に、あいがん妖精か」

 ヒューはにやにやしながら、立ちあがった。シャルのわきに立つと、じっくりと顔を覗きこむ。

「ふぅ~ん。こりゃ、高かったろう。こいつは、だれ使えきしている愛玩妖精だ」

 シャルはスープの皿に手をえて、静かに食事していた。いつしゆんだけ、するどい目でちらりとヒューを見たが、ありがたいことに何も言わなかった。

「シャルは、わたしが買ったの。でも愛玩妖精じゃないわ。戦士妖精よ。護衛なの」

「戦士妖精? うそをつけ。ずかしがらなくてもいいさ。としごろの女の子なら、こんな姿の妖精、連れ歩きたくなって当然だ。アンはこの妖精に、れたのか? だから買ったのか」

 からかわれていると、わかっていた。だが恥ずかしさに、かっとなった。

「そんなんじゃないわ」

「照れない照れない。そんな噓つかなくても、わかってるって」

「噓じゃない!」

 思わず声が高くなる。ヒューはおもしろそうな顔で、目を光らせた。

「じゃ、証明してみるか?」

 ヒューは連れの青年を、ちらりと見やった。そして一歩下がる。

 今まで存在が消えたようにちんもくしていた青年が、ヒューの目配せに反応した。

 青年は突如、傍らの剣をつかむなりきはなち、った。りようけんが身を低くして、けだす様に似ていた。やいばが、シャルに向かって流れる。

「シャル!」

 悲鳴をあげるアンよりはやく、シャルは立ちあがり背後にんだ。

 二回目のざんげきがシャルにおそいかかる前に、シャルの手には白銀色の剣が出現していた。

 ちからいつぱいふりおろされた剣を、シャルの剣が受け止めた。

 刃がぶつかり、しようげきが波動となって空気をき抜ける。

「やるな」

 褐色の肌の青年が、無表情でつぶやく。

 シャルは口もとで笑い、相手に向かって囁く。

「殺されたいのか?」

「あいにく。そこまでこわれてない」

 きりきりと、刃がこすれあう音が響く。力がきつこうし、そうほう動けない。

「なるほど。確かに、戦士ようせい

 ヒューは驚いたように言うと、にこりと笑った。

「もういい、サリム。剣をひけ」

 命じられ、サリムと呼ばれた彼は、あっさりと剣を引いた。

 シャルもかたをすくめ、かまえをとくと剣を消す。

「なんてことするのよ、この、おお鹿!! わたしの連れにでもさせたら、ただじゃおかないんだから!」

 我に返ったアンは思わず立ちあがり、ヒューのむなぐらを摑んでいた。

りー悪りー。そうおこるなって。こ~んなべっぴんの戦士妖精なんて、信じられなくてな~。ためしてみたくなったんだよ」

 まったく悪びれたところもなく、ヒューは言う。

「だからって、こんなことする!?」

「いやぁ、だから謝るって。おびに、おまえたちの分の宿代、出してやるよ」

「そんなしっ! て、……え、宿代?……本当?」

 相手の胸ぐらを摑んでいた手が、思わずゆるむ。

 この半年、エマのりよう費がかなり必要だった。しかもアンがかせぎ出す金額は、たかが知れていた。貯金を切りくずして、半年暮らした。そしてその残りのなけなしの金で、シャルを買った。

 ここの宿代をはらってしまえば、アンはほぼ一文無しになる。

 ヒューの申し出は、とてつもなくありがたかった。

「一、二、三……と、五人分で、六十バインかける五で、三クレスか。わりとかかるな。お詫びにしては、高額だよなぁ」

「なにそれ、自分で言い出したんじゃない!?」

「そうだがな。ちょっと、俺の方が損な気がする。そうだ、おまえら砂糖菓子職人だと言ったよな。一個ずつ、砂糖菓子を作ってくれよ。それで俺が、五人分の宿代をはらってやる」

「はぁ!?」

「掌の大きさでいい。それくらいの砂糖菓子なら、せいぜい二つで、十バインだろう。十バインで、三クレスがちゃらになるぜ。悪くないだろう」

 いいように、ヒューにもてあそばれているような気がした。

 しかし宿代がかからないというのは、りよく的だ。

 アンはジョナスをふり返った。ジョナスは、うなずいた。

「僕に異存はないよ、アン」

 なぜかジョナスは、うれしそうだった。

 アンはヒューに向きなおると、むっとしながらも、言った。

「わかったわ。砂糖菓子は作る。そのかわり、絶対に宿代は支払ってよ」

「なんなら、ひざまずいてちかってやろうか」

「いらないわよ、そんな噓くさい誓い。じゃ、待ってて。食事を済ませて、作るから」

 食事が終わると、アンはジョナスといつしよに、銀砂糖をとりに自分の馬車に向かった。

 馬車の荷台の中には、かべの一方に寄せるようにして、銀砂糖をめこんだたるが並んでいる。

 樽は五つ。

 一つはから。もう一つは、三分の二ほど銀砂糖が入っている。残り三つは、ふちまでぎっしりと銀砂糖が詰まっている。

 ルイストンの砂糖菓子品評会に参加する者は、祝祭用の砂糖菓子の作品を一つ提出する。

 それと同時に、三樽の銀砂糖も提出する必要がある。

 細工がうまいだけでなく、上質な銀砂糖を安定して精製できる技術も問われるからだ。

 砂糖りんから銀砂糖を精製するのは、十歳の時からアンの仕事だった。

「樽三つは使えないから、三分の二樽で品評会用の作品をつくるとしても。量は、じゆうぶんね。掌の大きさの砂糖菓子を十個作っても、その残りで品評会用の作品は、ゆうで作れる」

 呟きながら、樽のふたを開ける。

 石のうつわに銀砂糖を入れて、いつぱいをジョナスにわたす。もう一杯を別の器にくみ上げて、馬車を出る。

「なんだか、わくわくするな」

 家に向かいながら嬉しそうに言うジョナスを、アンはいぶかしんだ。

「なんで? なんかあいつに、からかわれてる気がする」

「それでもさ、人前で自分の技術をろうするなんて、ほこらしいじゃないか」

「そうかな」

「そうだよ。僕は自分の技術に自信がある。実は、ここだけの話。僕がラドクリフこうぼう派のおさすいせんされる可能性は、とても高いんだよ。僕の作品を見てね、現在のラドクリフ工房派の長……僕のとおえんにあたる人なんだけど。その人が、僕を気に入ってくれてるみたいなんだ。もちろん長になるためには、銀砂糖師にならなくちゃいけないけど」

 砂糖菓子職人には、大きな三つのばつがあった。

 マーキュリー工房派。

 ペイジ工房派。

 そして、ラドクリフ工房派だ。

 砂糖菓子職人は、どれかの派閥に所属していなければ、原料となる砂糖林檎の確保や、作った砂糖菓子を売りさばくのに、ぼうがいを受けなんする。

 だからたいがいの砂糖菓子職人は、どこかの派閥に所属しているものだ。

 無論、各派閥は様々にきそい合っているから、争いもある。

 アンの母親のエマは、派閥に所属していなかった。派閥のやり方が気に入らないと言って、苦労しながら砂糖林檎を確保し、砂糖を売りさばいていた。

 ジョナスが誇らしげに語るのを聞くにつけ、彼には、アンとまったくちがう価値観と世界があるのだと感じる。

 ただ。銀砂糖師になりたいという、その希望だけは同じらしい。

「じゃ、ジョナスも銀砂糖師になりたいのよね。今回の砂糖菓子品評会に、参加したら?」

「いや。僕は……去年とその前、二回参加して、まだ銀砂糖師になれてないから。今年は見送り。もう少しうでみがいて、参加は来年にするよ。でも将来的には、銀砂糖師には絶対ならなくちゃ。そうしないと、ラドクリフ工房派の長にはなれない。銀砂糖しやくにもなれない」

 銀砂糖子爵の言葉を聞いて、アンは目を丸くする。

「ジョナス。そんなものになりたいの?」

 銀砂糖子爵。

 それは銀砂糖師の中から一人だけ王に選ばれる、王家専属の銀砂糖師のことだ。

 選ばれた銀砂糖師には、一代限りではあるが、子爵のしようごうあたえられる。

 銀砂糖子爵の命令には、各砂糖菓子ばつは従わなければならない。命令に従わないことは、王命に従わないことと見なされる。

 銀砂糖子爵は、砂糖菓子職人の頂点だ。

「なりたいよ。というか、僕は絶対に銀砂糖子爵になるよ。だってしよみんの出でも貴族になれるなんて、これ以上のてきな夢、ないだろう? だから、アン」

 ふと、ジョナスが歩みを止めた。つられて、アンも立ち止まる。

「僕とけつこんしてくれない? 僕は銀砂糖師になって、銀砂糖子爵になって。君に、幸せな生活を約束するから」

 月が、雲間から顔を出した。ジョナスの顔がはっきり見える。

 嬉しい言葉のはずだった。しかし目の前の彼と幸せな生活をすると考えても、どうもぴんと来なかった。

 整ったジョナスの顔を見て、言葉を聞いても、心はざわめかない。

 ──ジョナスよりも……。

 とつぜんのうかんだのはシャルの姿。シャルの顔を思い出した自分に、我ながらあわてた。

「ごめん。ジョナス。とにかく今は、その話はよそう」

 急いで家の中にはいると、ヒューがテーブルに座って待っていた。彼の対面には、が並べられて二きやく

 妖精たちやサリム、医者は、観客のようにその周囲に集まっている。

「さ、二人とも。椅子に座ってくれ。俺の目の前で、作ってみせてくれ」

 テーブルの上には水を入れた容器が、深いものと浅いもの、二つずつ。台所から調達してきたらしい、まな板が二枚。

 そろえられたものをみて、アンはまゆをひそめながら椅子に座った。

「色をつける必要はない。作る形も、二人に任せる」

「その前に、いていい?」

 アンはヒューの顔を真正面から見つめた。

「なんだ」

「あなた、何者? この道具のそろえかた、砂糖菓子を作る工程を知っていなきゃ、できないでしょう。あなたも、もしかして砂糖菓子職人? 砂糖菓子品評会に参加するの?」

 にやりと、ヒューは口もとをゆがめた。

「宿代はらって欲しいなら、だまって作れよ。アン」

「……ま、いいわ。宿代払ってくれるなら」

 テーブルに置かれていた水を、銀砂糖を入れた石の器に注いだ。

 ジョナスも、同様に始めた。

 銀砂糖に冷水を加え、練る。すると銀砂糖はやわらかいねんのようになる。

 つうはそれに色粉を混ぜて、様々な色を作る。それらを組み合わせて、色とりどりのはなやかな砂糖菓子を作るのが普通だ。しかし今回は、色はつくらない。

 粘土のようになったものを、まな板に移し練る。

 形を作る道具類が準備されていないので、指先のみで作るしかない。

 銀砂糖は熱にけやすい。あつかう時は手を水で冷やしながら、手早く。

 テーブルに用意された冷水で、指を冷やす。

 砂糖菓子職人の手の動きは、手品師の手つきに似ているといわれる。やさしくなめらかに動く。

 ──なにを作ろうか。

 アンは銀砂糖を練りながら、思いをめぐらした。

 ──ママだったら、なにを作るかな。

 エマならばおそらく、白い色を生かして、白いものを作る。

 エマは植物が好きだったから、白い花を作ろう。

 そう決めて、エマがしばしば作っていた花の形を心に思い浮かべる。

 花びらの形を指先からひねり出し、いくつも作る。それらを重ねて、花を作っていく。

 ジョナスは、てのひらねこをつくっていた。ゆうな長い尻尾しつぽで曲線美をつくり、技術を見せつけようとしているようだった。

 ヒューは、しんけんな表情で二人の指先を見つめていた。

 キャシーが、ジョナスの指先で作られるものを見て、つぶやいている。

「ジョナス様の作るものって、本当に、すてき……」

 時間は、たいしてかからなかった。

 二人が手を止め、顔をあげたのは同時だった。

「できたか? 二人とも」

 ヒューが訊くと、ジョナスは自信たっぷりにうなずき、まな板の上を指さした。

「できたよ」

「わたしもできた」

 アンも、作ったものをまな板の上に置いた。

 二人の作品が載ったまな板を、ヒューは自分の前に引き寄せた。

 こうにしばらく見ていたが、ふふふと軽く笑った。

「二人とも、かなり腕がいい。け出しの職人、って感じじゃあないな」

 アンとジョナス、二人は顔を見合わせて微笑ほほえんだ。

 しかし。次のしゆんかん。ヒューは左右の掌で、二つの作品を同時にたたつぶしていた。

「あっ!」

「なにするんだ!」

 アンとジョナスが声をあげた。

 ヒューは厳しい表情で、二人を見すえる。

「見苦しいからこわした。ジョナス。おまえ、器用だな。だけどな、それだけだ。小器用なだけで、その技術を見せびらかしたいだけで終わって、なんのふうもない。アンはジョナスよりは、ましだったな。でもあれは、なんだ? まるでだれかの作ったものを、そっくり真似まねして作ったみたいだな。さるまねだ。れいなだけで、なんのりよくもない。そんなもの食わされても、幸運もこなけりゃ、ようせい寿じゆみようも延びないだろうよ。こんなんじゃあ二人とも、銀砂糖師になるなんて、夢のまた夢だな」

 こうしようとしていた二人とも、声が出なくなった。

 アンはどこか、図星を指されたような気がした。自分でも意識せずに感じている、自分の砂糖菓子に対する、引け目のようなものを的確に言い当てられた。

 ジョナスも同様なのだろう。表情がこわばっている。

「ま、この砂糖菓子のかけらは、もらっとく。明日の、俺のおやつだ」

 ヒューは手近なうつわに、ばらばらになった砂糖菓子を入れると、立ちあがった。

「さぁて、るかな。明日は朝早いし。来い、サリム。じゃあな、アン。ジョナス。いいひまつぶしができて、おもしろかったぜ」

 サリムをともない、ヒューは部屋を出ていった。

 医者は、ぜんとしていた。

 動けないジョナスに、キャシーが駆け寄ってきた。そして金切り声でさけぶ。

「なにがしたかったのよ、あの男は!?」

 さらにテーブルに飛びあがると、ジョナスの手をでる。

「ジョナス様。お気になさることありません。あんなおかしな、得体の知れない男の言うことなんか、真に受けちゃだめですよ」

「そう、かな?」

 ジョナスはしようして、アンをちらりと見た。

「ごめん、アン。僕、……部屋に帰るよ」

 アンは、ぱっと顔をあげた。

「わたしも……帰るから!」

 叫ぶなり、アンは自分の部屋に向かって駆けだした。

 くやしくて。そして自分が、しようずかしかった。


    ◆ ◇ ◆


「おまえ、シャル・フェン・シャル! 部屋に帰る気かよ!?」

 アンが駆け去ったのを見送ると、シャルはためいきをついた。そして自分も部屋に帰るために、ゆっくりと歩き出そうとした。その背中に、ミスリルがぎようてんしたように声をかけてきた。

 ふり返り、こたえた。

「帰る」

「やめとけって」

「帰ってなにが悪い」

「あんなこと言われて、アンはめちゃくちゃ傷ついて、泣いてるかもしれないぞ? へたしたら、暴れてるかも!? そんなところにのこのこ顔見せたら、きらわれるぞ」

「別に、かまわない」

「お、俺はいやだ。俺は今夜、この食堂で寝るぞ」

「好きにしろ」

 部屋に帰りながら、シャルは、ヒューの評価は正しいと感じていた。

 アンのつくったものを見て、シャルも同じように感じたからだ。

 そしておそらく、アン自身も。だから傷ついたのだろう。

 とびらを開けると、部屋の中は真っ暗だった。

 アンはベッドにもぐりこんで、毛布を頭からかぶって丸まっていた。

 シャルはアンのとなりのベッドにこしを下ろすと、丸まっている毛布をみつめた。

 まるで、みのむし

 ──リズ。

 その様子を見つめていると、ふと、思い出す。

 ──リズも、小さなころ……。すねて泣いて、よく毛布にくるまって丸まっていた。あれは、いくつの時だった? 九つか、とおか。それを過ぎると、そんなことしなくなった。

 改めて、目の前の蓑虫を見る。

 ──こいつは、十五歳!?

 アンは十五歳になっても、まだこんな幼さを残している。それが残っているのは、彼女の今までの十五年が、母親に守られて幸せだったからだろう。

 そう思うと、暖かいともしの残りを、見つけたような気分になる。

 大人だ成人だとわめいているアンが、十歳前後の子供と同じようなことをしている姿は、なんだか微笑ましい。くすくす、笑いだしてしまった。

 たんにアンが、身を起こした。

「なにがおかしいの!? 人が落ちこんでるのが、そんなに面白い!?」

 その目は真っ赤で、なみだがぎりぎりまでひとみの表面に盛りあがっていた。窓から射しこんでくる月光に、きらきら光る。涙を流すまいと、がんっているらしい。

 涙をまんして、くちびるんでうるうるしている顔が、またさらに子供っぽい。

 まずいと思ったが、ぷっときだしていた。あわてて、片手で口を押さえた。

「なによ! 人の顔見て、笑うわけ!? どうせ、わたしみたいなかかしは、みっともないだけよ。わたしが悲しみにくれて泣いていたって、その顔が面白いって。シャルみたいな綺麗な顔した人たちに、一生、あざ笑われるんだわ!」

 アンは叫んで、がばっと、顔をまくらに押しつけた。

 傷ついて大混乱しているらしいアンには申し訳なかったが、シャルの気分は、なぜかとてもおだやかだった。

 忘れていたなにかを、思い出せそうだった。

 シャルは立ちあがると、アンがしているベッドに腰かけた。

 ──そうだった。初めて会った頃のリズは、こんなかみの色だった。忘れていた。

 無意識に、シーツの上に広がったアンの髪をひとふさ、手に取っていた。

「一生、笑われることはない。人間は、俺たちとちがう。人間は、常に変わっていく……。おまえは、あと三年もてば、おどろくほど綺麗になってるはずだ。この髪も、色のうすい、綺麗なきんぱつに変わる。そのころには、誰もおまえをかかし呼ばわりしないはずだ。砂糖を作るうでまえも、変わっているはずだ。ヒューが言ったことは真実だが、気にする必要はない」

 アンはうたぐるように、枕から顔を、半分だけそろりと見せた。

「砂糖菓子作りは、もっと腕をみがくわ。絶対、上達してみせる。努力でなんとかなるものなら、なんとかする。けど、わたしが美人になるとか、見えすいたうそなぐさめなんか、いらないわ」

「噓じゃない。知ってる」

 シャルは掌にせた髪の房に、視線を落とした。

「俺が生まれたとき。最初に目にしたのは、人間の子供だった。五歳の女の子だ。こんな髪の色をしていた。俺はその女の子の視線があったから、生まれたらしかった」

 遠い昔の思い出。なぜか、口に出してみたくなった。それによって、なくしたものがよみがえるかもしれないというような、あわい希望のようなものがどこかにあった。

 シャルが語り始めたことに、アンは驚いたような顔をしていた。

「女の子はエリザベス……リズという名だった。貴族のむすめで、とくしゆな事情があって、世間からはなれて暮らしていた。幼かったし、世間知らずだった。リズは妖精を知らなかった。だから俺のことを、自分の兄だと、かんちがいしたらしい。自分のしきに俺を連れ帰って、俺をかくまった」

 アンは枕から顔をあげると、ベッドの上に座りなおした。

 シャルの手にあった髪の房が、その手を離れた。

 からになった掌を、シャルは軽くにぎった。握ったこぶしを見つめる。

「それから、ずっといつしよにいた。十五年経ったら、リズの髪は金髪になって、そばかすも消えて。綺麗な娘になっていた。だからわかる。おまえも、リズのように変わっていく」

「それで?」

 問われて、シャルは顔をあげた。

「それで、リズは。ずっとシャルと一緒にいたの? 今はどうしていないの?」

 目をせた。

 問われると、まだ、胸が痛む。もう百年も前のことなのに。

「死んだ……殺された。殺したのは、人間だ」

 その言葉に、アンはうつむいた。

 しばらくすると、シャルの拳にアンの手がそっとれた。

「ごめん……」

 アンが何に対して謝ったのかは、わからなかった。

 かなしい思い出を、シャルに語らせてしまったことへの謝罪か。

 それとも、同じ人間として、リズを殺してしまったという事実への謝罪か。

 ただ、彼女の心の温かさだけはわかった。

 シャルは軽く頭をふると、立ちあがった。拳から、アンの手がするりと離れた。

 余計なおしやべりをしてしまった。

「もうろ。かかし」

 背中しに、静かに言った。思い出は、思い出だった。甦ることはない。


    ◆ ◇ ◆


 翌朝アンが目覚めると、ヒューはすでに出発していた。夜明け前に出ていったらしい。しかし宿代は、ちゃんと彼がはらってくれていた。

 いったいヒューは、どんなじようの人間なのか。

 しかしその疑問を、あまり深く考えることもしなかった。

 さらにヒューに言われた言葉のしようげきも、ほとんど残っていなかった。

 それよりも。シャルが口にした彼の過去のだんぺんが、アンの胸には深くひびいていた。

 医者宿を出発し、その後三日間は、じゆうにもとうぞくにもおそわれることなく過ぎた。

 その間、となりに座るシャルの顔ばかり、ちらちら見ていた。

 シャルは、人間と友達にはなれないと言った。

 けれどシャルは生まれたときは、人間の女の子と心を通わせていたのだ。

 十五年も、一緒にいたと言った。アンが母親と過ごしたのと、同じだけの長い時間だ。

 シャルにとって、その女の子リズは、家族と同様だったかもしれない。それを、人間の手によってうばわれた。目を伏せたシャルのさみしげな表情に、胸が苦しくなった。

 もともと人間と心を通わせていたシャルの心をこおらせてしまったのは、人間なのだ。

 ──シャルの心をかす、ほうがあればいいのに。

 馬車を走らせながら、そんなことばかり考え、そして常にシャルの横顔を気にしていた。

 ブラディかいどうを走り始めて、七日目。夕日がしずむ前に、宿しゆくさいとうちやくできた。

 道程は、三分の二消化した。

 鉄の扉をおろして、三分の二の道のりが過ぎたことにほっとした。

 あと三日走れば、ブラディ街道をけられる。

 宿砦にはいると、早々に夕食をすませた。

 アンはまつなスープとりん。ジョナスの夕食は、変わらずぜいたくだった。

 道々ジョナスは、食べ物をアンに分けてくれようとした。だがアンは、それらをすべて断った。旅で、贅沢に慣れてしまうのは危険だ。何があるかわからない旅だから、食料はなるべくとっておいて、そして質素な食事に慣れることがかんじんだ。

 ジョナスはキャシーを連れて、すぐに荷台の中に引きあげた。

 ミスリルは「恩返しさせろ」と、さすがに喚かなくなっていた。しかし当たり前のような顔をして、昼間はぎよしやだいに座る。夜は荷台の屋根の上に草を集めたどこを作り、そこにもぐりこむ。今夜も彼はせっせと寝床を作り横になると、早々と寝息を立てている。

 ミスリルが満足するような恩返しを、アンはまだ思いつかない。思いつかない限り、彼はずっとひっついてくるだろう。ミスリルのキンキン声には、もう慣れた。慣れてみると、ミスリルの尊大さも可愛かわいくなってきたから不思議だった。

 アンはシャルとともに火を囲んで座り、ねむる準備をしていた。

 シャルは林檎をてのひらに載せて、食べていた。彼の掌に載る林檎は、少しずつ表面にしわが寄る。しぼみ、最後にはくしゃりとつぶれて、掌の上にわだかまり、溶ける。

 それがようせいの食事だ。何度見ても、不思議な感じがする。

「なんか今夜は冷えるね。秋も終わりに近づくと、さすがに寒い。シャル、寒くない?」

「俺たちは人間のように、寒さを感じない」

「へぇ、便利ね」

 答えた途端に、くしゃみが出た。やはり冷える。

 シャルが、ジョナスの眠る荷台をちらりと見ていた。

「おまえは、荷台の中で寝ないのか。あの男みたいに、暖かい場所で眠ればいい」

 アンは毛布を御者台の下から引っ張り出して運びながら、首をふった。

「ジョナスの荷台はなんのためにあるのか知らないけど、わたしの荷台は砂糖菓子を作るための作業場よ。神聖な場所なの。そんな場所に、眠れないわ。わたしもママも、荷台の中で眠ったことなんか一度もないの。冬は、わざわざ宿にまってた。ママのくちぐせはね、『砂糖菓子は聖なる食べ物。それをつくる場所も人も、けがれちゃならない』って」

 ほのおを見つめながら、シャルがこたえて言った。

「いい職人だったらしい。おまえの母親は」

 言われると、エマの顔を思い出した。とてつもなく、さびしい気持ちになった。

「うん。とってもね」

 その夜は、なかなか寝つけなかった。

 ──寂しいな。

 心の中に、あぶくのようなそんな気持ちが、ゆっくりといくかんでくる。

 ──シャルも、こんな気持ちなの?

 何度か寝返りを打ち、横になっているシャルの方へ視線を向ける。

 五、六歩のきよを置いて、シャルは横になっている。その距離をもっと、縮めたい。

 ──寝てる? それとも目を閉じて、何か考えてる? 話がしたい。

 手をばし、草の上に広がる彼の羽に触れたいしようどうられた。

 身を起こして、手を伸ばしかける。しかしためらいが強く、その手は止まる。

 ──寝込みに羽にさわったりしたら、なに言われるかわかったものじゃない。

 残った一枚の大切な羽を人間に触られるなど、シャルはげきしそうだ。

 ──シャルの心を溶かす魔法……。

 そのときふと、砂糖菓子のことを思い出した。

 作ってあげると約束しておきながら、ミスリルの出現で、すっかり忘れていた。

 寝られそうもないので、アンは起きあがった。

 ──約束の砂糖菓子を作ろう。

 甘い砂糖菓子が、少しでも、シャルの心を温かくしてくれればいい。

 荷台後方のとびらを開け、中にはいる。

 満月から少しだけ欠けた月の光が、窓からしこんでくる。それをたよりに、アンは石の冷たい作業台にそっと手をすべらせ、はかりを触り、整然と並べられた木べらをでる。

 ここにエマがいた。エマの手が触れたものたちが、ちんもくしている。

 せいじやくと一緒に耳からなにかが入りこみ、心を乱しそうだった。

 頭をふり、銀砂糖が入っているたるに向かう。

「ヒューに砂糖を作ってあげちゃったけど、銀砂糖の残りはじゆうぶんなはずよね。シャルにも、二、三個、作ってあげられるかな」

 つぶやきながら、樽のふたを開ける。

「あれ?」

 蓋を開けた樽の中には、確か、半分以上銀砂糖が残っていたと思っていた。

 しかし樽の中は、からだった。からの樽とちがえたのだろうか。

 そう思って、からと思いこんでいた樽の蓋を開ける。すると、その樽もからっぽだった。

「なん、で」

 アンはぼうぜんとした。どうが速くなる。

 次々と残りの樽を開ける。残りの三つには、ちゃんと銀砂糖がまっていた。

 五つの樽のうち、二つが、からだ。

 砂糖菓子品評会の作品をつくる材料だけが、そっくり、なくなっている。

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