第51話 少女のガワをかぶった魔王様②

「嬢ちゃん!まだ動いちゃダメだって!」



「じゃまじゃあ!」



「ふげえ!」



村の病室から何やら騒ぎ声が聞こえてきた。

急いで病室へと駆けつける。



するとそこでは、昨日救出した少女と、そんな彼女に翻弄される村のみなさんが目に入った。



なんだ!?いったい何が起こっているんだ!?

状況が理解しきれず、思わずうろたえる。



「見つけたぞ!貴様!」



少女は僕のことを見つけると周りの村人を無視して一直線にこちらに向かってくる。



「どこじゃここは!」



少女はものすごい剣幕で怒りながら僕の胸ぐらを掴んだ!すごい力だ!



どうやら何か誤解されてるようだ。



急いで説明して、その誤解を解かなければ。



僕は胸ぐらを掴まれながらも、ここがタク村という場所であること。こちら側に一切敵意はないことなどを伝えた。



少女側も自身のケガが治っていることに気がつくと冷静になってきたのか、すまぬと言いながら僕を離してくれた。



どうやら理解してくれたようだ。



彼女はベルと言う名前らしい。

頭に角がある。



種族は人間ではなさそうだ。



本人が言いたくなさそうだぅたので、種族を聞くのはやめた。

別に知って何か変えるわけでもないからね。



ベルさんは村を見て驚いてくれていた。



フェルやスライム3兄弟達を見て、まさかこんな辺境にこれほどの村があるなんて・・・。



とこぼしていた。



驚いてもらえたのは大歓迎だ。

あとはしっかり良さも知っていってもらいたいモノだ。



数週間後



ベルさんもだいぶ村になじんできたようだ。



今では村の料理に夢中にガッツき、温泉を満喫し、フェルや魔道具達に興味津々だ。



しきりにこれはどうなっておる!?と聞いてきたりする。



特に僕の召喚術は特段気になるようで、最近は常に僕の後ろを付いてきているようになった。



ジーっと見つめられてる感覚がする。



うん。



ちょっとこそばゆいかな?



次の日、サラさんと町へ買い出しにでかけると、やけに食料品や武器などが高く売れた。



逆に町の商品の価格も上がっていた。



あれ?と思いながら店主に聞いてみると、どうやら魔王とやらが復活してその影響で物資不足に陥っているらしい。



サラさんの補足によると、魔王というのは魔族を率いる長で、かつてこの世界を支配する神様と戦った勢力であるそうだ。



ただその後魔王が敗北し、服従。



人間と友好関係を気づいていたのだが、今度はそれを受け入れない配下達に魔王がやられてしまったらしい。



それで今度は過激派が勢力を盛り返してきており、人と再び戦っているとのことだ。



要するに遠くで魔族と人間達の戦いが起きて、物資不足になっているとるというわけだ。



魔王、か。



この世界にもそんなファンタジーの定番モノがいたんだなと思った。



でも僕たちにはそこまで関係ないかな。



もちろん物資不足は影響するけど、戦いはここから遠く離れた土地の話だ。



変に怯えずに、今日やることをやっていこうと思った。

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