三人台本/カッターナイフ(男2:女1)
無呼吸
カッターナイフ
千秋(チアキ)♂
この物語の主人公。
恋雪(コユキ)♀
この物語のヒロイン。
宏樹(ヒロキ)♂
二人のクラスの担任。
※補足(M=モノローグ)
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一人称、口調変更、アドリブ等、世界観が崩れない程度にご自由に演じて下さい。
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千秋M:
第一章 衝動
千秋M:
幼い頃、蟻や小さな虫を潰して遊んだことのある人間は少なくないと思う
例に漏れず自分もその一人だった
小学一年生、初めて目の前で人が死んだ
僕の前に堕ちてきた
その光景は確かに僕の中の何か変えた
それから初めて蟻を潰した
初めは小さな虫だった
その大きさは次第に大きくなり、
物足りなさを感じるようになっていった
次に鳩を殺した
怪我をしていた、一目見てすぐに死ぬであろうことは分かった
だから楽にしてやった
罪悪感と背徳感でぐちゃぐちゃになった僕の心は、取り返しのつかない程に膨らんでいた
もっと大きな物を
傷付けたい、壊したい、殺してみたい
嫌だ…
誰か僕を止めて
誰か僕を殺して
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千秋M:
今日は一段とクラスが騒がしい
校内放送の話で持ち切りだ
ここ最近、学区内で明らかに人間の暴行によるものと分かる猫の死体が見つかる事件が増えている。
生徒の安全を考え一人で登下校をすることのないよう注意し、何かあったらすぐに110番通報するようにとのことだった。
恋雪「ね」
千秋「っ、恋雪さん」
恋雪「学区内だって、
犯人近くにいると思ったら怖いよね」
千秋「ああ、そうだね」
M:
声を聞くのも初めてなんじゃないか
見た目こそ綺麗なもののいつも教室の片隅で読書をしているような、そんな文字通り"高嶺の花"がどうして…
恋雪「千秋くんは誰と帰るの?」
千秋「僕は、ひとりでいいかな」
恋雪「えー、危ないよ。千秋くん女の子みたいに綺麗な顔してるんだから、変な人に捕まっちゃうかも」
千秋「それを貴方が言いますか」
恋雪「なにそれ」
千秋M:
彼女はくすっと笑って手を振った
恋雪「そっかあ、それじゃ気を付けて」
千秋M:
僕は見逃さなかった。
彼女の手首に刻まれた数え切れない程の傷跡を
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(学校の屋上にて)
千秋M:
あの日を境に恋雪さんとの接点が増えた。
僕はあの時、あの瞬間、袖から覗いた傷跡が目に焼き付いて頭から離れずにいる。よく見ると切り傷以外にも、彼女は傷だらけだった。
恋雪「千秋くん?どうしたの、ぼーっとして
箸が止まってるよ」
千秋「、ごめん」
恋雪「謝らなくていいよ。
誰にでもそういう時はあるから」
千秋「…恋雪さんはさ、
どうして僕みたいな奴を誘ってくれるの?」
恋雪「と言うと?」
千秋「だって貴方は、クラスのみんなが近付きたいと望んでも簡単には近寄れない様な、
なんていうか…」
恋雪「高嶺の花」
千秋「(本人からその言葉を聞くとは思わず驚く)…そう。」
恋雪「そんな物は偶像だよ。実際は前の学校で虐められて独りで居ることを選んだ小心者。
その結果、皆良い様に解釈してくれたみたいだけど」
千秋「だったら尚更、どうして僕なんかが」
恋雪「面白そうだったから」
千秋「僕が?」
恋雪「うん。千秋くんっていつも何考えてるか分からないって言うか、掴み所が無いって言うか、何処か悲しい目をしてる」
千秋「…」
恋雪(千秋に近寄る)
「私、君のこと、もっと知りたいなって」
千秋「っ、」
※宏樹登場
宏樹(千秋を探しながら)
「千秋くんーー」
恋雪「!宏樹さん」
(声のトーンが明るくなる)
宏樹「恋雪もいたのか、邪魔して悪いな」
千秋「いえ」
宏樹「近頃の事件のことで生徒一人ひとりに話を聞いていてな、ちょっといいか」
千秋「あ、はい。ごめんね恋雪さん」
恋雪「気にしないで、行ってらっしゃい」
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(談話室へ向かう二人)
宏樹「最近見かけないと思ったら、恋雪さんと一緒だったんだね」
千秋「まあ…」
宏樹「いい感じなのかい?」
千秋「そんなんじゃ…。
さっき先生、こゆきって」
宏樹「ああ、それはつい。
千秋くん嫉妬かい?」
千秋「なっ」
宏樹「はっはっは冗談だよ。恋雪さんとは遠い親戚でね。初めて会ったのは5年前、彼女のお母様の御葬儀の時で」
千秋「そうだったんですね…」
宏樹「初耳かい?」
千秋「そんなこと、彼女の口からは一言も」
宏樹「じゃあここだけの話だな。彼女も気丈に振舞っているが内心は寂しいはずだ。千秋くんが傍について支えてあげるといい」
千秋「だからそういうのじゃ…」
宏樹「さあ、そこに座って。本題に入ろう。
近頃の猫殺しの事件、千秋くんも耳にはしているね?」
千秋「はい。先日校内放送で言ってたやつですよね」
宏樹「そうだ。事件は学区内の様々な場所で起こっているが特に多いのは虹の公園付近、君の住んでいる所のすぐ近くだ。最近周りで不審な人物を見かけたり何か変わったことが起きたりはしてないか?噂程度でもいい」
千秋「そうですね…。僕の思い付く限りですが、心当たりは特に…」
宏樹「そうか」
千秋「すみません」
宏樹「謝る事はないよ。本来生徒の安全を確認する事が目的だからね。ああそうだ千秋」
千秋「はい」
宏樹「戻るついでに恋雪さんを呼んで来てくれないか?」
千秋「わかりました」
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恋雪「千秋くん、おかえりなさい」
千秋「先生が次は恋雪さんに談話室に来て欲しいって」
恋雪「そうなの、残念。ゆっくりお話の続きが出来ると思ったのに」
千秋「…仕方ないよ」
恋雪「物騒な世の中だものね、行ってきます」
千秋「うん」
恋雪「すぐ戻ってくるからね」
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千秋M:
そして、恋雪さんが教室に戻ってくることは無かった。担任の宏樹先生によると彼女は早退したらしい。
あれから約一ヶ月、恋雪さんは学校に来ないままだ。事故か、はたまた事件か。
彼女の実家が火事に遇い、
父親が亡くなったらしい。
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恋雪M:
第二章 暗転
(放課後)
宏樹「暫く落ち着いていた例の猫殺しも、最近はまた活発になっているらしい。前にも言ったが一人での登下校は避けるように、先生からは以上。帰っていいぞー。
ぁあそうだ千秋くん、ちょっといいか」
千秋「はい?」
宏樹「あれから恋雪さんには会ってないのか」
千秋「はい。そうですね」
宏樹「連絡も?」
千秋「そもそも彼女の連絡先を知らないので」
宏樹「そうだったのか、てっきりお前たちはそういう仲なのかと」
千秋「そういう仲?」
宏樹「先生の思い違いだったようだね。
だけど、私の知る限りでは彼女が君以外の人と話してる所を殆ど見た事がないんだ。彼女は君に会いたがってると思うよ」
千秋「そう…ですかね」
宏樹「自信持ちなよ」
千秋「だからそういうのじゃ」
宏樹「良ければ、彼女の連絡先聞いておこうか」
千秋「恋雪さんが、それを望むなら…」
宏樹「わかった。また明日な」
千秋「また明日…」
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(翌日千秋宅にて)
千秋:
恋雪さんの連絡先、貰ったはいいけどいきなり電話とかは迷惑だよな…。
先ずはメッセージを送ってみよう。
何を送ればいいんだ?
んー…
「お久しぶりです、千秋です。
お元気にしていますか」
あんな事があって元気な訳ないだろう…
恋雪:
「恋雪です、久しぶり。
色んな事が起こりすぎて、少し疲れてるかも」
千秋:
返ってきた。
「そうだよね、急に連絡してごめんなさい」
恋雪:
「謝らないで、連絡くれたの嬉しい」
千秋:
「良かった。家は大丈夫?ご飯は食べてる?」
恋雪:
「全焼だって。寝る場所は用意して貰えたし、ご飯は私が作ってる」
千秋:
「用意して貰えたって?」
恋雪:
「あれ、先生からは聞いてない?」
千秋:
何故か、嫌な予感がした。
「先生からは家が火事になった事と、お父さんの話ししか…」
恋雪:
「そう。私ね、先生の家に居るの」
千秋:
「っ、」
なんだろうこの感情は
予感が的中したとも言えない。だって先生は彼女の親戚で、両親が居ない今先生が引き取るのは自然な話の筈。
恋雪:
「宏樹さん実は私の親戚でね、元々片親なのにお父さんまで居なくなっちゃうものだから、私を家に迎えてくれたの」
千秋:
「そ、そういう事だったんだ」
恋雪:
「えへへ、びっくりした?」
千秋:
「そりゃ、同級生の女の子が担任の家に居るって聞いたら心配にもなるよ」
恋雪:
「大丈夫だよ、彼良い人だから」
千秋:
「…そっか、それなら良かった」
M:
耐えきれず携帯を閉じた僕は徐ろに玄関に向かった。
この蟠(ワダカマ)りを今直ぐにでも何とかしたくて。そうしないとどうにかなってしまいそうで。
向かう先は、
虹の公園。
猫の溜まり場だ
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(学校にて)
千秋「おはようございます…」
宏樹「遅刻とは関心しないな千秋くん、ホームルームはもう終わったぞ。」
千秋「すみません」
宏樹「あの子と話し込んで眠れなかったのか?」
千秋「別に…。恋雪さん、元気そうで良かったです。」
宏樹「ついに聞いちゃったのかあ」
千秋「(小声)先生がそう仕向けたんだろう」
宏樹「ん?どうかした?」
千秋「いえ、先生が傍に居るなら安心ですね」
宏樹「そうか。恋雪も寂しがっていたから今度家に来てやってくれ」
千秋「え」
宏樹「丁度、今夜は先生もあの子も予定は無いし、千秋くんご飯でも食べにおいでよ」
千秋「でも…」
宏樹「あ、今日はシチューだと言っていたかな。何日かは続くだろうし一人増えた所できっと構わないよ」
千秋「…お二人のお邪魔にならなければ。考えておきます」
宏樹「ああ、これは先生の住所だ。持っておくといい」
千秋「ありがとうございます」
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千秋M:
あの予感が渦を巻いて心に広がっていく。
どんよりと重たく、質量を持った様な何かが僕を蝕む。
それから逃げようとしてもきっとそれは叶わない。何故なら本心が、その正体を知りたいと切望してしまっているから。
決めた。
今晩、彼女に会ってみよう。
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千秋「ごめん母さん、出かけてきてもいいかな
今日の分は明日持って行ってお昼に食べるよ
うん、ありがとう。行ってきます」
と、出てきたは言いものの、恋雪さんは僕が来ることを知っているだろうか。迷惑に思わないだろうか。断られるのが怖くて連絡は出来ずにいる。
目的地が近付くにつれあの禍々しい予感が広がっていくのを感じていた。引き返そうかとも考えたが、それでも進む足は止められない。
家はもう目前だと言うのに、
少しでも早くこの予感の正体を突き止めたいと身体が言う事を聞いてくれない。
玄関に立つ。心臓が脈打つ。
インターホンを鳴らす指先が震える。
「…」
反応が無い。戸を叩いてみる。
「千秋です。宏樹先生、恋雪さん、いらっしゃいますか」
恐る恐るドアノブに手をかける。
鍵が空いていた。
「(生唾を飲み込む)は、入りますよ」
「、、。」
二人の声がする。様子がおかしい。
廊下の先にある扉がこちらを誘うように少しだけ隙間が空いている。
これ以上行っては駄目だ。
分かっていても今更引き返す事は出来ない。
そして僕は、一生忘れる事は無いであろう光景を目の当たりにする。
宏樹「お前がこんな変態だっただなんて、クラスの皆が知ったらどう思うかな」
恋雪「いやっ、宏樹さん、やめて」
宏樹「お前の大好きな千秋くんにも見てもらったらどうだ」
恋雪「ごめんなさい、もう許してっ、ごめんなさい、ごめんなさい」
千秋「っ、」
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千秋「(息を切らしながら走る)」
M:
あれは、男女の仲で行われる様なよくある行為では無い。
あれは、先生から恋雪さんに向けられた、
紛れもない暴力だ。
そしてそれを二人は楽しんでいた
酷い事をされている筈なのに
恋雪さんのあの恍惚とした表情
それを見た時、僕は小学一年生の夏のことを思い出していた。確かに僕の中の何かを変えた、人が命を落とす瞬間を。
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
宏樹M:
第三章 酩酊
千秋M:
殴る。
蹴る。
引っ掻く。
切り裂く。
抉る。
取り出す。
踏み潰す。
僕は、彼女をどうしたいんだろう。
あの時先生がした事を僕が恋雪さんにしたら、
恋雪さんはどんな反応をするだろう。
嫌がるだろうか、嫌われるだろうか。
あの時みたいに目に涙を浮かべて、口では嫌と言いながら内心は悦ぶんだろうか。
もしそれを彼女に求められたら、僕はどうするんだろう。
もう、自分が分からない。
彼女も分からない。
先生も分からない。
人が皆、化け物に見えるんだ。
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
千秋M:
あれから一週間が経ち、恋雪さんが学校に戻ってきた。先生はもちろん恋雪さんともまともに会話も出来ずにいる。
(放課後)
恋雪「ねえ、私のこと避けてるよね」
千秋「避けてない」
恋雪「嘘。今も避けてるもん」
千秋「避けてない」
恋雪「じゃあなんで逃げるの」
千秋「着いてこないで」
恋雪「なんで」
千秋「うるさい」
恋雪「ねえ、なんで」
千秋「やめろよ!!」
恋雪「、」
千秋「お願いだから、これ以上僕に近づかないで、、じゃないと、君に酷いことをしてしまうかもしれない」
恋雪「例えば、どういうこと?」
千秋「…」
恋雪「ねえ、教えて?どういうこ」
千秋「ぁああ!!」(恋雪を突き飛ばす)
恋雪「っ、ぐ…かはっ」(首を絞められる)
千秋「ね…これで分かったでしょう。僕は」
恋雪「ふふ、いいよ」
千秋「…え?」(力を緩める)
恋雪「いいよって言ったの。最近噂の猫殺し、君でしょ。」
千秋「…」
恋雪「私、見てたんだ。とっても綺麗だった」
千秋「どう、して…」
恋雪「だから、いいよ。本当の君を私に教えて?」
千秋「…っ、僕は、恋雪さんが知ってしまったらって考えると、怖くて、怖くて」(泣き出す)
恋雪「うん」
千秋「これ以上傷付けたくなくて」
恋雪「うん」
千秋「でも…貴方を見てると押さえが利かなくなってしまうと思って」
恋雪「うん、ありがとう。もう大丈夫だよ」
千秋「ごめん」
恋雪「謝らないでって何度言ったら分かるの?だからほら。続き、しよう?」
千秋「本当に…いいの」
恋雪「うん。ずっとこうなる日を待ってた」
千秋「殺してしまうかも」
恋雪「それもそれで、楽しそうだね」
千秋M:
初めて会話したあの日みたいに、恋雪さんはくすっと微笑んだ。
そして僕らは日が暮れるまで貪り合った。
罪悪感と、背徳感を、骨すら残らない程に。
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(宏樹宅にて)
宏樹「遅かったじゃないか、連絡の一つもないし」
恋雪「ごめんなさい。スーパー寄ってきたから、今支度しますね」
宏樹「そんなに忙しかったのか?」
恋雪「ええ、まあ」
宏樹「私に隠して急用かい」
恋雪「そんな、えぇと」
宏樹「恋雪」
恋雪「っ、」
宏樹「こっちへおいで」
恋雪「…」
宏樹「私に言えない事でもあるのか?」
恋雪「いえ…」
宏樹「どうして遅くなったのか言いなさい」
恋雪「ち、千秋くんと」
宏樹「そうかい!やっぱり千秋か。暫くは落ち着いたと思ったがまた蛆虫の様にわいてきやがったか」
恋雪「宏樹さん…?」
宏樹「いけないよ恋雪。お前が誰の物なのか、一からちゃんと教えてやらないといけないようだ…」
恋雪「嫌!!やめて」
宏樹「は?」
恋雪「私…もう、こういうのはしたくない」
宏樹「…はははは!!!お前まさかあいつに恋でもしたのか!俺がお前の為にしてきた事を忘れたのか!!」
恋雪「違っ、」
宏樹「俺は、お前を自由にした!罪を犯してまでお前を救い、家を与え、金の面倒も見てやってる!何が不満なんだ!言えよ!!」
恋雪「わかってる!宏樹さんには感謝してる…お金だって卒業したら返して行けるように」(涙ぐむ)
宏樹「そんな事はどうでもいい!!!」
恋雪「っ、ぅう」
宏樹「はあ…(呼吸を整える)急に怒鳴ったりして悪かったよ。恋雪、怖がらせてすまない」
恋雪「ううっ」
宏樹「こっちへおいで」
恋雪「…」
宏樹「いいから、何もしないから。
小雪、もう二度と、あんな事は言わないね?」
恋雪「…」
宏樹「恋雪がいい子にするなら、千秋くんとの事は目を瞑るし、何も口出しはしないから」
恋雪「…うん」
宏樹「いい子だ。今晩は私が作ろう」
恋雪「ごめんなさい」
宏樹「謝ることは無いよ。ずっと言ってるだろう、人は誰でも間違いを犯す。いいから早く泣き病んでくれ…私はその顔に弱いんだ。知ってるだろ?」
恋雪「うん、」
宏樹「本当に…お母さん譲りの可愛い泣き顔だね」
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千秋M:
第四章 激情
(学校にて)
千秋M:
恋雪さんと秘密を共有したあの日から、僕はどういう訳か衝動に支配される事が少なくなり、あの嫌な予感も消え去って心の中は不思議と穏やかになっていた。
それでも、彼女の身体は生傷の絶えないまま…
恋雪「どうかした?私の顔に何かついてる?」
千秋「いや、そう言えば僕、恋雪さんの事何も知らないなって」
恋雪「何にも知らない事は無いでしょ」
千秋「そうだけど、家族の事とか、その、傷の事とか」
恋雪「あぁ」
千秋「言いたくないなら無理にとは言わないけど…」
恋雪「いいけど、知った所でいい事無いよ」
千秋「それでも、貴方の事だから」
恋雪「ふふ、嬉しいな千秋くんからそんな事言ってくれて」
千秋「茶化さないでくださいよ…」
恋雪「お母さんは5年前、私が小学六年生の時に自殺して亡くなってるの」
千秋「そう、なんだ」
恋雪「それで父子家庭になったんだけど、お父さんはお母さんの再婚相手だったから血の繋がりも無いし、私を大切にはしなかった」
千秋「…」
恋雪「中学にあがった頃お父さんを物凄く怒らせちゃって、湯船に閉じ込められて死にかけたことがあってね笑」
千秋「そんな」
恋雪「それでその時思ったの。あともう少しでお母さんに会えたのかなって」
千秋「…」
恋雪「それからと言うもの、私は他人からの暴力に依存して、それを居場所と勘違いして、物足りなくなって、終いには、自らも」
千秋:
そう言って恋雪さんは制服のポケットからカッターナイフを取り出した。
恋雪「でもね、そうなってから生きるのが楽になったんだよ。こんなカッター一本で救われる命もあるんだ。私が言ってる事、おかしいかな?」(震えた声で)
千秋「ううん、何もおかしくないよ」
M:
そして彼女を抱き締める
千秋「今も、これが無いと生きていけないと思う?」
恋雪「…ううん、思わない」
千秋「それじゃあ、これは預かっておくよ。恋雪さんが本当に必要になった時、僕に教えて」
恋雪「…手伝ってくれる?」
千秋「勿論。貴方が望むなら」
恋雪「ありがとう」
千秋M:
僕は、本当は何がしたいんだろう。
彼女を傷付けたい?壊したい?殺したい?
それとも、守りたい?大切にしたい?幸せにしたい?頭がおかしくなりそうだ。
それなら何故、今も彼女が化け物に見えるのだろうか。
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(昼休み学校にて)
宏樹「千秋くんの方から相談だなんて、今日は雪でも降るのかな。最近は避けられている様な気がしていたものだから」
千秋「…。」
宏樹「私も実は、君に聞きたい事があるんだ」
千秋「僕にですか」
宏樹「まあそう身構える事は無い、そこに掛けるといい」
千秋「…。」
宏樹「先ずは君の話を聞こうか、恋雪さんと上手くいってないとか?恋愛相談か何かかな?」
千秋「もう、やめてください…そういうの」
宏樹「そういうのって?」
千秋「二人の時は呼び捨てでしょう」
宏樹「私の仕事は先生だからね。学校では制服と同じ様に呼び方だって平等だ。それより千秋くんそんな話をしに来たのかい?君のガールフレンドの保護者だからって」
千秋「それだけじゃありません。…恋雪さんの怪我の事について、何か知りませんか」
宏樹「うむ。その口振りだと、何か知っていると既に君の中で決まって居るようだね」
千秋「…。」
宏樹「自分の情報は開示せず提供だけを求めるのは取引として賢い方法とは言えないな。もう少し手堅く行かないと。」
千秋「…。」
宏樹「先程の質問、知っているかと聞かれたら知っている。そして君はその理由の見当も着いている筈だ。私からの質問はこうだ、噂の猫殺しについて何か知ってる事は無いか?」
千秋「っ。それは前にも答えた筈です」
宏樹「はっはっはそうか。それならこの話はここでお終いだ。良かったね、君の方が私より多くの情報を得た」
千秋「先生!」
宏樹「取引は"やり直し"だ。さあ、教室に戻りなさい」
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
宏樹「みんなお疲れ。もう直ぐ受験のシーズンだね。進路が決まっているいる人もそうでない人も、今一度個別面談を設ける事にする。面談は明日から昼休みの時間と放課後、順番に声を掛けて行くから将来のビジョンや相談内容を整理しておく様に」
千秋M:
そう言った先生は僕を見やった。
目のやり場に困った僕は無意識に恋雪さんに視線を向けてしまう。
恋雪「?」
宏樹「ふん。以上、帰っていいぞー」
恋雪「…ねえ、宏樹さんと何かあったの?」
千秋「何も無いよ」
恋雪「千秋くん、昼休みの時間どこ行ってたの?」
千秋「ちょっとね」
恋雪「ねえ、千秋く」
千秋「恋雪さん。帰ろうか」
恋雪「…うん」
千秋M:
恋雪さんにはまだ話せない。
自分がどうしたいのかも分からないのに、彼女を巻き込む訳にはいかない。
何故あんな事を先生に話す気になったんだろう。彼女が可哀想だから?
彼女が僕だけの物だって証明したいから?
どうして先生は、猫殺しの事を…
もしかして恋雪さんが、否まさか。
もう少し状況を整理する必要があるらしい。
千秋「先生とは、最近どう?」
恋雪「どうって…いつも通りだけど」
千秋「その痣はどうしたの」
恋雪「これは、昨日体育の時に転んじゃって」
千秋「嘘。その痣は一昨日からあった」
恋雪「そ、そうだったかな」
千秋「まさか先生が」
恋雪「違う!千秋くん何が言いたいの」
千秋「わかってる癖に」
恋雪「お願い。余計な事しないで」
千秋「そんな、僕は貴方の為を思って」
恋雪「自分の為じゃなくて?」
千秋「…」
恋雪「お願いだから私の居場所を奪わないで。また施設に戻れって言うの?そこで酷い扱いを受けてまた傷が増えて、私が耐えられなくなっても良いって言うの?」
千秋「違う…」
恋雪「無責任な事言わないで。先生とは何もない、普通の家族。わかった?」
千秋「…」
恋雪「さよなら」
千秋「恋雪さんごめ…」(恋雪は去って行く)
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千秋M:
自分の為…か。
確かにそうかもしれない。
彼女が他の人に傷付けられるのは嫌だ
出来る事なら他人の暴力に依存する人生から抜け出して欲しい。
その未来に、僕も一緒に居たい。
彼女の死にたい気持ちを僕が変えてやりたい。
彼女が生きる為に暴力が必要だと言うなら、
他の誰でもない、僕がそうしてあげたい。
彼女の為は、僕の為でもある。
そんなのエゴだってわかってる。
それでも"何もしない訳には行かない"
千秋「ただいま。母さん、母さんが昔
ピアノ教室で使ってたボイスレコーダー、
まだ持ってる?うん。ちょっと考えてる事が
あって、母さんに相談がある」
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千秋M:
最終章 終焉
(翌朝宏樹宅にて)
宏樹「あいつらの恋人ごっこに付き合うのも
もううんざりだ。今日こそ尻尾を掴んでやるからな…」(独り言)
恋雪「宏樹さん、おはようございます」
宏樹「あぁ!恋雪、おはよう」
恋雪「今日は偉く大荷物なんですね」
宏樹「まあね。卒業に向けて色々と準備をしないといけないからね」
恋雪「そう」
宏樹「さあ、私はもう行くよ。そうだ恋雪、
今晩は久しぶりにディナーでもどうかな?」
恋雪「…いいんですか?」
宏樹「勿論だよ。じゃあ、行ってくるね」
恋雪「行ってらっしゃい…」
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宏樹「おはよう皆。昨日伝えたように今日から面談期間が始まる。ちゃんと整理は出来たかな?順番と時間はお知らせボードに張っておいたから各自確認しておく様に。以上だ」
千秋M:
ボードに視線を向ける。
僕の番は今日の放課後直ぐだった。
恋雪さんは、番号順で僕の後。
彼女を見やると読書に耽っていた。
大丈夫。
彼女は巻き込まない。
全てが上手く行けば彼女を自由にしてやれる。
ごめんね恋雪さん。
少しだけ待っていてね。
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(放課後)
千秋M:
何だか少し、少しだけあの予感に似た何かが
こちらに向かっている様な気がした。
宏樹「やあ、千秋くん」
千秋「…」
宏樹「話しがてらドライブでも行こうか」
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(車内にて。車は山道を進んでいる)
宏樹「それで、話はまとまったかい?」
千秋「…」
宏樹「ずっと黙ったままじゃ分からないよ」
千秋「…先生は、恋雪さんをどうしたいんですか」
宏樹「また抽象的な質問だね。君こそどうなんだい。君は恋雪のなんだ?恋雪をどうしたい?」
千秋「僕は…彼女を自由にしてあげたい」
宏樹「ははは!!彼女が不自由とでも言うのか」
千秋「先生に縛られている」
宏樹「あいつがそんな事を言ったのか?」
千秋「いや…」
宏樹「それじゃ何だって言うんだ?たかがクラスメイトの分際で彼女を自由にしたい?それも君が?笑わせるな」
千秋「…」
宏樹「お前は犯罪者だろう」
千秋「なっ、 」
宏樹「もう一度問おう。…噂の猫殺しに
ついて、何か知ってる事はないか?」
千秋「だからそれは前にも」
宏樹「はっ、恍ける聞か」
千秋「…」
宏樹「恋雪から聞いたよ」
千秋「…恋雪さんが?」
宏樹「君の名前までは聞き出せなかったがね。猫殺しの噂がたち始めてから彼女浮かれていてね、訳を聞いたら面白い人が居ると」
千秋「それだけで」
宏樹「それだけじゃない。さあ、降りたまえ」
千秋「ここは、何処です…?」
宏樹「君が知る必要はないよ」
千秋「…」
(車から降りる。先が崖になっている。)
宏樹「ここへ来なさい」
千秋「…」
宏樹「さあ早く(手を引く)
単刀直入に言おう。君には二つの選択肢がある。少年院送りになるか、不幸な事故によって卒業式まで学校を休む事になるか、どっちがいい?」
千秋「っ、」
宏樹「岡元千秋。成績は上の下。内申点も高め。今の君なら学校からの推薦で志望校に入る事も容易だろう。親御さんとも円満そうだし、授業参観でビデオを構えるいいお母さんじゃないか。…心配を掛けたくは無いだろう?」
千秋「く…」
宏樹「千秋くん、これが取り引きだよ。
いい勉強になったね」
千秋「ここから、突き落とす気ですか」
宏樹「それを聞いて何になる」
千秋「…」
宏樹「さあ、今選びなさい。下らない探偵ごっこで人生を棒に振るか、お互い干渉せず平和的解決をするのか」
千秋「これの何処が平和なんだよ」
宏樹「往生際の悪い男はモテないよ、
千秋くん?」
千秋「…ふー」
(諦めの溜め息を吐き歩き出す)
宏樹「ははは、いい子だね。これを機にしっかり反省すると良い。生きていればだがね」
千秋「最後に後悔するのは、先生貴方です」
宏樹「それで?他に言いたい事は?」
千秋「…」
宏樹「無いみたいだね。それじゃ、もう会うことは無いだろうから。さようなら、千秋く」
恋雪「退いて」
宏樹「ぐあ?!…かはっ」(腹部を刺される)
千秋「恋雪さん?!」
宏樹「恋雪…っ、どういうつもりだ」
恋雪「…(肩で息をする)」
宏樹「なあ、答えてくれよ。何か不満だったのか…?俺謝るから」
恋雪「もう遅い」
宏樹「ぁぁ…どうして…」
恋雪「さよなら、宏樹さん」
宏樹「あああああ!!」(突き落とされる)
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恋雪「ぁ…(その場に崩れ落ちる)」
千秋「恋雪さん!」(駆け寄る)
恋雪「あぁ…私…なんて事を」
千秋「恋雪さん、落ち着いて」
恋雪「うあああ(泣き叫ぶ)」
千秋「大丈夫、大丈夫だから」
恋雪「(泣いている)」
千秋「僕がついてる、ね」
恋雪「(落ち着きを取り戻し始める)」
千秋「どうしてここに」
恋雪「今朝から先生の様子が変で…。
…ここね、お母さんが自殺した所なの」
千秋「…」
恋雪「あぁ私…今お母さんのすぐ近くに居る」
(立ち上がって崖の淵に向かう)
千秋「恋雪さん?」
恋雪「お父さんに暴力振るわれて、いつも泣いてた。それでも私を守ろうと必死に庇ってくれて、いつも傷だらけで」
千秋「危ないよ、そこから離れて」
恋雪「幼かった私は、母さんに何もしてやれなかった」
千秋「お願いだから戻ってきて」
恋雪「そんな時いつも母さんを慰めてたのは、宏樹さんだった」
千秋「…」
恋雪「身体が目的の癖に偽物の優しさで誘惑
して…。私にだって、あの人の面影を見ていただけ」
千秋「…」
恋雪「ねえ、千秋くん。分かってくれるよね」
千秋「…分からないよ」
恋雪「全部分かってたんでしょう。宏樹さんとの事も、私が今までどんな思いをして生きてきたのかも!」
千秋「…うん」
恋雪「もう、こんな私を愛さないで」
千秋「そんなの、出来ない」
恋雪「今更何を言ってるの。手伝ってくれるって言うのは嘘だったの」
千秋「今更じゃない」
恋雪「っ…」
千秋「君の居場所はここにある。母さんがね、卒業して落ち着くまで家に居ていいって」
恋雪「…」
千秋「君が望むなら、先生から被害を受けて
いた事も証明できる。ほら(ボイスレコーダーを見せる)」
恋雪「ボイスレコーダー…?」
千秋「これで恋雪さんも僕も、犯罪者だ」
恋雪「…やめて」
千秋「二人でやり直そう」
恋雪「無理だよ…どうして分かってくれないの。私は今、人生のどの瞬間よりも近くに
お母さんが居る。あともう少しであの人に会えるの」
千秋「……そんな」
恋雪「ごめんなさい。恨んでも良いよ」
千秋「そんな、駄目、駄目だよ恋雪さん待って…」
恋雪「さよなら」(自ら身を投げる)
千秋「恋雪さあああああん!!!!」
(ここから間髪入れず目まぐるしく回想)
宏樹「最近やけに機嫌が良いな」
恋雪「面白い人を見つけたの」
千秋「初めまして、岡元千秋です。趣味は…」
恋雪「噂の猫殺し、案外近くにいるかもよ」
宏樹「恋雪の為なら何でもする」
恋雪「本当に、なんでも?」
千秋「誰か僕を止めて…」
恋雪「誰か私を殺して…」
宏樹「お前はいつも傷だらけだな」
恋雪「ごめんなさい」
千秋「ごめんなさい」
宏樹「謝ることは無いよ。人は誰でも間違いを犯す」
(過去の記憶に遡る)
恋雪「ね、千秋くんは誰と帰るの?」
千秋「っ、恋雪さん。僕はひとりで良いかな」
恋雪「えー危ないよ。千秋くん女の子みたいに綺麗な顔してるんだから、変な人に捕まっちゃうなも」
千秋「貴方がそれを言いますか…」
恋雪「くすっ、何それ」
(回想終了)
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恋雪M:
epilogue
千秋M:
あの予感の正体は、これだったのだろうか
興味に突き動かされた結果がこれだと
言うなら、知りたくなかった。
恋雪さんは一命を取り留めた物の頭を強く打ち
植物人間状態らしい。
身寄りの無い彼女の延命治療がどこまで施されるのかは分からないが、本人がそれを望んでいるとは到底思えない。
どこで間違ってしまったんだろう
あの時、自分の命なんか顧みず彼女を引き止めれば良かったのだろうか
そうすれば、今も彼女は僕の隣に居ただろうか
君の後を追うような勇気も、君の居ない世界を生き抜くような気概もない
きっとこれは、君から僕への罰なんだ
殺害と自殺の現場に居合わせた可哀想な少年としてこれからも何不自由無く生きていく僕への
「…」
そして僕は、彼女から取り上げたカッターの事を思い出した
「あぁ…貴方はきっと、
こんな気持ちだったんだね」
錆びた刃先を腕に這わせると
不思議と君が近くに居る気がした
「ごめん…恋雪さん。
っ、(刃先を押し込む)」
「…」
「これで、君とお揃いだね」
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
千秋M:
卒業して暫くが経ち、彼女が意識を取り戻したと言う連絡が入った。
遂にその時が来たのだ
人は皆心の中に怪物を飼っている。
その怪物がいつ暴れだすか震えながら平気な顔をして生きている。
宏樹先生は欲望に支配されて
恋雪さんは自らの力で運命を選択する為
僕は、、
(病院にて)
恋雪「ち、あき、、く」
千秋「久しぶりだね」
恋雪「おね、がい、」
千秋「うん。わかってる」
恋雪「ぁ…」
千秋「愛してる」
恋雪「わたし、も」
千秋「(キスをする)…さよなら。恋雪さん」
三人台本/カッターナイフ(男2:女1) 無呼吸 @0591122
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